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Category : サスペンス
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誘拐の掟
A Walk Among the Tombstones
誘拐の掟
監督・脚本/スコット・フランク
原作/ローレンス・ブロック『獣たちの墓』(二見文庫)
製作/ダニー・デヴィート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェア、トビン・アームブラスト、ブライアン・オリヴァー
製作総指揮/ナイジェル・シンクレア、ガイ・イースト、ケリー・オレント、ローレン・セリグ、マーク・マルーク、リチャード・トゥーサン、アディ・シャンカル、スペンサー・シルナ、トレイシー・クローン、ケイト・ベイコン、ジョン・ハイド
出演/リーアム・ニーソン、ボイド・ホルブルック、ダン・スティーヴンス、ラザーヌ・ジャマル、ブライアン・“アストロ”・ブラッドリー、マリエレ・ヘラー、ラウラ・ビルン、オラフル・ダッリ・オラフソン、マーク・コンスエロス、デヴィッド・ハーバー、アダム・デヴィッド・トンプソン、ダニエル・ローズ・ラッセル、セバスチャン・ロッシェ、エリック・ネルセン、ホイットニー・エイブル
音楽/カルロス・ラファエル・リベラ
撮影/ミハイ・マライメア・Jr
編集/ジル・セイヴィット
製作国/アメリカ(2014年)
上映時間/114分



[あらすじ]1999年、ニューヨーク。かつて酒に溺れ、銃撃戦で少女を誤射し死なせてしまい刑事を辞めた無免許の私立探偵マット・スカダー(リーアム・ニーソン)。ある日、ドラッグ・ディーラーのケニー・クリスト(ダン・スティーヴンス)から、“妻を誘拐して惨殺した犯人を突き止め、捕まえて欲しい”との依頼が舞い込む。やがて犯人は2人組で、警察に通報できない麻薬関係者の身内ばかりを狙い、金を要求した後でバラバラに解体するという猟奇的な犯行を繰り返していることが明らかとなってくる。そんな中、新たな誘拐事件が発生する。被害者は大物ドラッグ・ディーラーであるユーリ・ランドー(セバスチャン・ロッシェ)の14歳になる娘ルシア(ダニエル・ローズ・ラッセル)。スカダーは同一犯の仕業と確信し交渉役を引き受けると、残忍で狡猾な犯人を相手にギリギリの駆け引きを展開して、徐々に追い詰めていくが……。

[解説]ローレンス・ブロックのハードボイルド小説 “マット・スカダー” シリーズの一編『獣たちの墓』を、『96時間』『フライト・ゲーム』のリーアム・ニーソン主演で、原作のエッセンスを巧みに生かして見事に映画化した本格ハードボイルド・サスペンス。残忍な犯行を重ねる猟奇殺人鬼コンビと、落ちぶれた元刑事マット・スカダーの緊迫の攻防をスリルたっぷりに描く佳作。犯人の二人組は、実在の殺人犯ローレンス・ビッテイカー&ロイ・ノリスがモデルとのこと。直接的な残酷描写はないものの、様々な手術(解体?)道具が登場するので思わず想像してしまう。精神的にクルので、グロ耐性のない人は要注意。因みにマット・スカダーは、1986年に『800万の死にざま』でジェフ・ブリッジスが演じてたりする。
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サンダーポイント

『サンダーポイント』 Thunder Point (1998年・イギリス/カナダ)

ヒトラーと英国王室の間に交わされた〈ウィンザー密約書〉──。
極秘文書を巡り、各国情報部の抗争が繰り広げられる海洋スパイ・アクション!


【スタッフ】
監督/ジョージ・ミハルカ
製作/ロビン・スプライ
製作総指揮/ジム・ハウエル
原作/ジャック・ヒギンズ『サンダーポイントの雷鳴』
脚本/ジョージ・ミハルカ、モリー・ラヴィンスキー

【キャスト】
ショーン・ディロン………………カイル・マクラクラン
………………………………………パスカル・ビュシエール
………………………………………ケネス・ウェルシュ
………………………………………ジョン・コリコス
………………………………………アラン・シック

