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Category : 犯罪
ゴッドファーザー特別完全版

『ゴッドファーザー 1901-1959/特別完全版』(1981・米)TVM
THE GODFATHER : THE EPIC 1901-1959
監督/フランシス・フォード・コッポラ
製作/アルバート・S・ラディ、フランシス・フォード・コッポラ
原作/マリオ・プーゾ
脚本/フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ
撮影/ゴードン・ウィリス
音楽/ニーノ・ロータ
出演/マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・カーン、ジョン・カザール、ダイアン・キートン、ロバート・デュヴァル、リチャード・カステラーノ、タリア・シャイア、スターリング・ヘイドン、ジョン・マーリー、リチャード・コンテ、アル・レッティエリ、フランコ・チッティ、エイブ・ヴィゴダ、ジャンニ・ルッソ、ルディ・ボンド、アレックス・ロッコ、シモネッタ・ステファネッリ、アンジェロ・インファンティ、リー・ストラスバーグ、マイケル・V・ガッツォ、マリアンナ・ヒル、ハリー・ディーン・スタントン、ダニー・アイエロ、トロイ・ドナヒュー、ジョー・スピネル

『ゴッドファーザー』PART I とPART II を年代順に再編集し、未公開シーンを加えた7時間の大作

1901年:ヴィトーの子供時代
シチリアのコルレオーネ村で、ヴィトー少年の父アントニオ・アンドリーニの葬儀が行われている。彼は地元マフィアのボス、ドン・チッチオへの上納金を拒んだため殺されたのだ。葬列に銃声が響いて、一人の女性が叫び声を上げる。チッチオに復讐しようとしたヴィトーの兄パオロが、返り討ちにあったのである。
ヴィトーの母は息子を連れてドン・チッチオのところに赴き慈悲を請うが、チッチオは拒否する。母は刃物でチッチオを人質に取り、息子を逃がす。チッチオの部下はヴィトーの母を射殺し、少年を求めて村を捜索する。ヴィトーは村の住人の援助を得て脱出し、ニューヨーク行きの船に乗り込む。エリス島の入国管理官が彼に名前を尋ねるが、英語が理解できないヴィトーは答えない。別の男が彼の名札から「ヴィトー・アンドリーニ、コルレオーネ村より」と答え、彼は「ヴィトー・コルレオーネ」として登録された。

1917年:ヴィトーの最初の犯罪
1917年のニューヨーク。青年となったヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)は友人のジェンコ・アッバンダンドと食品雑貨店で働きながら生活していた。近隣は“ブラック・ハンド”のドン・ファヌッチの支配下にあり、地元の業者はみかじめ料を納めるよう強要されていた。
イタリア系移民でありながら、同じイタリア系移民を締め上げ搾取するファヌッチは嫌われながらも恐れられていた。そしてヴィトーも、食糧雑貨店での仕事をファヌッチの甥に奪われてしまう。失職したヴィトーはこそ泥のピーター・クレメンザと出会い、一緒に最初の犯罪を行う。地元の裕福なアパートから赤い絨毯を盗み出すのである。

1919年:ヴィトーのファヌッチ殺害
ここでヴィトーの物語に戻る。フレドが肺炎に罹り、治療を受けている。それをヴィトーは悲痛な面持ちで見つめていた。そして、ピーター・クレメンザ、サル・テッシオとの会食にて、ドン・ファヌッチがヴィトーらによる犯罪とその組織に気付いており、分け前を欲しがっている事を議題に上がる。ファヌッチにみかじめ料を払うことを嫌がるヴィトーは、友人たちに全てを彼の手に任せてもらうように懇願する。ファヌッチとの交渉は上首尾に終わり、ヴィトーたちは当初の約束よりかなり小額の金額を支払うだけで済んだ。しかしヴィトーたちにとってファヌッチは、いずれ排除しなければならない障害になりつつあった。
この後、近所で大きなパレードがあり、ヴィトーはこの機会を利用してファヌッチのアパートで彼を殺害する。ファヌッチが居なくなると、ヴィトーは近所の尊敬を集め、地元の揉め事を仲裁するようになる。彼の経営するジェンコ・オリーブオイル商会は今や上り調子であった。そして、トム・ヘイゲンが拾われてきた。

1925年:ヴィトーのシチリアへの帰還
ヴィトーと家族はシチリアに旅行し、オリーブオイルの輸入会社の商業契約と、地元の有力者ドン・トマシーノとのビジネスを強化しようとしていた。コルレオーネ村に帰還したヴィトーは、トマシーノの紹介で年老いたドン・チッチオを訪ね、彼の承認を求める。チッチオから自分の父について尋ねられたヴィトーは、自らの素性を明かした上で彼を刺し殺す。
チッチオの邸宅から逃げ出すときに、トマシーノは足を負傷してしまう。チッチオへの復讐を果たし、ヴィトーと家族は故郷を去る。

1941年:ヴィトーの誕生パーティー
コルレオーネ一家はヴィトー(マーロン・ブランド)の誕生日のために、サプライズ・パーティーを計画していた。ソニー(ジェームズ・カーン)はカルロ・リッツィを兄弟や妹のコニー(タリア・シャイア)に紹介する。その席上で日本軍による真珠湾攻撃が話題になると、マイケル(アル・パチーノ)は大学を休学して海兵隊に入隊したと発表して皆にショックを与える。ソニーはマイケルの決断をあざける。トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)は父ヴィトーがマイケルにどれほど大きな期待をかけていたかを語る。フレド(ジョン・カザール)だけが弟の決意を祝福し支持するが、それに対してソニーがフレドを非難する。
その後マイケル以外全員で、偉大なドンであるヴィトーを玄関に迎えに行く。別の部屋で家族全員がヴィトーの誕生日を祝う中、マイケルはただ一人食堂に残り、煙草を吸う。

1945年:マイケルの帰還とドン・ヴィトーの襲撃
第二次世界大戦が終わった1945年。高級住宅街の一角を占めるコルレオーネ家の屋敷では主人であるドン・コルレオーネの娘コニーの結婚祝賀宴が豪勢にとり行われていた。太陽の下では故郷を同じくするイタリア人が老いも若きも陽気に唄い踊っている。一方、邸の隅にある書斎では昼にもかかわらずブラインドが降ろされている。花嫁の父はかすかに寂しげな表情を浮かべ古い友人たちを迎え入れる。客たちの中には娘が乱暴され、警察に訴えても簡単に保釈され承服のできない古いイタリア系の友人で葬儀屋のアメリゴ・ボナセーラがドンに代理の復讐を求めてきた。ドンはアメリゴに「自分は殺し屋ではない」と説明しかつ長年自分のところに寄り付かなかったことを責めるが、「借りを作ることが怖かった」と心情を吐露するアメリゴを寛大に許し、友情に従い誠実に対応した。この王への謁見を、トム・ヘイゲンは部屋の隅で無表情のまま見つめている。
宴の中、父親であるドンの反対を押し切り大学を中退して従軍、英雄として復員した三男のマイケルが恋人のケイ(ダイアン・キートン)を伴い久しぶりに帰宅する。初めてマイケルの家を訪れたケイは彼の兄弟たち、大柄で快濶な長兄ソニー、大人しい次兄のフレド、それに血は繋がらないが兄弟同然に育った弁護士のトムを紹介されるが、突如現れた人気歌手ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)に目を丸くしてマイケルに種明かしをせがむ。マイケルはドンが非合法な手段によりこの歌手を救った過去を明かしドン・コルレオーネ、即ち彼の父が組織暴力のトップ「ゴッドファーザー」である事を率直に伝える。ソニーもフレドも組織の幹部でありトムはコンシリオーリ(相談役)として官房に携わっていたのだ。
驚くケイに対しマイケルは、彼らは家族として重要な存在だが、自分はその家業には無縁であると誓う。ドンもまたマイケルが堅気の生活を送ることを望んでいた。自分の道を歩こうとするマイケルはケイと恋人同士の時間を過ごす。賑やかなニューヨークの街中をデートする二人。ラジオシティ・ミュージックホールを過ぎようとした時スタンドで売られている新聞を見たマイケルは驚愕する。そこにはドン・コルレオーネが襲撃された記事が載っていた。この瞬間からニューヨーク五大ファミリーの一つとして地下帝国で栄華を誇ったコルレオーネ家の運命は悲劇の暗転を繰り返すこととなる。