【ストーリー】
第二次世界大戦末期、機密書類を持ったナチ要員がUボートに乗り込むが、途中撃沈されてしまう。
時は現代、カリブ海に浮かぶヴァージン諸島でダイビングをしていた退役将校ベイカーは、海底で珊瑚に覆われたUボートを発見する。艦内にあった金属ケースには、密約文書が入っていた。〈ウィンザー密約書〉には、英国にとって一大スキャンダルとなる内容が記されていた。王室のウィンザー公がナチに協力するという、英国を震撼させる極秘文書だった。
一方、神父に雇われて紛争地域に医薬品を空輸しようとした元IRAの希代のテロリスト、ショーン・ディロンだが、現地軍に捕まってしまう。しかも、医薬品とばかり思っていた積荷は武器だった。死刑を待つ彼のもとに、宿敵とも言える英国対テロ諜報機関 “グループ・フォア” の長、ファーガスン准将が現れる。有無を言わさぬ交渉で、ディロンは “グループ・フォア” に工作員として雇われることになった。
書類の存在を情報関係の旧友に知らせようとしたベイカーは、ロンドンで事故死してしまう。そして裏の世界では〈ウィンザー密約書〉の存在が明るみに出る。書類の回収のためにファーガスンは、ショーン・ディロンをヴァージン諸島へ送り込む。次々と現れる暗殺者の妨害を逃れながら、ブリーフケースの所在を突き止めようとするが・・・。
果たして〈ウィンザー密約書〉を無事手にすることができるのか? そして、それを奪おうとしている組織とは、一体何者なのか!?

【解説】
原作小説は、希代のテロリストにして魅力的なアンチ・ヒーロー、ショーン・ディロンが情報機関の一員となった記念すべき作品です。ラスト以外は概ね原作に忠実なドラマ化ですが、カイル・マクラクランにしてはちょっと柄が悪いかも。それでもアンチ・ヒーローとしてのダークな表現は、ロブ・ロウより断然良いです。映像の安っぽさは何とも言いようがないですが、カイルの雰囲気は嫌いじゃないですよ。
密約の地

『密約の地』 ON DANGEROUS GROUND (1995年・イギリス/カナダ/ルクセンブルク)

香港返還、100年延期か?

【スタッフ】
監督/ローレンス・ゴードン・クラーク
製作/ジム・リーヴ
原作/ジャック・ヒギンズ
脚本/クリストファー・ウィッキング
撮影/ケン・ウェストバリー
音楽/レオン・アロンソン

【キャスト】
ショーン・ディロン……………ロブ・ロウ
ファーガスン准将………………ケネス・クラナム
バーンスタイン警部……………デボラ・ムーア
スー・イン………………………ダフネ・チュン
……………………………………リチャード・リース
……………………………………インゲボルガ・ダクネイト
……………………………………クロード・ブランシャール
……………………………………イヴォンヌ・アントロバス
……………………………………サム・マンキューゾ
……………………………………ピーター・ギルモア
……………………………………リチャード・オー
……………………………………マリー・コナリー
……………………………………ユルゲン・プロフノフ

【ストーリー】
ショーン・ディロン(ロブ・ロウ)は、世界で最も恐れられている元IRAテロリスト。そんな彼にイギリス国防情報部のファーガスン准将(ケネス・クラナム)から協力依頼がくる。それは、元アイルランド愛国主義者によるアメリカ大統領と中国外務大臣を狙ったテロを防ぐことだった。
ディロンは見事に暗殺計画を阻止するが、ナイフで差され負傷してしまう。幸運なことに彼は、華僑のボス、ユアン・タオ(リチャード・リース)とその姪、スー・イン(ダフネ・チュン)によって助けられる。ディロンは2人から、この事件は第二次世界大戦中に毛沢東とイギリスの間に結ばれた重大な密約と関係があり、それを手に入れた者が絶大な権力を得ることを知った。ユアン・タオとスー・インに恩を返すため、ディロンは密約書を狙うマフィアと闘う決意をする。
手がかりを追い、舞台はロンドンからスコットランド、そしてシチリアへ。果たして、永い間失なわれていた密約書を、誰が最初に見つけだすのか? その時、一体何が起こるのか?

【解説】
英国の冒険小説の大家、ジャック・ヒギンズの原作によるポリティカル・アクション。前作では大幅な改変があったけど、本作は結構原作に忠実です。でもやっぱり、甘いマスクのロブ・ロウは、深い虚無を抱えながらしぶとく生き残ってしまうディロンの陰影を表現しきれていないのが残念。原作も含めて、作品としてちょっと弱いなと思うのが、香港返還の時期に作られた時事ネタだということですね。

※VTR廃盤/未DVD化
嵐の眼

『嵐の眼』 MIDNIGHT MAN (1995年・イギリス)

メージャー首相を抹殺せよ!

【スタッフ】
監督/ローレンス・ゴードン・クラーク
製作/ジム・リーヴ
原作/ジャック・ヒギンズ『嵐の眼』
脚本/ユルゲン・ヴォルフ
撮影/ケン・ウェストバリー
音楽/レオン・アロンソン

【キャスト】
ショーン・ディロン……………ロブ・ロウ
ファーガスン准将………………ケネス・クラナム
バーンスタイン警部……………デボラ・ムーア
エンゲルス………………………ハンネス・イェーニッケ
スー・イン………………………ダフネ・チェン
……………………………………ベン・ゴール
……………………………………マイケル・サラザン
……………………………………アーロン・シャーリー
……………………………………ジョン・ワーナビー
……………………………………エレン・デヴィッド

【ストーリー】
シリアの大富豪タイは、イギリスに対して永年恨みを持ちつづけていた。彼はアラブ諸国が裏で仕組んでいると分からないようなテロを計画していた。そこで彼は、IRAと繋がりのあるテロリスト、エンゲルス(ハンネス・イェーニッケ)を、イギリス首相に対するテロ攻撃のために100万ドルで雇った。つまり、テロをIRAによるものと思い込ませることによって、イギリスとアイルランドの関係を破壊しようとしたのだ。
暗殺のプロであるショーン・ディロン(ロブ・ロウ)は、スー・イン(ダフネ・チェン)と結婚して裏の仕事から足を洗っていた。だが、昔の仲間であるエンゲルスがイギリス首相を狙っていることを知り、ファーガスン准将(ケネス・クラナム)が率いる対テロ諜報機関 “グループ・フォア” に協力して暗殺計画を阻止することを決心する。

【解説】
英国の冒険小説の大家ジャック・ヒギンズの原作によるポリティカル・アクション。湾岸戦争中に実際に起ったイギリス首相官邸砲撃事件をヒントに、孤高の戦士の活躍を描いたテレビ・ムービーです。原作では攻撃側のテロリストが元IRAのショーン・ディロン、阻止に動くのが同じく元IRAのマーティン・ブロスナンという、ブロスナンが主役の作品で、ドラマ版は大幅な改変がされています。小説では続刊でディロンはいろいろあって、グループ・フォアに雇われることになり、ディロン・シリーズが始まります。その経緯はカイル・マクラクランがディロンを演じた『サンダーポイント』で描かれています。
ちなみにファーガスン准将の副官であるバーンスタイン警部を演じるデボラ・ムーアは、ロジャー・ムーアの娘さんです。

※VTR廃盤/未DVD化
エンテベの勝利

『エンテベの勝利』 Victory at Entebbe (1976年・アメリカ)

あらゆる可能性が考えだされた──そして不可能が実行された!

【スタッフ】
監督 マーヴィン・チョムスキー
脚本 アーネスト・キノイ
製作総指揮 デイヴィッド・L・ウォルパー
製作 ロバート・ゲネット

【キャスト】
ハーシェル・ヴィルノフスキー…………カーク・ダグラス
シモン・ペレス……………………………バート・ランカスター
エドラ・ヴィルノフスキー………………エリザベス・テイラー
イツハク・ラビン首相……………………アンソニー・ホプキンス
ヨナタン・ネタニヤフ中佐………………リチャード・ドレイファス
ドイツ人テロリスト………………………ヘルムート・バーガー
ノミ・ハロウン……………………………ジェシカ・ウォルター
シャナ・ヴィルノフスキー………………リンダ・ブレア
イディ・アミン大統領……………………ジュリアス・ハリス
ネイサン・ハロウン………………………アラン・ミラー
ヤコブ・シュロモ…………………………セオドア・バイケル
エッタ………………………………………ヘレン・ヘイズ
デュカス機長………………………………クリスチャン・マルカン
ショムロン准将……………………………ハリス・ユーリン
ドイツ人女性………………………………ビビ・ベッシュ