1958年:ドンとしてのマイケル、ハイマン・ロス内偵
1958年のレイク・タホ。父ヴィトーの後を継ぎゴッドファーザーとなったマイケル・コルレオーネの大邸宅で、彼の息子アンソニーの初聖体式を祝うパーティーが華やかに開かれている。その間マイケルは別室で、コルレオーネ・ファミリーの様々な問題に対処している。
マイケルは新たにファミリーの拠点となったネヴァダ州の上院議員パット・ギアリーに会って、ファミリーが手に入れたカジノホテルの賭博のライセンス料金について話し合う。しかしギアリー上院議員はマイケルのことを「やましい仕事をするイタリア系マフィア」と軽蔑し、交渉は頓挫する。マイケルは聞き分けのない妹コニーにも手を焼いている。彼女は離婚したばかりだが、既にマイケルの意に沿わない男と再婚するつもりでいる。
マイケルは更にマフィアのジョニー・オラとも話し合う。オラはユダヤ系ギャングの大物であるハイマン・ロスの右腕で、ギャンブル産業に進出するマイケルを手助けしている。遅れてマイケルは、“フランキー・ファイブ・エンジェル”と呼ばれる組織の幹部フランク・ペンタンジェリに会う。ペンタンジェリはピーター・クレメンザの死後ニューヨークの縄張りを統治してきた人物であり、ロスを後ろ盾にしたロサト兄弟と対立していた。ロスと協力関係にあるマイケルはペンタンジェリをなだめるが、ペンタンジェリはそんなマイケルを非難する。
その夜遅く、マイケルは銃火器で武装した暗殺者に襲われる。彼の妻ケイ・アダムスが寝室のカーテンがなぜか開いていることに気づいたため、暗殺は未遂に終わる。事件の後マイケルは腹心のトム・ヘイゲンに、暗殺は誰か身近な人間が関わっていること、自分が死ぬかもしれないこと、家族を守るために全権をトムにゆだねることを告げる。
マイケルはフロリダでハイマン・ロスに会って、フランク・ペンタンジェリを暗殺未遂事件の首謀者として粛清する旨を告げる。ブルックリンに戻ったマイケルはペンタンジェリに会い、今度は逆に事件の黒幕はロスだとわかっていると言う。マイケルはペンタンジェリに、ロスを油断させるためにロサト兄弟と和解して欲しいと持ちかける。ペンタンジェリとロサト兄弟の会談の最中、ペンタンジェリはロサト兄弟によってだまし討ちをされる。しかし乱闘中に警官が現場に現れたため、ペンタンジェリをその場に捨ててロサト兄弟は逃亡する。ペンタンジェリの用心棒であるウィリー・チチも轢き逃げされる。
トム・ヘイゲンがネヴァダの売春宿に呼び出されていくと、ギアリー上院議員が追い詰められていた。気が付いたら血だらけで死んだ売春婦と取り残されていたのである。マイケルの兄フレドは殺人現場の後始末を担当する。そしてトムは事件をもみ消す交換条件として、上院議員にファミリーとの友好を提示する。コルレオーネ・ファミリーの幹部アル・ネリが、手をタオルで拭っているのがちらりと見える。トムはギアリー上院議員に、事務所に電話してレイク・タホのマイケル・コルレオーネ邸に居るというアリバイを作らせる。「スキャンダル」をコルレオーネ・ファミリーに握られたギアリー上院議員は、もはやコルレオーネ・ファミリーに逆らうことはできなかった。
1958年末、マイケルはキューバのハバナでロスにあう。この時期バティスタ政権がアメリカからの投資をさらに求める一方、フィデル・カストロ率いる共産主義者で構成される反政府ゲリラは、ソ連からの後援を受けてキューバからアメリカの影響を排除すべくキューバ革命の成就に向けて活発に活動していた。マイケルは他のビジネスマンと一緒にロスの誕生日を祝い、新しい取引についてアメリカでの合法ビジネスをどう割り振るか議論していた。その会議中にマイケルは、自らの命を投げ打ってまで革命を成功に導こうとするゲリラが勝利する可能性について言及する。
マイケルの兄フレドが、政治工作に使う200万ドルを詰めたブリーフケースを携えてハバナに到着した。遅れてギアリー上院議員と政府関係者がワシントンから到着し、マイケルはフレドにハバナの観光案内を頼む。マイケルは兄のフレドに、自分を殺そうとしたのはロスだと告げる。新年のパーティーの後にマイケルを殺害しようとするロスに対し、マイケルは既に対策を講じていると語る。ホテルの一室でマイケルはロスに、フランク・ペンタンジェリを殺そうとしたのは誰か問い詰める。ロスはラスベガスの創始者であるモー・グリーン殺害事件に言及する。ロスはモーの力量を認めており、前作で彼を殺してラスベガスを奪ったマイケルに対し含むところがあったのだ。
その夜、マイケルがアメリカの議員と政府関係者たちとナイトクラブで過ごしている間、フレドはロスの腹心ジョニー・オラと初対面のふりをする。しかし間もなくセックス・ショーが始まると、フレドはうっかり「以前オラからこういう場所を紹介された」と口を滑らせる。マイケルは自分の兄が裏切り者であると知って、自分のボディガードを派遣してロスを始末させようとする。彼はジョニー・オラを絞め殺すことはできたが、ロスは危ういところで持病のため病院に運び込まれる。マイケルの部下はロスを病院のベッドで殺そうとするが、任務を果たす直前に政府軍に撃たれる。一方その頃、大晦日から開かれている新年パーティーに出席中のマイケルは、肉親に裏切られた怒りをフレドにぶつける。新年が明けた直後にキューバ政府軍が反政府ゲリラに敗北したことを政府高官がパーティーの客に告げ、大部分の客は首都が共産主義者の手に渡ったキューバから逃げ出すことを選択する。マイケルたちもハバナから脱出しようとするが、マイケルと同行することを拒否したフレドは一人で逃走する。
アメリカに戻ると、マイケルはフレドについてトム・ヘイゲンに尋ねる。ロスは脳卒中の後キューバを脱出してマイアミで療養中だということ、ボディガードは死んだこと、フレドはおそらくニューヨークに潜伏中であることを伝える。トムはまた、ケイが流産したこともマイケルに伝える。

1959年:マイケル一家の瓦解と多くの死
1959年のレイク・タホ。間一髪でキューバ革命から逃れたマイケルは邸宅に戻り、子供の死産や組織の危機と向き合わなければならなくなる。一方、ギアリー上院議員の在籍する上院委員会は、犯罪組織の首魁としてマイケルを告発しようとしていた。彼らはコルレオーネ・ファミリーから離反した殺し屋のウィリー・チチを尋問するが、マイケルが直接彼に命令したことはないので、彼の証言は大した役には立たない。
上院委員会に召喚されたマイケル。コルレオーネ・ファミリーの操り人形になったギアリー上院議員はイタリア系アメリカ人への偏見を否定する演説をし、手続きから逃れる言い訳をする。マイケルは委員会に、自分への告訴を裏付ける証人を喚問するよう委員会に要求する。次のシーンで、フランク・ペンタンジェリが存命していることが明らかにされる。マイケルによって殺されかけたと信じるペンタンジェリはFBIと協定を結び、マイケルに不利な証言をする気でいた。トム・ヘイゲンとマイケルはこの問題について議論し、ロスの策略に嵌まったことを認める。
マイケルは兄のフレドと個人的に面会する。フレドはマイケルに、ファミリーの重要な仕事から外され疎外感を抱いていたことを吐露する。兄の告白を聞いたマイケルは、フレドとは二度と会いたくないと静かに告げる。更にマイケルは傍らに控える幹部のアル・ネリに、二人の母親の死後にフレドを排除することをそれとなく仄めかす。
ペンタンジェリが上院委員会で証言を行う日がやってきた。証言の直前、マイケル陣営が連れてきた見知らぬ老人を見てペンタンジェリは態度を急変させる。切り札となる証人が突如として証言を翻したため、委員会は恐慌状態に陥る。一人の委員から謎の老人について尋ねられたトムは、彼はペンタンジェリの兄ベンチェンゾであり、弟を助けるためにシチリアから来たのだと答える。マイケルを追及する更なる証言はなく委員会は休止し、トムは謝罪を要求する。
ホテルの部屋で、マイケルは子供たちを連れ去ろうとするケイと激しく言い争う。子供が死産した悲しみは分かるが、また作ればいいと言うマイケルに対し、ケイは流産ではなく意図的な中絶だったと明かす。ケイのマイケルに対する愛は既に冷めきっており、彼女はマイケルの子供を欲していなかったのだ。ケイの告白はマイケルを激怒させる。彼はケイの顔を殴り飛ばし、子供は渡さないと告げる。
1959年、ヴィトーの未亡人であり子供たちの母であるカーメラ・コルレオーネが亡くなった。彼女の葬儀にコルレオーネ・ファミリーの主だった面子が出席するが、ケイは葬儀には参加していない。マイケルと確執のあったコニーも飛んで帰ってきて、フレドやトム・ヘイゲンと旧交を温める。マイケルに面会を求めるフレドだが、トムは拒絶する。マイケルは未だにフレドを許しておらず、彼と顔を合わせるのも嫌がっていたのだ。一方面会を許されたコニーは、ボートハウスでマイケルと真摯に語り合う。コニーに兄と仲直りするように説得されたマイケルはフレドと面会し、互いに抱擁を交わす。マイケルはフレドと抱き合いながらも、背中越しにアル・ネリを見つめて頷く。
組織の仕事から外されたフレドは、マイケルの息子アンソニーと親しくなる。二人が釣りに興じている間、マイケルは組織の幹部であるトム・ヘイゲンやロッコ・ランポーネと、マイケルとの抗争に敗れたハイマン・ロスの最終処理について話し合っていた。ロスは引退したビジネスマンとしてイスラエルに亡命保護を申請し、拒否されていたのである。これ以上の報復は必要ないとマイケルを諌めるトムだが、マイケルは冷酷に「敵」であるロス抹殺指令を下す。
マイケルの指示を受けたトムは、暗殺の危険を避けるためにアメリカ軍基地内に抑留されたフランク・ペンタンジェリを訪ね、彼に遠まわしに自殺するよう提案する。レイク・タホのコルレオーネ邸では、アル・ネリが釣り用のボートを準備している。フレドはアンソニーに、アヴェ・マリアの祈りを捧げるという釣りの秘訣を教える。しかしボートに乗り込む直前にアンソニーは、コニーによってフレドから引き離される。結局アル・ネリとフレドの二人だけで湖に出る。
空港に到着したハイマン・ロスが、記者たちからのインタビューに答えている。彼はジャーナリストを装ったロッコ・ランポーネに射殺されるが、ランポーネも警備員に撃たれる。基地内ではフランク・ペンタンジェリがバスタブで手首を切って自殺する。最後に、フレドは釣りボートの上でアヴェ・マリアの祈りをしている最中に、アル・ネリに射殺される。
最終的には勝利したが、すべてを失ったマイケル。一人きりで枯葉舞う庭で椅子に座っている。目元がわずかに老け、孤独と虚無が滲んだ表情が浮かんでいた。礼拝堂ではケイが、祭壇に贖罪の蝋燭を灯していた。



 TV放映用の企画として、壮大な大河ドラマ『ゴッドファーザー』シリーズのPART I とPART II を年代順に再編集し、さらに60分にも及ぶ上映時にカットされた未公開シーンを加えた7時間に渡る完全版。時系列順に見ることにより登場登場人物の性格づけや、場面の意味がより正確に理解でき、物語はさらに深みを増しています。
 ただし、良い面ばかりではなく、ビトーの時代の抗争とマイケルの世代の抗争を交互に描いて、時代が変わってもマフィアの根本である暴力は変わらないという意図を活写した対比が崩れたため、少々冗漫な印象になったことは残念です。
 その点で考えると、映画としての完成度は元々公開された映画の方がダントツです。初めて『ゴッドファーザー』に接する人は、まずPART I とPART II を観た方が良いでしょう。そして原作を読んで、『特別完全版』は、その後のマニアックなお楽しみ、くらいの位置づけで良いのではないでしょうか。
 見るならば劣化が少ないLDがオススメ。ついでに機材が必要なので、LDプレイヤーを安く落札です。私はそうしました。

※VTR廃盤/LD廃盤/未DVD化
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オーシャンと十一人の仲間

『オーシャンと十一人の仲間』 Ocean's 11 (1960・米)
配給/ワーナー・ブラザース
監督/ルイス・マイルストン
脚本/ハリー・ブラウン、チャールズ・レデラー
原作/ジョージ・クレイトン・ジョンソン、ジャック・G・ラッセル
製作/ルイス・マイルストン
撮影/ウィリアム・H・ダニエルズ
美術/ニコライ・レミソフ、ソウル・バス
音楽/ネルソン・リドル
編集/フィリップ・W・アンダーソン
出演/フランク・シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィス・ジュニア、ピーター・ローフォード、アンジー・ディッキンソン、リチャード・コンテ、シーザー・ロメロ、シャーリー・マクレーン、パトリス・ワイモア、ジョーイ・ビショップ、エイキム・タミロフ、ヘンリー・シルヴァ、イルカ・チェイス、バディ・レスター、リチャード・ベネディクト、ノーマン・フェル、クレム・ハーベイ、ジーン・ウィルス、ジョージ・ラフト、レッド・スケルトン

モダンなタッチで描く楽しいギャング映画
魅力のキャスト! 素晴らしい構想! 迫りくるスリルとサスペンス!