【ストーリー】
1976年6月27日、テルアビブ発ーパリ行きのエール・フランス機の機内は245人の乗客を乗せほぼ満席だった。テルアビブを出発してすぐ女性連れのドイツ人と2人のアラブ人にハイジャックされた。16歳になるハナ・ビルノフスキー、ワイズ夫人と息子のベンジャミン、ノーミ夫人などの乗客は一瞬にして恐怖のどん底へと叩き込まれた。
この事件をキャッチしたイスラエルでは、ラビン首相、ペレス国防相を中心に対策を討議した。犯人たちは人質を殺す可能性はあるが、政府としてはテロリストたちの脅迫に屈してはならないことを確認しあった。
ハイジャック機は、ベンガジで給油を済ますと、妊婦1人を釈放して飛び去り、ウガンダのエンテベ空港に着陸した。その頃、ラビン首相とペレス国防相は、武力で人質奪還を計画、この作戦の隊長に、ヨニ(剣と聖書を持った男)と部下たちから尊敬されているジョナサン・ネタニアフ中佐を任命した。そして仮想エンテベ空港を急造し、作戦遂行訓練を開始した。
犯人たちの要求は、世界各国に収容されている同志53名の即時釈放である。それと同時に、ハイジャック犯は、ユダヤ人と搭乗員を除く人質を釈放した。
《ネタバレ反転》
作戦は開始された。7月3日、午後11時2分、ヨニ中佐ら特別攻撃隊を乗せたC130ハーキュリーズ2機が、深夜のエンテベ空港に着陸、150名にも及ぶ攻撃隊の死者はヨニ中佐ただ1人、人質104名は犠牲者3名を出しただけで、無事救出に成功した。攻撃隊の1隊がウガンダ空軍機に壊滅的打撃を与えて、炎の海と化したエンテベ空港を飛び去るまで、わずか90分の作戦だった。


Preview Clip

【解説】
イスラエル軍が強行した人質救出の電撃作戦を題材にしたTV映画。ヘルムート・バーガー、リンダ・ブレア、カーク・ダグラス、リチャード・ドレイファス、ヘレン・ヘイズ、アンソニー・ホプキンス、バート・ランカスター、クリスチャン・マルカン、エリザベス・テイラーなど、錚々たる出演陣です。その割りに全体的にチープな出来で、事件から5カ月後に放映されたという超スピード撮影のせいでしょうか。一応、製作は天下のワーナーなんですが・・・。複雑な人間ドラマを描こうとして時間切れで放り出したような感じで、同じような経緯で作られた『特攻サンダーボルト作戦』が政治と軍事でキビキビしていたのと好対照ですね。
ちなみに、リチャード・ドレイファスが演じたヨナタン・ネタニャフ中佐は、後にイスラエル首相を務めたベンヤミン・ネタニャフ氏のお兄さんなんですね。

※VTR廃盤/未DVD化
眠れぬ夜のために

『眠れぬ夜のために』 Into The Night (1985年・アメリカ)

【スタッフ】
監督/ジョン・ランディス
脚本/ロン・コスロー
製作/ジョージ・フォルシー・ジュニア、ロン・コスロー
撮影/ロバート・ペインター
音楽/アイラ・ニューボーン
主題歌/B・B・キング

【キャスト】
エド・オーキン…………………ジェフ・ゴールドブラム
ダイアナ…………………………ミシェル・ファイファー
ジャック・ケイパー……………リチャード・ファーンズワース
ハーブ……………………………ダン・エイクロイド
シャヒーン………………………イレーネ・パパス
クリスティ………………………キャスリン・ハロルド
メルヴィル………………………ロジェ・ヴァディム
コリン・モリス…………………デヴィッド・ボウイ
バド………………………………ポール・マザースキー
ジョアン・ケイパー……………ヴェラ・マイルズ

【ストーリー】
不眠症に悩むエドは、ある晩、当てのないドライブに出た。彼の不眠症は、妻の浮気を目撃したこともプラスされて一層深まっていたのだ。いつの間にか空港に向かっていた彼の車の前に、突然見知らぬ美女が出現した。「追われている」と焦る彼女を車に乗せた彼は、共に4人の殺し屋に追われる身となった。
ダイアナと名のった彼女を家に送ろうとするが、エドは、彼女が帰るべき家がないことを知る。彼女が頼りにしている友人で女優の卵クリスティを撮影の現場に訪れるダイアナ。プロデューサーのバドの恋人であるクリスティは、ダイアナから大事な品物だから預かって欲しいと、小さな包みを受けとる。これこそダイアナが密輸してきたイラン王家伝来の秘宝、6つのエメラルドだった。
ダイアナは、この宝石を国際密輸組織の運び屋として、一味の1人に渡すことになっていたが、その直前で彼はイラン秘密警察に暗殺され、彼女も生命を狙われていたのだ。ダイアナは、国際シンジケートの大物に保護してもらおうと考え、エドはその使者として話しをまとめた。
途中、エドは、コリン・モリスという殺し屋に銃をつきつけられるが、無事にきりぬける。しかし、ダイアナもコリンにつかまり、エドはコリンとの死闘の末、ダイアナを救い出す。
《ネタバレ反転》
そのころ、クリスティが殺された。2人はコリン一味のメルヴィルに捕えられるが、そこでも逃走に成功し、国際組織の陰の実力者だったダイアナの愛人ジャックのもとへ向かった。彼にエメラルドを秘密警察の女ボス、シャヒーンに売りつけることを勧められた2人は、まんまとそれに成功する。
空港では、秘密警察もメルヴィル一味も彼らを待ちうけ、彼らに狙いを定めた。しかし、そこに居合せたFBIのおかげで、その銃撃戦から逃げ出すことに成功するのだった。




【解説】
行きずりの女を助けたばかりに国際的陰謀に巻き込まれる不眠症の男の冒険を描いたサスペンス・コメディ。『ブルース・ブラザース』のジョン・ランディス監督による、独特なシュール感覚満載のおとぼけ映画で、ちょっとスカした印象もありますね。主人公が不眠症なので常にボーッとしていて、そのせいで飄々と物に動じない凄腕に間違われてしまうという勘違い系でもあります。コミカルな演技とシリアスな筋立てが微妙に溶け合わず異物感を醸し出し、それがシュールな浮遊観を生み出して、主人公の感じる夢か現かという非現実感を共有できます。特筆すべきはランディス自身をはじめ、ポール・マザースキー、ロジェ・ヴァディム、ドン・シーゲル、デヴィッド・クローネンバーグ、ジョナサン・デミ、ジャック・アーノルド、ローレンス・カスダンといった多数の映画監督がいろんな役でゲスト出演しています。皆楽しそうに演じていて、見ているこちらまで幸せな感じになります。
雨のエトランゼ

『雨のエトランゼ』 Un Beau Monstre (1970年・フランス)

愛の傷口から真紅のため息が流れる…… ベニスの雨に誘われてふたりはかえらぬ世界へ!

【スタッフ】
監督/セルジオ・ゴッビ
脚本/セルジオ・ゴッビ、ジョルジュ・タベ、アンドレ・タベ
原作/ドミニク・ファーブル
音楽/ジョルジュ・ガルヴァランツ
撮影/グニエル・ディオ

【キャスト】
アラン……………………ヘルムート・バーガー
ナタリー…………………ヴィルナ・リージ
ルロワ……………………シャルル・アズナヴール
ジャクリーヌ……………フランソワーズ・ブリオン
ディノ……………………アラン・ヌーリー
シルヴィー………………エディット・スコブ
ヴァンサン………………マルク・カソー