クリスマスの1週間前、暗黒街の大物スプーロス・エースボス(エイキム・タミロフ)はラスベガスでの大仕事を計画していた。彼はダニー・オーシャン(フランク・シナトラ)に、その仕事をまかせた。オーシャンは第二次大戦中には空挺部隊の軍曹で、仕事の仲間に10人の戦友を呼んだ。
音楽家志望のサム・ハーモン(ディーン・マーティン)、元オートレース選手カーリー・ステファンズ(リチャード・ベネディクト)、金持ち息子のジミー・フォスター(ピーター・ローフォード)、電気技術師アンソニー・バーグドーフ(リチャード・コンテ)、元サーカス座員ロジャー・コーニール(ヘンリー・シルヴァ)、元プロ野球選手ジョッシュ・ハワード(サミー・デヴィス・ジュニア)ほかにヴィンセント・マスラー(バディ・レスター)、マッシー・オコナーズ(ジョーイ・ビショップ)、ピーター・レイマー(ノーマン・フェル)、ルイス・ジャクソン(クレム・ハーベイ)で、エースボスの家に終結した。
彼らにはそれぞれ大金の欲しい理由があった。オーシャンは計画を説明した。ラスベガスのサハラ、リビエラ、デザート・イン、サンズ、フラミンゴの5つ賭博場を、大晦日の夜12時きっかりに送電線を倒し停電させたスキに金を奪う。一味の5人はそれぞれの店で働き、他の5人は客になりすまし、ハワードはゴミ運搬車の運転手で、ゴミとともに金を運ぶ受持だった。
彼らはダニーの指揮のもと、軍隊式規律のもとに着々と準備をすすめた。バーグドーフは各賭博場のスイッチに仕掛けをした。大晦日、どこも乱痴気騒ぎで沸いていた。フォスターの母も6番目の夫デューク・サントス(シーザー・ロメロ)とともにきていた。12時、“蛍の光”のメロディとともに場内は真暗になった。つづいて停電、一味は金を奪ってゴミ溜にすてた。
[ネタバレ反転]
ハワードは運搬車で非常線をゆうゆう突破した。ところが、バーグドーフが道路上で急死した。一方、サントスはフォスターが当地にいることを知って何かをかぎつけ、賭博場の経営者たちに金を取りかえしてやるといった。サントスはオーシャンを訪ね、金を半分半分にしようと交渉した。オーシャンは金をバーグドーフの棺に隠し、本拠に運ぼうとした。そこに未亡人が遺体を引取りに来た。何も知らぬ彼女は葬儀屋のすすめで当地で火葬にすることにした。あわてて葬式に参列する11人とサントス……彼らの耳にゴウゴウと火葬場の音が聞こえてきた。



言わずと知れた『オーシャンズ11』の元ネタ。まあ、リメイク版で使われているのは「11人」という所と「カジノ襲撃」というプロットだけの、ほぼ別ものなんですが。オリジナルのこちらはラスベガスを舞台に、第二次大戦生き残りの戦友たちがくりひろげるコメディ・タッチのギャング映画です。シナトラ一家が総出演して、皆の息の合った演技がとても自然で男臭いゴキゲンな雰囲気ですね。フランク・シナトラは当時、ザ・サンズ・ホテルとの長期契約があり、ラスベガスの外へ出ることが出来なかったそうです。そのためロケ地をべガスにしてこの問題を解決し、昼は映画の撮影をして、夜はラットパックと呼ばれる一家のメンバーたちとステージに立つ。インタビューでアンジー・ディキッソンも言ってたけど、「いつ寝てたの?」状態だったようです。ショウがはけてからも遊んでたらしいし、なんとタフな……。でも、その「遊んでいる状態」が映画にもいい影響を与えたらしく、出演者のセリフは仲間ならではのアドリブが飛び交い、それをそのまま使ってるところもあります。ラストシーンで映ってるザ・サンズ・ホテルの看板はその時のものですね。
ただ、現在の目で見ると時代の変遷により、テンポが遅かったりラットパックが分からなくてノレない場合もあるかと。この映画はオールディーズやジャズのファンで、「シナトラ一家」をよく知っていて彼らのパフォーマンスが好きな人が楽しめる、大人のお祭り映画なんですね。彼らの一挙手一投足こそが、この映画の一番の「売り」なんです。ある意味、大人の「アイドル映画」ですね。

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『新・仁義なき戦い/謀殺』 (2003・日)
配給/東映
監督/橋本一
監修/山之内幸夫
脚本/成島出、我妻正義
原作/飯干晃一
企画/黒澤満、松田仁、川村龍夫、谷口元一、石綿智巳
プロデューサー/厨子稔雄、中山正久、岡田真
撮影/山本英夫
美術/吉田孝
装置/梶谷信男
装飾/三木雅彦
音楽/東京スカパラダイスオーケストラ、sembello
音楽プロデューサー/石川光
録音/佐俣マイク
整音/竹本洋二
音響効果/和田秀明
照明/赤松均
編集/米田武朗
衣裳/古賀博隆、TCクレオ、高橋匡子、野村昌司
助監督/東伸児
スクリプター/山下誠美
スチール/山本和美
擬斗/清家三彦
ナレーター/遠藤憲一
出演/高橋克典、渡辺謙、小林稔侍、高知東生、隆大介、石橋蓮司、南野陽子、遠野凪子、夏木マリ、伊原剛志、小林健、山田純大、志賀勝、鹿内孝、坂口憲二、滝沢沙織、薬師寺保栄、榊英雄、誠直也、小林太樹、安野清、山之内幸夫、田中哲司、三上市朗、城尚輝、渋谷憲一、迫英雄、加藤哲郎、長嶋玲子、笹木俊志、小峰隆司、司裕介、川上真人、浅田祐二、西村泰治、西村泰輔、小野順一、森保郁夫、高畑志織、平井三智栄、田中優貴、内堀美咲、山口宗人、脇田巧彦、長谷川清英、中矢伸志、澤居大介、和田哲弥、国政康考、松本龍輔、三嶋雅彦、長谷川賢一、中田裕二、小川友基、開原理菜、阪上正樹

人間は……おっとろしい生きモンや。
頭脳派の経済ヤクザを高橋克典、粗暴な武闘派ヤクザを渡辺謙が演じた本格任侠ドラマ。


大阪。西日本最大の暴力団である本家・佐橋組の意向を汲み、組の若返りのために引退を表明した尾田組組長・尾田常巳(小林稔侍)。若頭補佐・矢萩(高橋克典)は、その跡目に無二の親友で兄弟分でもある武闘派・藤巻(渡辺謙)を推そうとするが、狡猾老獪な尾田は自身の権力維持のために二人を牽制、傀儡の佐奈田(高知東生)を跡目に指名する。
これに腹を立てた藤巻は、巨大利権を求めて名古屋に進出。地元の一大勢力・竜紋会と一戦を交えるが、そのバックには関東の大組織・道明会が控えていた。
機に乗じて、竜紋会と尾田組の乗っ取りを謀る道明会の理事長・渡会(石橋蓮司)と佐橋組若頭・杉浦(隆大介)。
尾田組の存続を賭けて矢萩は事態を収拾すべく奔走するが、そんな彼の行動に不審を抱く藤巻。それは、あくまでも権力のトップにしがみつこうとする尾田の策略に乗せられての誤解だった。
[ネタバレ反転]
結局、暴走した藤巻によって矢萩は命を奪われてしまう。それから一年後、頭を失った矢萩組は解散に追い込まれ、藤巻は絶縁された。
尾田組のトップには、相変わらず尾田が居座っていた。




陰謀に満ちた極道の世界を描く人気シリーズ最終作。周囲の思惑に引き裂かれるやくざ同士の友情を描いた作品。現代やくざのリアルな描写に加え、バイオレンスも鮮烈! 『仁義なき戦い』のパブリックイメージにより近いスタイルで、エネルギッシュな人物像とやくざ抗争劇を描いています。単独でも鑑賞に支障はありませんが、物語は前作の後日談となっています。高橋克典演じるいわゆる経済やくざと、渡辺謙の古いタイプの武闘派極道の対比が物語の特徴で、主人公二人が共感しつつも対立し、破滅していくという悲劇のドラマが紡がれます。音楽は東京スカパラダイスオーケストラが担当し、おなじみのテーマ曲を現代風にアレンジしています。

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『新・仁義なき戦い。』 (2000・日)
配給/東映
監督/阪本順治
脚本/高田宏治
原作/飯干晃一
企画/黒澤満、松田仁、山之内幸夫
プロデューサー/厨子稔雄、豊島泉、椎井友紀子
撮影/笠松則通、村瀬治久
美術/秋好泰海
装置/増田道清
装飾/極並浩史
音楽監督/布袋寅泰
音楽プロデューサー/石川光
主題歌/布袋寅泰
録音/立石良二
整音/竹本洋二
音響効果/和田秀明、荒木祥貴
照明/杉本崇
編集/荒木健夫
衣裳デザイナー/武内一徳
衣裳/石倉元一、有吉麻美、下村由香
進行主任/佐藤鋼太
助監督/中川裕介
スクリプター/森村幸子
スチール/佐藤俊一
擬斗/土田淳之祐
出演/豊川悦司、布袋寅泰、佐藤浩市、岸部一徳、村上淳、小沢仁志、松重豊、大和武士、哀川翔、早乙女愛、余貴美子、織本順吉、曽根晴美、志賀勝、佐川満男、川上泳、水上竜士、中本奈奈、俊藤光利、康すおん、衣笠友章、浜田学、平井賢治、井川修司、大地義行、寺尾繁輝、久保田直樹、山田武、千田孝康、武田一度、山之内幸夫、岩尾正隆、谷口高史、伊吹友木子、村木勲、野口貴史、下祢秀平、梅林亮太、榎田貴斗、武井三二、福本清三、森保郁夫、森下桂子、春藤真澄、細川純一、鈴川法子、本山力、芳野史郎、秋谷まり子、大林菜穂子、宇口徳治、うわぎ喜代子、壬生新太郎、浅田祐二、小峰隆司、杉山幸晴

俺は生きざま、こいつは死にざまや。
名作任侠映画『仁義なき戦い』が、阪本順治監督×豊川悦司主演でよみがえる!


大阪。日本最大の暴力団・佐橋組の組長の死を発端に跡目争いで揺れる組内では、ナンバー2の若頭・溝口(織本順吉)は病気と老齢を理由に早々と辞退し、四代目候補として三番手の若頭補佐の粟野(岸部一徳)と世代交代を訴える中平(佐藤浩市)の名が挙がっていた。粟野組の幹部・門谷(豊川悦司)は、粟野を組長に押し上げるべく奔走。
一方の中平側は、コリアン実業家として手広くビジネスを張る栃野昌龍=本名・洪昌龍(布袋寅泰)の地下銀行に目をつけ、彼を取り込もうと躍起になっていた。しかし、韓秀国(哀川翔)を忠実な右腕とし手広くビジネスを張る昌龍は徹底したヤクザ嫌いで、中平の誘いには乗ろうとしない。そんな昌龍の動向を、門谷は注視していた。
実は、ふたりは貧民街で育ち、なんでも分け合った幼なじみだったのだが、今は別々の道を歩んでいた。やがて門谷の若い衆と中平の兄弟分の若い衆がいざこざを起こし、抗争が始まる。中平の策略で孤立を深めていく粟野。跡目争いは中平に有利に動いていった。
粟野は、遂に門谷に中平撃ちを命じるが、それは中平に執念深くまとわりつかれ、手切れの金を渡そうと居合わせた昌龍の前だった。門谷の若い衆は韓に抑え込まれ、中平の護衛によって撃たれ計画は失敗。韓は巻き添えで命を落とす。関谷は粟野に破門された。
煮え切らない粟野の態度に、左橋組舎弟頭の宮松(曽根晴美)も粟野組若頭の篠崎(志賀勝)もあいそをつかす。粟野は失脚し、四代目は中平が継ぐこととなる。ところが、昌龍の店で開かれた襲名パーティに再び門谷が乗り込んで銃を乱射した。しかし、またしても致命傷を与えることの出来ない門谷は、韓の弟に復讐の刃を浴びる。そんな彼の代わりに命を落としてまで中平を撃ったのは、昌龍だった。
[ネタバレ反転]
この事態に大慌ての組の幹部たちは、一度は引退を迫った粟野に四代目襲名を要請せざるを得なくなる。土砂降りの雨の中でほくそえむ粟野の前に傷ついた門谷が現れるが、破門がなかったことのように関谷をおだてる粟野に嫌気がさした門谷は、そんな世界に決別を告げる。傷ついた体を引きずって実家へ帰った関谷は、母の腕のなかで息絶えた。



今なお強い支持を受ける『仁義なき戦いシリーズ』が、新たに復活。群像劇のテイストを踏まえつつ極道者の戦いを描写。破滅する者、生き残る者の生きざまが、それぞれに鮮烈に描かれます。深作欣二監督の『仁義なき戦い』のリメイクとしながらも、舞台を大阪に移し、抗争も現代的な駆け引きを中心とした全く異なるクールなストーリーとなっています。深作監督は公開当時の宣伝用コメントや、各媒体インタビューで「自分が撮ったものとは違うが、これはこれでいい」という旨のコメントをしています。停電のシーンや蟹を食べるシーンなど、随所に深作版のオマージュとも取れる演出が施されていて、旧シリーズを知っている人には楽しい趣向です。

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『その後の仁義なき戦い』 (1979・日)
配給/東映
監督/工藤栄一
脚本/神波史男、松田寛夫
原作/飯干晃一
企画/日下部五朗、奈村協
撮影/中島徹
美術/佐野義和、高橋章
音楽/柳ジョージ
録音/溝口正義
照明/海地栄
編集/市田勇
助監督/鈴木秀雄、平野勝司、長岡鉦司
スチール/中山健司
出演/小松方正、星野美恵子、松方弘樹、松尾嘉代、花紀京、森愛、ガッツ石松、小峰隆司、司裕介、勝野健三、友金敏雄、山辺薫、佐野浩二、村居京之輔、岡島艶子、富永佳代子、美松艶子、仁科治子、宇崎竜童、原田美枝子、松崎しげる、小池朝雄、橘麻紀、片桐竜次、松林龍蒼、立川光貴、田辺久子、広瀬義宣、下茂山高也、大矢敬典、細川俊之、池田謙治、小谷浩三、谷岡さとみ、丸平峰子、佐々木孝丸、鈴木康弘、金子信雄、成田三樹夫、曽根晴美、岩尾正隆、笹木俊志、福本清三、本田陵、小坂和之、根津甚八、吉岡靖彦、絵沢萠子、白井滋郎、藤村富美男、山崎努、山城新伍、宮内洋、有川正治、秋山勝敏、林彰太郎、山田良樹、桂登志子、榊淳、峰蘭太郎、宮城幸生、蓑和田良太、石田くに、泉谷しげる、阿波地大輔、大木正治、ダウン・タウン・ブギウギ・バンド、バーブ佐竹

組同士の抗争を背景に、そこでのたうち回るように宿命と闘う若い組員たち。
固い友情で結ばれた3人の男の末路を描く。


大阪に本家を置き、全国に配下六〇〇の団体を持つ大組織石黒組の若頭・山崎新一郎(鈴木康弘)が突然交通事故で死亡した。石黒組若頭の地位は次期石黒組々長の椅子が約束されているだけに、石黒組若頭補佐・浅倉組々長(金子信雄)と花村組々長(藤村富美男)の二人は互いに、若頭の椅子を狙って目を光らせていた。その浅倉組と北九州竜野組とは親子の盃を交し、頻繁に行き来していた。
九州には、血縁で結ばれていたもう一つの組、大場建(片桐竜次)、淳(松林龍蒼)、登(立川光貴)の大場三兄弟という兇暴な兄弟を中心にした藤岡組があった。藤岡組は大組織の傘下に入っておらず、そのため竜野組に押され、かろうじて土木業で凌いでいる。竜野組若衆、根岸昇治(宇崎竜童)と水沼啓一(松崎しげる)は行儀見習のため、浅倉組に預けられていたとき、朝倉組系津ケ谷組の若衆、相馬年男(根津甚八)と意気投合、それ以来三人は、いつも一緒だった。
ある日、啓一がカラオケで唄ったプロ顔負けの唄が元で三人はその場に居合せた大場兄弟と喧嘩となってしまった。その時、年男はその場にいた昇治の妹、明子(原田美枝子)と知り合い、その後すぐに竜野組長の仲介で婚約する。数日後、昇治、啓一ら竜野組若衆が大場三兄弟を襲う事件が発生した。一方、石黒組は空席となっている若頭の席を、当分の間、浅倉と花村の二人に預けると発表。不満でならない浅倉は、花村を蹴落すための行動を開始した。
まず傘下の竜野組を破門し、竜野組と以前から小ぜり合いを繰り返している藤岡組を抱き込んで竜野を殺させる。そうすれば、親分を殺された竜野組代貸、池永(松方弘樹)はムショ兄弟の花村組の高木(山崎努)に泣きつき、もし高木が乗り出してくれば、縄張り荒しをすることになると浅倉組若頭・津川(成田三樹夫)は計算したのだ。津川は年男に竜野殺しの手引きを命ずる。年男は友を裏切ることに動揺するが、弾かれたように行動してしまう。
竜野組がじゃまでならない藤岡(小池朝雄)も津川の取り引きに乗った。そして大場兄弟の末弟、登が竜野を殺害、その場にいた年男を見た昇治と啓一は不信に思い、年男をリンチにするが、明子と池永の口利きで命だけは助けられる。池永はムショ兄弟の高木から武器を仕入れ、藤岡組に殴り込みをかけ、大場兄弟を仕止めたものの、藤岡の首を取ることはできなかった。
気の弱い池永の弟、誠三(花紀京)は警察の取り調べに、武器の入手先などをぶちまけてしまい、池永は組の再建を約して逃亡生活に入り、こうして明治以来三代続いた竜野組は潰れた。浅倉は計画通り石黒組若頭になったが、就任直後、逃亡していた昇治に射殺され、昇治も惨殺されてしまう。しかし、浅倉組はびくともせず、津川と藤岡は血縁の盃を交す。
[ネタバレ反転]
明子と共に大阪に逃げた年男は、麻薬の虜になっていた。そこへ、逃亡に疲れた池永がやってきて、麻薬の売買をして竜野組の再建をもちかける。年男は資金集めのため、スター歌手になった啓一から三百万円を強請取るが、浅倉組の釜本(山城新伍)に横取りされてしまった。二人は釜本、津川を殺して金を取り戻すが、池永は射殺され、辛うじて逃げた年男は、その金を啓一に送り返し、あてどもなく雑踏を歩き廻った。
昭和五十三年四月、大阪大正区の路上にて相羽年男・二十六歳、津川組々員により射殺される。




暴力組織の新旧世代交代に伴う激烈な内部抗争に集点を絞り、その中で翻弄される若いヤクザたちの友情、裏切り、戦い、生きざま死にざまを描く作品。チンピラたちの青春残酷物語といった感じで、挿入歌が無駄に多いところは後の万人向けの角川映画のような印象。光と影の使い方がうまい工藤栄一監督は、逆光を巧みに使って美しい画面を描きます。

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『新仁義なき戦い 組長最後の日』 (1976・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/高田宏治
企画/日下部五朗、橋本慶一、奈村協
撮影/中島徹
美術/雨森義允
音楽/津島利章
録音/中山茂二
照明/増田悦章
編集/市田勇
助監督/野田和男
スチール/中山健司
出演/菅原文太、和田浩治、松原智恵子、桜木健一、尾藤イサオ、多々良純、中原早苗、梅津栄、西田良、地井武男、南条弘二、名和宏、八名信夫、木谷邦臣、汐路章、織本順吉、林彰太郎、小沢栄太郎、成田三樹夫、笹木俊志、白川浩二郎、福本清三、秋山勝俊、藤岡琢也、大木晤郎、有川正治、曽根将之、成瀬正、山本麟一、丘路千、岩尾正隆、南道郎、阿波地大輔、川谷拓三、片桐竜次、松本泰郎、中村錦司、横山リエ、衣笠恵子、内村レナ、芦田鉄雄、小林稔侍、疋田泰盛、蓑和田良太、唐沢民賢、江幡高志、堀めぐみ、三上寛、郷英治、野口貴史、酒井哲