【ストーリー】
ナタリーは真向いの高級アパルトマンの八階のヴェランダから、白い夜着をまとった女が飛び下りるのを目撃した。そして同じヴェランダに、死んだ女の夫らしい美しい男が、じっと彼女を見詰めていた。男はアラン・ルボンといい、死んだ女は彼の新妻であった。ナタリーの証言で、事件は自殺ということで落着したが、担当のルロワ刑事は事件の裏に何かあるとふんで、執拗に捜査を続行した。
ナタリーが部屋に帰ると受話器が鳴った。アランからだった。彼女が窓を開けると、向いのヴェランダに受話器を握った彼の姿があった。二人は互いの姿を見合いながら話し続けた。その夜のデートはナタリーを陶酔させた。妻が自殺したというのに平然と自分を誘う、金持で美しいアランの、その悲しげな横顔に魅入られたナタリーは、ぐんぐん引摺られていく自分を感じていた。そして、現在の恋人バンサンは過去の人となり、ナタリーはアランと結婚した。
甘美な陶酔を約束したはずの初夜も、ベニスへのハネムーンでも、アランは一度もナタリーを抱こうとはしなかった。パリに帰ってもアランの行動は奇妙の連続で、ナタリーとは一度も愛を交さないで、ナタリーの友達ジャクリーヌとはベッドを共にした事実があった。ナタリーは苛立ち、アランと別れる決心をして、荷物をまとめた。その時ナタリーの前にアランが立ちふさがり、次々と部屋の鍵をかけ彼女に迫った。半狂乱になったナタリーは浴室に逃げこみ、打割った鏡で手首を切り、気絶した。アランはそんな彼女に一方的な愛撫をくりかえした。
ナタリーはベッドで、前妻シルヴィが投身自殺をする前に、必死に求めた薬と同じものを与えられ、やがて彼女自らその楽を欲しがるようになり、次第に衰弱していった。ルロワルロワ刑事はナタリーに警告を与えたが、今では、アランの異常な行為を正常と思う程愛しはじめていたナタリーの返事は変らなかった。
翌朝、アランを訪ねてきたディノは、アランと異常な行為を始め、夜のパーティでナタリーの耳にささやいた。「アランは嫉妬してる。君と僕を苦しめ自分も苦しんでいる。おかしな趣味さ」
《ネタバレ反転》
翌日、ナタリーは正式に離婚を申し出た。弁護士の前に座ったナタリーは事実上の夫婦でないことを打ち明けた。しかしアランの言葉が雷鳴のごとく彼女の胸をうった。「妻は妊娠しています」。
すぐに産婦人科に駆け込んだナタリーは、初めてその事実を知ったのだ。そしてナタリーの内部にこみあげてくるものがあった。“私は愛されている” 、あの人が鉄則を破ったのだ、と。ルロワ刑事は彼女をアランの緻密な罠から救おうと、彼の出生の秘密を明かした。「彼の母親は戦争中に暴行され、ドイツの精神病院に入り、御主人はそこで生まれたのです」
しかしナタリーの反応は理解を絶するものであった。「彼には私が必要なのです」
ナタリーはアランの部屋で、彼の帰りを待っていた。二人は抱き合ったまま、ヴェランダへにじり寄ると、2人の体は雨の帳の中を舞い落ちていった。
雨の街頭は無数のパトカーのライトで赤く染められていた。ルロワ刑事は寄り添う2人の死体を前に立ち尽くしていた。



『雨のエトランゼ』 主題歌/「Stay」 Wallace Collection

【解説】
ドミニク・ファーブルのフランス推理大賞を受賞したサスペンス小説『美しい野獣』をセルジオ・ゴッビが流麗に映画化。1組の男女の不毛で破滅的な愛を描く佳作。『ルートヴィヒ/神々の黄昏』のヘルムート・バーガーと『王妃マルゴ』のヴィルナ・リージが破滅に向かう男女を演じています。初見はTVの洋画劇場。当時、ヴィスコンティの『家族の肖像』などでH・バーガーの美しい狂気の演技に魅かれていました。コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』的な、[抑圧された芸術気質の反社会的暴発]を体現した彼の苦悩の半生は、そのまま役柄へ反映されています。ぜひソフト化してほしい作品です。

※VTRソフト廃盤/未DVD化
ベイツ・モーテル

『ベイツ・モーテル』 BATES MOTEL (2013・米)シーズン1:全10話
製作/ユニバーサル
監督/タッカー・ゲイツ
製作/ジャスティス・グリーン
製作総指揮/カールトン・キューズ、ケリー・エーリン、ロイ・リー、ジョン・パワーズ・ミドルトン、マーク・ウォルパー
脚本/カールトン・キューズ、ケリー・エーリン、ロバート・ブロック、アンソニー・シプリアーノ、ビル・バラス、ジェフ・ワドロウ
撮影/ジョン・S・バートレイ、トム・ヤツコ
音楽/クリス・ベーコン
出演/フレディ・ハイモア、ヴェラ・ファーミガ、マックス・シエリオット、ニコラ・ペルツ、オリヴィア・クーク、ネスター・カーボネル、マイク・ヴォーゲル