暴力団抗争の中で常に上部組織に泣かされ“無用の血"を流す弱小組織の男達を
取り上げた、「深作・文太」コンビ会心の新シリーズ第3弾。

坂本英光組長(小沢栄太郎)が統率する大阪の坂本組は、日本最強、最大の組織を誇る暴力団である。閏年の2月29日夜、坂本組と尼ケ崎・河原組の準構成員であるバイ人同志の縄張り争いでパンマが殺害され、抗争事件へと発展した。
仲間を殺された坂本組系・米元組々員の中道(和田浩治)が単身、河原組へ殴り込み拳銃を乱射したため、河原組々員がその報復として、米元組長(藤岡琢也)を狙撃、次いで坂本組の事務所を爆破させた。これは、九州・広島・下関の組織からなる七人会のバック・アップを得た河原組の坂本組への挑戦だった。
坂本組では緊急幹部会が開かれたが、河原組壊滅を唱える米元派と、警察の介入を恐れる松岡派との意見が対立した。一方、九州玄竜会では、坂本組の九州進攻作戦に備え、会長の船田(名和宏)、副会長の岩木(多々良純)以下、各組長が着々と準備を進めていた。老齢の岩木組組長の後継者と目される若者頭の野崎修一(菅原文太)は沈着冷静な男として評判が高いのだが、中道の女房・麻美(松原智恵子)が野崎の妹であり唯一の肉親であるため、微妙な立場に立たされていた。
阿蘇温泉で岩木が女マッサージ師によって殺された。米元の放った刺客であると睨んだ野崎は、寒川松蔵(地井武男)、加田伸吉(尾藤イサオ)他の子分を連れて大阪へ乗り込んだ。だが、その間に坂本、松岡(成田三樹夫)、米元たちが小倉へ行き、船田と和解協定を結んだ。そして船田に説得された野崎は断腸の思いで復讐を諦らめるのだった。
だが、野崎からの中止命令を待たずして米元の家に潜入していた殺し屋ジョー(郷英治)が、米元の妾と子分を殺してしまったために、烈火の如く怒った米元は船田に熱湯を浴びせかけ、再び険悪な空気が漂った。しかし、意外にも船田は、智恵者・松岡の提案した玄竜会には分の悪い和解に同調する腹づもりだった。
ついに野崎は、船田の反対を押し切って、単独で坂本の首をとる決意をし、ハイウェイでドライブする坂本たちをダンプカーで襲った。だが、今一歩のところで、伸吉が運転を誤り失敗。野崎の首に500万円の賞金を賭け坂本組に謝罪した船田は、米元を破門し体面をつくろった松岡の絵図にまんまと陥っていくのだった。
[ネタバレ反転]
今や、手負い獅子となった野崎は大阪に潜入、チャンスを狙っていた。そして野崎をつけ狙うチンピラ西本(桜木健一)、子分でありながら裏切った寒川らを始末した野崎は、麻美の家を訪れた。九州の事件で片足を失った中道は、止める麻美を振り切り、野崎を撃とうとするが、車に轢ねられ即死してしまった。そして野崎は、天王寺駅でついに坂本を追いつめたが、坂本は発病して救急車で病院に運ばれ、野崎もまた坂本の子分に撃たれた。野崎は逮捕されて警察病院に運ばれた。しかし、麻美、伸吉の協力を得て病院から脱出した野崎は、坂本の病院先へ向かった。そして、付き添いの松岡を振り切り、今では枯木同然に横たわる坂本に向って、引き金を引いた。



『仁義なき戦いシリーズ』最終作。暴力団の抗争の中で常に上部組織に泣かされる弱小組織の男が、組長の命を狙い続ける執念を描いたアクション映画。シリーズを通して主人公が組長に利用され翻弄される展開でしたが、最終作で遂に「暴れ犬」文太の真骨頂を見ることができます。深作欣二・菅原文太のコンビが一番作りたかった作品といわれています。ただし、印象としては普通のプログラムピクチャーのヤクザ映画という感じで、小粒に見えます。

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『新仁義なき戦い 組長の首』
(1975・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/佐治乾、田中陽造、高田宏治
企画/日下部五朗、橋本慶一、奈村協
撮影/中島徹
美術/鈴木孝俊
音楽/津島利章
録音/中山茂二
照明/若木得二
編集/堀池幸三
助監督/清水彰
スチール/木村武司
出演/菅原文太、成田三樹夫、織本順吉、室田日出男、山崎努、西村晃、梶芽衣子、ひし美ゆり子、一の瀬玲奈、中原早苗、渡瀬恒彦、小林稔侍、三上寛、汐路章、睦五郎、林彰太郎、西田良、片桐竜次、藤沢徹夫、小峰一男、木谷邦臣、八名信夫、野口貴史、笹木俊志、岩尾正隆、内田朝雄、川谷拓三、秋山勝利

組織に生きる人間関係の醜さと人間の内面に潜む憎悪、猜疑、野望がむき出しになる時、
また新たな“戦い"が始まる!


昭和43年。覚醒剤を主とする密輸品は、古くから関門海峡の周辺を密輸基地に陸揚げされ、日本全国の暴力組織に捌かれていた。その莫大な利権をめぐって対立する大和田組と共栄会の二大組織があった。大和田組幹部・楠鉄弥(山崎努)は、親分・大和田徳次(西村晃)の命で、流れ者・黒田修次(菅原文太)、組員・須川(渡瀬恒彦)とともに、共栄会々長・正木を襲撃、黒田は自から単独殺人を認め殺人罪で刑務所へ収監、10年の刑を受けた。
共栄会は組長の死以後、崩壊し、大和田組は勢力を拡大した。大和田の娘・美沙子(梶芽衣子)を妻にした楠の面会がとだえてから七年、黒田は仮出獄した。黒田はその足で楠を訪ねたが、楠はヒロポン中毒になっていた。一方、大組織化した大和田組にも派閥ができた。相原(成田三樹夫)、赤松(室田日出男)、井関(織本順吉)、高山(睦五郎)、郷田(汐路章)の各幹部である。
久しぶりに大和田と対面した楠は黒田の懲役慰労金として五百万円要求するが、その気のない大和田は逆に楠を破門した。そこで楠は黒田とともに大和田の妾宅を襲い、大和田と品子(中原早苗)を脅迫、五百万円出すことを約束させた。数日後、相原は黒田にヒロポンを渡し、赤松組の縄張り内で売るように依頼した。赤松組の了解を得ているということで、黒田は舎弟分の志村と笹木に商売をさせたのだが、赤松組組員と乱闘事件を起こした。そして、この報復として笹木が赤松を刺殺、自分も殺されてしまった。これは、相原が大和田組から独立を企でていた赤松を抹殺するためにしくんだものだった。
その相原は、秘かに、大阪の野崎組の後押しで、大和田組の二代目を狙っている。数日後、大和田組の幹部会が開かれ、大和田は二代目として井関を推した。そしてその場で、黒田との親子の盃、井関・黒田の兄弟分の盃もかわされた。怒った相原は、楠に、大和田が楠を狙っており、美沙子を黒田の妻にするらしい、とそそのかした。
[ネタバレ反転]
相原の言葉を信用した楠は、大和田を射殺した後、精神異常者として病院に運ばれた。大和田の通夜の日、井関らの前で、野崎は二代目として相原を推した。強力な組織を持つ野崎に、井関は従がわなければならなかった。相原は、井関に黒田殺しを要求した。兄弟分を殺すことはできぬ、と井関は所払いを願いでた。
全てを知った黒田は、組のバッヂを投げ捨て、相原の首を殺ることを決意。二代目襲名の挨拶廻りのために、相原、井関たちは、大阪へと向かった。その後を、黒田、志村、須川が追った。“組長の首”を殺りに……。




『新仁義なき戦いシリーズ』第二作。ヤクザ組織に生きる男たちの、憎悪、猜疑、野望を赤裸々に描く作品です。広島抗争を描いた前作までと異なり、本作からは北九州市での抗争を描いたオリジナル脚本となります。ギラギラした剥き出しの欲望が売りの『仁義なき戦いシリーズ』ですが、それまでの演技がステロタイプとして落ち着いてしまって覇気が無く、心情描写にしても、どうにも昔の着流し任侠映画を彷彿とさせる退化を感じさせてしまいます。

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『新仁義なき戦い』 (1974・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/神波史男、荒井美三雄
原作/飯干晃一
企画/日下部五朗
撮影/吉田貞次
美術/雨森義允
音楽/津島利章
録音/溝口正義
照明/中山治雄
編集/宮本信太郎
助監督/藤原敏之
スチール/中山健司
出演/菅原文太、金子信雄、中谷一郎、田中邦衛、宍戸錠、八名信夫、睦五郎、佐藤京一、誠直也、渡瀬恒彦、司裕介、奈辺悟、広瀬義宣、安藤昇、守田学哉、内田朝雄、名和宏、秋山勝俊、汐路章、室田日出男、松方弘樹、西田良、志賀勝、川谷拓三、成瀬正孝、片桐竜次、中原早苗、松尾和子、池玲子、橘麻紀、小泉洋子、中村錦司、山城新伍、宮城幸生、若山富三郎

深作欣二監督による『仁義なき戦い』の続編シリーズ第1弾。

昭和25年秋、呉・山守組若衆・三好万亀夫(菅原文太)は、親分・山守義雄(金子信雄)に敵対する土田組々長を襲撃、逮捕され十一年の刑を宣告された。三好が刑務所生活を続ける内に、山守組は膨張し、やがて派閥ができた。山守組長をバックアップする坂上元(田中邦衛)派、山守を凌ぐ勢いの若頭・青木尚武(若山富三郎)派、そして中立を守る難波茂春(中谷一郎)派である。分の悪い山守は、近く出所予定の三好を自分の陣営に入れるために画策した。
昭和34年春、三好が仮出所した。彼を出迎えたのは、彼を慕う若者・北見登(渡瀬恒彦)だけだった。数日後、名古屋の料亭で三好の放免祝いが行なわれたが、意外にも山守、青木、坂上、難波等が呉越同舟し、それぞれ三好を自分の陣営に入れるべく働きかけるのだった。数日後、広島最大の海津組に接近し山守に加勢しようとした難波を青木が殺した。そして、青木自身が海津組に接近、対山守の後楯になるよう計った。
それから間もなく青木は三好を呉に誘った。これを青木の策謀と見ぬいた三好は、恋人同然の朝鮮人ホステス・恵子(池玲子)を、いざという時の弾よけとして連れて呉へ向かった。青木は三好を歓待するが、その裏では子分たちに三好襲撃を命じた。恵子は三好の行動から自分が楯に使われている事を知り、三好を激しく罵ると彼のもとを去った。
一方、青木は海津組々長に通じ、しかも自分の意に添う難波組若衆頭・野崎満州男室田日出男)と縁組、さらに三好に圧力をかけ、四国・松山に後退させておいて、ついに山守を引退に追いやった。その上、難波組二代目に野崎を押し、これに反対する関勝(松方弘樹)を襲撃、重傷を負わせた。
一方、権謀術策に長ける山守の巻き返しが着々と進行していた。山守は坂上を走らせ、関勝の報復を餌に、三好に青木暗殺を促した。三好は山守の魂胆を見抜くが、ここは己れが殺るか殺られるかの瀬戸際と見て取り、自らの指を詰めて海津にさし出し、青木の後楯を立ち切らせておいて、舎弟の北見及び関の残党に青木襲撃の策をさずけた。
[ネタバレ反転]
昭和34年秋、青木の主催する興行開催の日、多数の警備に囲まれて陣頭指揮する青木めがけて北見たちは突進した。壮絶な死闘が展開され、青木のとどめは、突如現われた繃帯姿の関勝が射った。数日後、山守の家で祝盃があげられ、涙を流して喜ぶ山守は、憮然とする三好に何度も頬ずりして感謝した。「有難と。有難と。わりゃあ、日本一の極道よのう」……。



『仁義なき戦いシリーズ』五部作の後を受けた新シリーズの第一作目。広島・呉にあるやくざ組織の内部分裂、権力闘争をドキュメンタリー風に赤裸々に描いたやくざ映画です。『仁義なき戦い』1作目の後半部分である山守組内部抗争をリメイクしたもので、菅原文太演じる広野昌三(『新〜』では三好万亀男)が渋くて格好つけすぎな面もありましたが、本作では暴力的で狡猾な欲望むき出しの役柄となっています。こちらの方が、実在のモデルに近いのだとか。前シリーズでは無名の若手俳優がギラギラと熱演し効果を上げていましたが、本シリーズでは大物俳優たちの存在感が楽しめます。

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『仁義なき戦い 完結篇』 (1974・日)
配給/東映
監督/深作欣二、皆川隆之
脚本/高田宏治
原作/飯干晃一
企画/日下部五朗
撮影/吉田貞次
美術/鈴木孝俊
音楽/津島利章
録音/溝口正義
照明/中山治雄
編集/宮本信太郎
スチール/木村武司
出演/菅原文太、伊吹吾郎、野口貴史、寺田誠、桜木健一、松方弘樹、唐沢民賢、白川浩三郎、小林旭、北大路欣也、西田良、曽根晴美、成瀬正孝、宍戸錠、山田吾一、誠直也、織本順吉、高並功、八名信夫、山城新伍、木谷邦臣、田中邦衛、国一太郎、川谷拓三、金子信雄、岩尾正隆、鈴木康弘、天津敏、内田朝雄、野川由美子、藤浩子、中原早苗、橘麻紀、賀川雪絵

やくざ組織の再編成にともなう流血の縄張り争いが再然する。

広能組・打本会の連合と山守組との広島抗争は、警察による組長クラスの一斉検挙、いわゆる「頂上作戦」によって終息に向かう。広能組々長・広能昌三(菅原文太)は網走刑務所に収監された。その後、大友組が勢力を回復、広島のやくざ組織は、山守組、打本会、大友組の三巴の対立となっていた。だが、彼らは警察の目を欺くために山守義雄(金子信雄)を会長に、傘下の武田組、江田組、早川組(元打本会)、大友組、呉の槙原組、さらに徳山、福山など近郊都市の組織までも大同団結させて、政治結社「天政会」を発足させた。
昭和41年春。天政会々長の二代目を継いだ武田明(小林旭)は、警察の取締りに対処し、会の再建強化を図るが、反主流派の大友勝利(宍戸錠)、早川英男(織本順吉)らの反発にあう。41年4月3日。天政会にすっかり抑えられていた、広能の兄弟分である呉の市岡組々長・市岡輝吉(松方弘樹)は、天政会の混乱に乗じ、天政会参与・杉田佐吉(鈴木康弘)を襲撃し射殺した。この事件で不穏な動きを察知した県警は、天政会壊滅のため、武田以下首脳を順次検挙する方針を打ち立てた。
保釈の身であった武田は、再逮捕される前に先手を打ち、腹心の若頭・松村保(北大路欣也)を三代目候補に推薦した。しかし、この処遇を快く思わない大友、早川は激しく反発、松村殺害を企てるが未遂に終る。その頃、網走刑務所に服役中の広能昌三は、獄中ひそかに過去の抗争を記録した手記を綴っていた。
刑務所を訪れた市岡は、大揺れの天政会の現状と、今こそ広能に広島をとるチャンスが到来したと告げた。43年秋。市岡は、かねてより親しかった早川を介して、大友と兄弟分の盃を交し、広島進出の足掛りを掴み、松村組の縄張り内に組員を送り込み挑発。44年11月15日。遂に腹に据えかねた松村は、市岡を殺害、これを期して、政治結社としての天政会を解散させると同時に傘下各組をも解散、自分の直属にした。
45年6月、武田が出所し再び会長に復帰。四ヵ月後に出所する広能を恐れていたのは、呉の槙原政吉(田中邦衛)だった。羽振りのいい槙原組に対し、広能組は先に殺された市岡輝吉の報復もできず肩身の狭い思いをしていた。45年6月30日。呉市繁華街で広能組組員・清元忠(寺田誠)が槙原組々長を射殺。45年9月18日。広能昌三が七年振りに出所した。武田は直ちに広能に天政会との関係を円満に運ばせるべく説得、松村も秘かに広能と会い、武田引退の旨を知せると同時に、広能にも引退を迫った。この時、既に広能は引退を決意していた。
[ネタバレ反転]
45年11月18日。三代目就任の決まった松村が、その挨拶に江田省一(山城新伍)を伴って関西を訪れる途中、反対派の襲撃を受け、江田は即死、松村は重傷を負った。45年11月24日。松村は重体のまま、県警の中止警告や市民の批判を無視して、予定通り襲名披露を強行した。一方、広能は若頭・氏家(伊吹吾郎)を伴い式に参列、松村に組員たちの進退を依頼した。
広能組が天政会の傘下に入ったため、槙原組は浮き上ってしまった。46年1月16日。追いつめられた組長なき槙原組々員は、広能組々員を襲撃、一人は即死、一人は重傷を負った。すでに、広能昌三の手の届かぬところで、若者たちは無軌道な流血を繰り返していくのだった。




『仁義なき戦いシリーズ』の第五弾。完結篇と謳っていますが、実際は第四部『仁義なき戦い 頂上作戦』のラストで第二次広島抗争は終焉を迎えていたため、内容は第三次広島抗争を描いています。服役していた組長・幹部などの出所をきっかけに、組織の再編成にともなう流血の縄張り争いが再然し、まるで三国志のようです。シリーズのヒットに東映が続編の公開を決定してしまいますが、脚本を担当していた笠原和夫氏は第四部で終了した事を主張し、執筆を拒否。そのため本作の脚本は、東映で笠原氏とともに数々のヤクザ映画を担当してきた高田宏治氏が執筆しています。そのためか、微妙にカラーが違っていて、ややこじんまり纏めた感じです。一方、第一作から出ずっぱりの卑怯だが妙に憎めない小悪党・槙原(田中邦衛)がとうとう最期を迎えたり、常軌を逸した暴走野郎・市岡輝吉(松方弘樹)のキャラなど、お楽しみ部分も多いです。

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『仁義なき戦い 頂上作戦』 (1974・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/笠原和夫
原作/飯干晃一
企画/日下部五朗
撮影/吉田貞次
美術/井川徳道
音楽/津島利章
録音/溝口正義
照明/中山治雄
編集/宮本信太郎
助監督/土橋亨
スチール/中山健司
出演/菅原文太、八名信夫、黒沢年雄、野口貴史、加藤武、西田良、長谷川明男、有川正治、小林稔侍、三上真一郎、小倉一郎、金子信雄、木村俊恵、志賀勝、田中邦衛、大木悟郎、成瀬正孝、小林旭、笹木俊志、山城新伍、平沢彰、梅宮辰夫、遠藤太津朗、木谷邦臣、室田日出男、夏八木勲、白川浩二郎、小池朝雄、松方弘樹、内田朝雄、曽根晴美、小田真士、中村錦司、潮健児、紅かおる、芦田鉄雄、鈴木瑞穂、嵐寛寿郎、汐路章、堀越光恵、中原早苗、城恵美、賀川雪絵、渚まゆみ

広域暴力団の代理戦争と化した広島抗争の血みどろの軌跡。

昭和38年春、西日本広域暴力団明石組と、ライバル神和会との代理戦争とも言うべき広島抗争は、激化する一方だった。明石組系の打本組《広島》と手を組む広能組《呉》、神和会系の山守組《広島》の双方は、はっきりと対立の様相を呈していた。同年5月相次ぐ暴力事件への市民の批判と相まって、警察は暴力団撲滅運動に乗り出し、暴力団のトップや幹部を標的にした“頂上作戦”を敷いた。
その頃、呉市では広能組が、山守組傘下の槙原組と対立していた。広能(菅原文太)と打本(加藤武)は、広島の義西会・岡島友次(小池朝雄)に応援を依頼し、ひたすら中立を守る岡島を、明石組の岩井も説得する。やがて、広能組の若衆・河西(八名信夫)が、槙原組の的場(成瀬正孝)に射殺されたことから、広能と山守(金子信雄)の対立は正に一触即発となった。
一方、広島では、打本組々員・三上(有川正治)が、誤って打本の堅気の客を殺害したことから、一般市民、マスコミの反撥が燃えあがり、警察も暴力取締り強化に本腰を入れはじめた。山守組系の早川組若衆・仲本(夏八木勲)が、女をめぐって打本組の福田(長谷川明男)を襲撃、惨殺した。同年6月19日/山守組傘下の江田組々員が、打本組の若衆に凄絶なリンチを加え、一人を死に至らしめた。だが、打本は、その弱腰から報復に打って出なかった。
広能は、岩井(梅宮辰夫)の発案で、殺された組員・河西の葬式を行なうという名目で、全国各地から応援千六百人を集め、一気に山守組に攻め込もうとした。同年7月4日/打本が、山守系の武田組に位致され、山守に脅迫されたために、広能の計画を吐いてしまった。山守は早速、警察に密告する。
同年7月5日/広能は別件容疑で逮捕され、明石組とその応援組員は呉から退去。ここに形勢は逆転し山守、福原が呉を支配するようになった。以後も、広熊組と槙原組との間に、血の応酬が相次いだ。同年8月下旬/岡島友次は、愚連隊川田組々長を金で買収し、山守勢と対決すべく決心をした。
同年9月8日/岡島の動向をキャッチした山守は、組員・吉井(志賀勝)に、岡島を射殺させた。同年9月12日/打本組の谷口等(小林稔侍)が山守組のアジトに、義西会の藤田等(松方弘樹)が江田組事務所に、それぞれ爆弾を投げ込んだ。
同年9月21日/命を狙われ憔悴した山守は、早川組のバーに身を隠していたが、そこにも打本組々員が殴り込み、山守はからくも逃亡した。いきり立つ打本組若衆たちは、山守・江田両組の組員たちと凄絶な市街戦を行ない、市民を恐怖のどん底に陥入れた。
[ネタバレ反転]
暴力団追放の世論が沸騰し、警察と検察当局は、ついに幹部組長一斉検挙に踏み切った。やがて、山守は逮捕された。一方、岩井は、広島に乗り込んで義西会を中心に陣営の再建に着手し始めるが、武田(小林旭)は、暴力団を糾合して、岩井の挑戦を真向から受けて立った。
同年9月24日/明石組事務所を、武田組組員が爆破。明石組は、これを神和会の仕業と誤解して即座に報復したために、武田組と岩井組の間で、激烈な銃撃戦の火ブタが切って落された。かくして、広島抗争事件は、西日本をゆるがす大流血事件と発展してしまった。死者17名、負傷者20余人を出した実りなき抗争。広能は、ひとり獄舎で深い虚しさを噛みしめていた……。




「仁義なき戦い」シリーズ第四作。昭和38年春から39年へかけて、敵対する二つの広域暴力団の代理戦争とも言うべき広島抗争を、ダイナミックな演出で人間喜劇とも言うべき愚かしさを描く作品です。お馴染みの山守のある意味真っすぐな外道っぷりに勝る、打本の腐れた外道っぷりは爆笑もの。混迷する駆け引きを描いた前作に比べると、派閥がわかりやすくなっています。及び腰な親分衆に対し、鬱屈したものを爆発させたい若い衆の暴発の連鎖が凄まじいです。一般市民の犠牲や、抗争事件の取材に躍起になるマスコミ、そして暴力団一斉検挙に乗り出した警察という要素が加わって、混沌喜劇を冷徹に見詰める視点が凄みを増しています。

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『仁義なき戦い 代理戦争』
(1973・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/笠原和夫
原作/飯干晃一
企画/日下部五朗
撮影/吉田貞次
美術/雨森義允
音楽/津島利章
録音/野津裕男
照明/中山治雄
編集/堀池幸三
助監督/篠塚正秀
スチール/藤本武
出演/菅原文太、五十嵐義弘、川谷拓三、渡瀬恒彦、野口貴史、金子信雄、木村俊恵、田中邦衛、小林旭、成田三樹夫、山城新伍、鈴木康弘、内田朝雄、曽根晴美、加藤武、室田日出男、丹波哲郎、山本麟一、遠藤辰雄、梅宮辰夫、木谷邦臣、大木晤郎、成瀬正孝、大前均、汐路章、北村英三、堀越光恵、中村英子、太田のり子、池玲子、小田真士、名和宏

ヤクザ組織の抗争の中で展開する欲望と裏切り、そして凄惨な復讐のさまを描く。

昭和三十五年四月、広島市最大の暴力団村岡組の第一の実力者杉原(鈴木康弘)が、博奕のもつれから九州のやくざに殺された。杉原の兄弟分打本組々長・打本(加藤武)はこの時、きっちりと落し前をつけなかったために、村岡組の跡目をめぐって熾烈な抗争が起こることになった。
山守(金子信雄)も村岡組の跡目に野心をもつ一人で、広島に顔の利く広能(菅原文太)を強引に山守組傘下に復縁させた。一方、打本も、村岡組の幹部江田(山城新伍)と共に広能と兄弟盃を交わし、更に日本最大の暴力団、神戸の明石組へ広能を介して盃を申し入れた。そして、打本は明石組々長・明石辰男(丹波哲郎)の舎弟相原(遠藤辰雄)と兄弟盃を交わした。しかし、明石組の勢力をバックに村岡組の跡目を狙う打本の思惑は村岡の気分を害することになり、跡目は山守に譲られた。かくして、山守組は広島最大の組織にのし上った。
その頃、山守系の槙原(田中邦衛)の舎弟分・浜崎と打本の舎弟分・小森が岩国でもめていた。山守は傘下の者を督励して岩国へ兵隊を送った。打本と兄弟分の広能や江田はそれには参加しなかったが、筋目を通すために松永(成田三樹夫)、武田(小林旭)と共に打本に盃を返した。孤立無援になった打本は指を詰め、明石組へと逃れた。明石組は早速、最高幹部の宮地(山本麟一)や相原を広島に送った。やむなく広能たちは打本に詫びを入れ、浜崎と小森は打本の仲裁で手打ち、という事になった。これは事実上山守組の敗北である。
やがて、打本は兼ねての念願が叶って明石から盃を受け、その傘下に加った。結果、明石組は遂に広島にくさびを打ち込んだことになった。山守は対抗上、明石組に対抗できる唯一の暴力団、同じ神戸の神和会と縁組みすることにして、その斡旋を広能に依頼するが、広能は冷たく拒否した。数日後、広能は槙原の若い者に命を狙われた。広能ははっきり山守の存在がこの世界のためにならぬと思い、罠にはめるべく、神和会との渡りをつけた。神和会は山守組と兄弟盃を交わした。これによって広島に於いて二大勢力の対決という事になったが、明石組は広能らに打本との盃を復活するようにと強硬に申し入れてきた。広能は打本との盃を復活した。
[ネタバレ反転]
それを知った神和会は山守の責任を厳しく追求してきた。広能の思惑は見事に当ったが、しかし老獪な山守は、全ての責任を広能におしつけ、破門することで逃れた。明石組は、広能の窮地を救うため、打本に命じて武田、松永らを絶縁させた。しかし武田は、元打本組の早川を抱き込み、打本を襲撃した。昭和三十八年五月、遂に広島抗争事件の幕が切って落された。



「仁義なき戦いシリーズ」第三作。やくざ組織の抗争事件の裏に渦巻く、欲望、背信、復讐の凄惨かつ陰惨な組織の実態を描く。集団心理劇を描いた第一部から、情念の物語である第二部を経て、再び本作では集団心理劇が描かれました。その脚本の構成とダイナミックな演出は高い評価を得、1973年のキネマ旬報ベストテン第8位に選ばれました。脚本を担当した笠原和夫は本作を「日本でも一、二位を争う群像劇になったと思う」と語っています。目まぐるしく敵になり味方になるキャラたち各々の、ゲスなやり取りがおもしろ過ぎです。本格的な抗争は次作からですが、前哨戦的な駆け引きが屈指の見所で、目が離せません。シリーズ最高傑作との呼び声も高い作品です。

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『仁義なき戦い 広島死闘篇』 (1973・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/笠原和夫
原作/飯干晃一
音楽/津島利章
撮影/吉田貞次
編集/宮本信太郎
出演/菅原文太、前田吟、松本泰郎、司裕介、金子信雄、木村俊恵、名和宏、成田三樹夫、北大路欣也、山城新伍、宇崎尚韶、笹木俊志、木谷邦臣、小池朝雄、堀正夫、遠藤辰雄、国一太郎、川谷拓三、藤沢徹夫、白川浩二郎、千葉真一、大木晤郎、室田日出男、八名信夫、志賀勝、広瀬義宣、北川俊夫、加藤嘉、中村錦司、梶芽衣子、小松方正、北村英三、宮城幸生、松平純子、汐路章

ヤクザ組織の代理戦争でもある“広島ヤクザ戦争”の実態を、
組織に利用され裏切られる男を通して描く。


1950年(昭和25年)、広島市。無銭飲食により博徒大友組・大友勝利(千葉真一)のリンチを受けた復員兵・山中正治(北大路欣也)は、村岡組組長・村岡常夫(名和宏)の姪で未亡人である上原靖子(梶芽衣子)によって手厚く看病される。その縁で山中は村岡組組員となるが、ふとした事から靖子と男女の関係となり、それが村岡組長の逆鱗に触れ山中は若頭・松永(成田三樹夫)の指示で九州へ逃れる。しかし九州での和田組組長射殺事件により山中の名は裏社会で大きく轟くこととなり、山中は広島への帰参を許され、靖子との交際も村岡組長の認める所となった。
一方大友組組長である大友勝利は、実父である大友連合会会長の大友長次(加藤嘉)に、日頃の行いを叱責される。勝利は「美味いものを食い、いい女を抱く」ため大きなシノギを狙い、村岡組が警備を任されている競輪場のトイレをダイナマイトで爆破。村岡組組員の江田(山城新伍)たちと激しく対立する。また、時森勘市(遠藤辰雄)より跡目を譲り受け、“テキヤ”から正式にヤクザ「大友組」となる。しかし、この事が原因で時森は山中から狙われる事に。
その頃、山守義雄(金子信雄)が広能昌三(菅原文太)のもとを訪れ、呉に逃げてきた時森の身柄を預かってほしいと頼む。野良犬を捕まえて喰う程の自らの組の財政的な窮乏のため、広能は時森の身柄を引き受けることを了承。それから数日後、時森の命を狙った山中が広能のもとを訪ねる。山中と広能は刑務所の中で懇意となった間柄であった。山中に時森を殺させることによって事態の収拾を図った広能だが、その計略が山守の電話から勝利に露見し、大友組に殺されそうになる。その後、広能は組員の島田幸一(前田吟)を使って時森を射殺。島田に罪をかぶせることで、広島の抗争が呉に飛び火するのを未然に防ぐ。
時森の死により後ろ盾を失くし、広島から追放されることになった勝利は、寺田啓一(志賀勝)ら3人を密かに留め置き、村岡組長襲撃計画を立てるが、計画を事前に察知した村岡は山中をヒットマンとして差し向ける。寺田達を射殺した山中だが、事件直後に警察に逮捕され、無期懲役の判決を受けて服役。それを見届けた村岡組長は、靖子を元の婚家に戻し、死んだ亭主の弟と再婚させようとする。刑務所の脱衣所で村岡組舎弟・高梨国松(小池朝雄)から靖子のことを聞いた山中は裏切られたことに気づき、村岡に復讐するため刑務所を脱獄した。
山中の脱獄を知った村岡は即座に松永に指示し、靖子を婚家から連れ戻させ、何食わぬ顔をして山中と対面。山中は靖子が広島にいるのを見て、自分が組長を殺そうと思ったのは間違いであったと詫びる。そして、組長の反目である勝利を襲撃。勝利の左足を撃ち抜いたが勝利の命を奪うことはできず、襲撃は失敗に終わるが、大友組の若衆である中原敬助(室田日出男)の裏切りにより大友組は一斉検挙され、抗争は村岡組の勝利に終わる。
[ネタバレ反転]
脱獄により全国に指名手配された山中は村岡から高梨が仮出所したことを知らされ、自分をだました高梨を射殺。しかし松永から実は高梨が言っていたことこそが真実で、靖子を慌てて婚家から連れ戻したのは村岡の計略だったことを知らされる。松永の家を飛び出した山中は、警察に包囲されてしまう。もはや追い詰められて逃げのびる術はなく、靖子も自分の手には戻らぬことを悟った山中は、拳銃で自殺する。
後日、山中の葬儀が村岡組長によって大々的に営まれる。弔問に訪れた広能は、高笑いする村岡や山守を醜く感じ、悲しく死んでいった山中を偲ぶのであった。




『仁義なき戦いシリーズ』の第二部。第一部と重なる1950年(昭和25年)─1953年(昭和28年)の第一次広島抗争を舞台に、実在した二人のヤクザを元にした山中正治と大友勝利を中心にした内容となっています。日本のヤクザ社会でも他に類を見ない壮絶をきわめた“広島ヤクザ抗争”をこれでもかと描き、そのバイオレンス度は前作を超えるほど。前作が集団の離合集散と殺し合いだったのに対し、本作は主要人物を絞った分、無惨な青春のやりきれなさが半端なく強くなっています。

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『仁義なき戦い』(1973・日)
配給/東映
監督/深作欣二
脚本/笠原和夫
原作/飯干晃一
企画/俊藤浩滋、日下部五朗
撮影/吉田貞次
美術/鈴木孝俊
音楽/津島利章
照明/中山治雄
編集/宮本信太郎
助監督/清水彰
出演/金子信雄、木村俊恵、松方弘樹、菅原文太、三上真一郎、川地民夫、曽根晴美、田中邦衛、高宮敬二、宮城幸生、宇崎尚韶、渡瀬恒彦、名和宏、梅宮辰夫、川谷拓三、大前均、池田謙二、伊吹吾郎、山田良樹、遠藤辰雄、林彰太郎、国一太郎、壬生新太郎、木谷邦臣、大木悟郎、松本泰郎、西山清孝、福本清三、奈辺悟、藤本照男、有金敏郎、北川俊夫、片桐竜次、内田朝雄、中村錦司、小松方正、中村英子、小林千枝、渚まゆみ、唐沢民賢、疋田泰盛、山田良樹、小池朝雄

暴力団の抗争をリアルに描いた、深作欽二監督、菅原文太主演で贈る名作仁侠映画。

終戦直後の呉。復員後遊び人の群れに身を投じていた広能昌三(菅原文太)は、その度胸と気っぷの良さが山守組々長・山守義雄(金子信雄)の目にとまり、山守組の身内となった。
当時の呉には土居組、上田組など四つの主要な組があったが、山守組はまだ微々たる勢力にしかすぎなかった。そこで山守は上田組と手を結ぶことに成功し、当面の敵、土居組との抗争に全力を注ぐ。その土居組では組長の土居清(名和宏)と若頭・若杉(梅宮辰夫)が仲が悪く、事あるごとに対立し、とうとう若杉は破門されてしまった。そして、若杉は以前からの知り合いである広能を通じて山守組へと接近していった。
若杉の山守組加入で、土居殺害の計画は一気に運ばれた。広能は土居殺害を名乗り出た若杉を押し止どめ、自ら土居を襲撃し、暗殺に成功。ところがそれ以来、山守の広能に対する態度が一変し、組の邪魔者扱いにするようになり、広能は結局自首して出るのだった。
その態度に怒った若杉が、山守の若い衆を殺害したことから、警察に追われ、激しい銃撃戦の後、殺された。その間にも、土居組の崩壊と反比例して、山守組は増々勢力を伸ばしていった。しかし、その組の中でも、主流派の坂井鉄也(松方弘樹)と、反主流派の有田俊雄(渡瀬恒彦)という二つの派閥が生まれ、山守を無視しての内戦が始まっていた。
まず、市会議員・金丸(小松方正)と、土居組の残党を味方に引き入れ勢いづいた有田は、坂井の舎弟山方(高宮敬二)、兄弟分上田(伊吹吾郎)を殺害した。激怒した坂井は有田を破門するとともに、報復に出た。次々と射殺される有田一派、ついに血で血を流す凄惨な抗争車件に発展してしまった。そして、警察の出動により有田は逮捕、兄貴分の新開(三上真一郎)は殺された……。
勝ち残った坂井は、広島の海渡組と手を組み、山守に替って呉を支配するかのように振るまうようになった。やがて今ままでの内戦を黙視していた山守の巻き返しが始まった。山守は、丁度その時仮釈放で出所した広能に坂井暗殺を捉した。冷酷な山守の魂胆を見抜いている広能は、微妙な立場に立たされた。山守に従う気はないが、そうかと言って坂井に手を貸す気もなかった。
[ネタバレ反転]
そんな時、矢野組々長・矢野修司(曽根晴美)が坂井と海渡組の手を切るぺく画策中に殺された。山守の恐るぺき執念がついに実行される。殺気立っていた矢野組々員をけしかけ坂井を襲撃させたのである。坂井は血だるまになるまで銃弾を受けた。翌日、坂井の葬儀が盛大に行われた。広能はかつて憧れたやくざ社会に虚しさと怒りを抱きながら、奉納の品々に銃弾を撃ち込んでゆく。居並ぶ重鎮たちへ怒りの視線を向けたあと、喪主・山守の前を去っていった。



終戦後まもない時期から約20年間に広島で実際に起こった暴力団による抗争事件をモデルとして製作された、実録ヤクザ路線の走りです。それまでの美化された着流し任侠ものと違い、裏切り、共謀、掟破りなどが日常化した現実の暴力団の世界がリアルに再現され、映画内で扱われる事件に関わった当事者の多くが現実に生きている中で制作された、本当の意味での「実録」モノの先駆的作品です。観客が置いてきぼりになりそうなほどスピーディーな展開、躍動感あふれて濃すぎるキャラたちの笑って怒って鼻水垂らして泣いて小便もらして怯えて生きて死んでゆく無様さがカッコイイ。手持ちカメラで臨場感タップリに、お馴染みのあの音楽かかると、もう引き込まれてしまいます。

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『突破口!』 Charley Varrick (1973・米)
監督/ドン・シーゲル
脚本/ハワード・ロッドマン、ディーン・リーズナー
原作/ジョン・H・リース
製作/ドン・シーゲル
製作総指揮/ジェニングス・ラング
音楽/ラロ・シフリン
撮影/マイケル・C・バトラー
編集/フランク・モリス
出演/ウォルター・マッソー、ジョー・ドン・ベイカー、フェリシア・ファー、アンディ・ロビンソン、ジョン・ヴァーノン、シェリー・ノース、ノーマン・フェル、ベンソン・フォン

新登場!炸裂するメカ・アクション!
ガンとダイナマイトの激突! 息をのむ飛行機の逆転着陸! ニュー・カーの大追跡戦!
狙う獲物は現ナマ75万ドル、現代メカを 総動員した曲者ぞろいが命知らずの大作戦!


曲乗り飛行のパイロットから農薬の空中散布屋に転向したチャーリー・バーリック(ウォルター・マッソー)。だがそれは、表の姿。彼の正体は、実は銀行強盗だった。とはいっても狙う銀行は小物ばかりで、かっさらえる金額もせいぜい1万から2万ドルどまり、しかし頭のいいチャーリーはそれに満足していた。仕事は楽だし、追求もそう厳しくはない。3〜4週間もたてば、ほとぼりもさめてしまう。だからこの日、若い妻ナーディン、相棒のハーマン(アンディ・ロビンソン)ともう1人の手下を連れて小さな西部の町トレス・クルーセルの銀行を襲撃しに行った時も、別にいつもと変わったことが起きるとは思っていなかった。
しかし、予想は大はずれ。逃亡用の車で待っていた妻のナーディンが警官と撃ち合い、相手を倒し彼女も重傷を追うという事態にまで発展した。チャーリーとハーマンが何とか逃げのび、助かる見込みがないナーディンを車に残したまま火を放った。隠れ家のトレーラー・キャンプに舞い戻ったチャーリーは奪った金が75万ドルもあるのを発見して呆然とした。あんなちっぽけな銀行にこんな大金がね眠っている訳がない。案の定、それはマフィアの隠し金だった。
チャーリーは何とか金を返したかったがハーマンの反対にあい、とりあえずメキシコへ高飛びすることに決めた。そこで彼は、土地の歯科医院に忍び込んで、ナーディンの診療カード奪い、彼とハーマンのカードの名前を書き換えた。その頃、銀行協会の会長でこの辺一帯のマフィアのボスであるボイル(ジョン・ヴァーノン)は事件の報告を受け、早速一味の殺し屋モリー(ジョー・ドン・ベイカー)を呼び寄せた。そして以前部下のヤング(ウッドロー・バーフリー)に盗まれた金を警察やFBIから隠すためにトレス・クルーセルへ飛んだ。モリーも売春宿を足場に暗黒街での顔を使ってチャーリーへの距離をせばめていった。
[ネタバレ反転]
チャーリーが写真家エバレット(シェリー・ノース)に偽の旅券を作らせている時、報復を恐れたヤングが自殺した。そのためにボイルの立場が微妙になった。仲間が彼を疑いだしているし、FBIに正体をあばかれる危険も出てきた。モリーが情報屋の線をたぐり、チャーリーをかぎつけた。ハーマンに全てを白状させ、殺してしまったのだ。
その頃、殺し屋と当局の手が迫っていることを知ったチャーリーは、着々と逃走の必需品を集めていた。彼は小さな飛行場からボイルに電話をかけた。その部屋にはモリーもいた。チャーリーに逃げられたと気づいた彼は、ボイルから眼を離さないようにしていたのだ。彼はボイルがチャーリーの黒幕ではないかと疑っていた。小さな飛行場。ボイルが滑走路の中ほどで待っている。モリーは隣接した廃車置き場の陰に車に乗って息を殺していた。飛行機が着陸し、降り立ったチャーリーが親しそうにボイルの肩を抱いた。殺し屋が見張っているのを承知の上での芝居だった。それがモリーの疑惑を決定的にした。彼は車をスタートさせ、ボイルをはね殺してから、チャーリーが乗って逃げようとする複葉機に突っ込んだ。機は廃車置き場の上にさかさ落としになった。操縦席にさかさ吊りになったチャーリーは、助けてくれれば金のありかを教えるといった。モリーにせかされて、1台の車を示し、金はトランクの中だと教えた。車には爆弾がしかせてある。あけた瞬間、車が爆発し、モリーが吹っ飛んだ。チャーリー・バーリックは飛行機からおり、別に用意しておいた車のトランクをあけ、盗んだ札をふた掴みほど抜き取って、燃えている車に投げ込んだ。やがて残りの大金を乗せた車が走り出した。




『ダーティ・ハリー』のドン・シーゲル監督による佳作。派手さは無いが、殺し屋が主人公にじわじわと迫ってくるところなんかはリアルで緊張感たっぷり。登場人物たちもひと癖あるやつばかりで、どう物語が転んで行くか目が離せないです。クライマックスのアクションも、もっさりしたマッソーに似合わず良く出来ています。オチもひねっていて小気味よく、これぞ正しい犯罪アクション映画と納得です。

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『デリンジャー』Dillinger(1973・米)
監督/ジョン・ミリアス
脚本/ジョン・ミリアス
製作/バズ・フェイトシャンズ
製作補: ロバート・A・パパツィアン
製作総指揮/サミュエル・Z・アーコフ、ローレンス・A・ゴードン
撮影/ジュールス・ブレンナー
音楽/バリー・デ・ヴォーゾン
出演/ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン、ミシェル・フィリップス、リチャード・ドレイファス、ハリー・ディーン・スタントン、スティーヴ・カナリー、クロリス・リーチマン、ジェフリー・ルイス、ジョン・P・ライアン、ロイ・ジェンソン、リード・モーガン、フランク・マクレー、ジョン・マルティーノ

 1933年、全米が大恐慌に見舞われる中、デリンジャー(ウォーレン・オーツ)とその一味は、各地で数々の銀行強盗に及んでいた。一方、一味を追跡するFBI捜査官パービス(ベン・ジョンソン)は、デリンジャーを仕留めるべく執念を燃やす。
そんなある日、恋人のビリー(ミシェル・フィリップス)と戯れていたデリンジャーは警察の急襲を受け、投獄されるハメに。だが間もなく脱獄に成功、新たな仲間たちを従え、懲りずに銀行を荒らしていく。
こうして仲間を失っては新しい手下を率いて犯行を続けるデリンジャーだったが、いつしか消息不明に。しかし、パービスの粘り強い捜査によって居場所を突き止められるのだが……。



男臭い映画を撮らせたら右に出る者のないジョン・ミリアス監督による、ギャング映画の傑作です。大恐慌時代、アメリカ中を暴れ周り「世界一のギャング」「民衆の敵No.1」と恐れられた実在のギャング、ジョン・デリンジャーの最後の2年間を描いたクライム・アクション・ムービーです。一味のプリティ・ボーイ・フロイド、マシンガン・ケリー、ベイビーフェイス・ネルソンなど高名なギャングや、彼らを追った伝説的なFBI捜査官メルビン・パービスなども、生き生きと描かれており、とにかく出演者が皆、渋カッコイイのです。
紹介した作品は、GEOでレンタルできます。
紹介した作品は、TSUTAYAでレンタルできます。
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