ヒッチコックの名作『サイコ』の前日譚を描く最新TVシリーズ

父の死から半年、17歳のノーマン・ベイツ(フレディ・ハイモア)は、母ノーマ(ヴェラ・ファーミガ)に連れられ新天地、カリフォルニアのホワイト・パイン・ベイに到着。目的地の古びたモーテルに泊まるのではなく、保険金で買い取ったのだと母に聞かされ驚くノーマン。親子二人でここを経営し、新たなスタートを切るのだと、母は上機嫌だ。
数日後、キースと名乗る男が現れ、モーテルや母屋は先祖代々うちの一族のものだと主張する。今は自分たちのものだと、追い返すノーマだったが、夜遅くキースが再び現れ母屋に侵入。ノーマは抵抗も虚しく暴行されてしまう。母に反対されたため、密かにパーティーに出かけていたノーマンがちょうどそこに帰宅し、母を助ける。だが、さらにキースから侮辱されたノーマは、我を忘れてキースを包丁でメッタ刺ししてしまう。
無残なキースの死体を目にし、慌てて通報しようとするノーマンに対し、せっかくの新生活が台無しになると説得するノーマ。渋々それを聞き入れたノーマンは、死体の処理も手伝うことに。とりあえず母屋からモーテルの一室に死体を移す二人だが、カーペットに血がついてしまう。張替えようとしたノーマンは、カーペットの下に隠されていた謎の手帳を発見。それには、どこかに監禁されているような女性の絵が描かれていた。
一方、その部屋の外ではノーマが保安官の対処に困っていた。開店準備で忙しく、夜中まで作業しているだけだと誤魔化そうとするノーマだが、保安官は何かを怪しみ、部屋の中を見せろと言う……。



『サイコ』(1960)の前日譚にあたるストーリーですが、時代設定は現代に変更されています。なのでノーマンたちがiPhoneを使ってたりします。『サイコ』を知っていれば、この母子にどんな末路を辿ったかご存知でしょうが、本作は、母子をきわめて同情的に描いています。また、モーテルをめぐる壮大なミステリーが絡み、ベイツ親子だけがおかしいのではなく、町にも暗い秘密があるような感じです。町の人々もなにか怪しげで、不気味な雰囲気。ノーマンは学校にも行っていて、女の子とキスしたりと学園生活をちゃんと送っています。母ノーマは高圧的にノーマンを支配し、ノーマンはストレスを感じてはいますが、母子は互いになくてはならない唯一無二の存在となっています。まだ若くて綺麗な母はしっかり女の面も持っていて、クルクル変わる表情に翻弄されます。ノーマンの義理の兄がやってきて同居したり、モーテルの一室から見つかったスケッチブックがある性犯罪組織に繋がっていそうだったりと、ワールド系のダークなエピソードがどんどん広がっていきそうです。製作総指揮のカールトン・キューズは『ベイツ・モーテル』を、『ビバリーヒルズ高校白書』と『ツイン・ピークス』と『LOST』をかけあわせたドラマだと説明しています。

※現在シーズン2を製作中です。
ベイツ・モテル

『ベイツ モテル』
Bates Motel (1987・米)TVM
監督/リチャード・ロススタイン
製作/ジョージ・リンダー、ケン・トポルスキー
脚本/リチャード・ロススタイン
音楽/J・ピーター・ロビンソン
出演/バッド・コート、モーゼス・ガン、ジェイソン・ベイトマン、グレッグ・ヘンリー、ロリ・ペティ、ケリー・キーン、ロバート・ピカード

ヒッチコック『サイコ』のベイツ・モーテルが再び営業を再開した!

精神病院で殺人犯、ノーマン・ベイツと親しくなった青年アレックス(バッド・コート)。アレックスは退院した後、ノーマンが病死し、彼のモーテルを遺言により相続することになる。
アレックスはノーマンの遺志を継ぐべく、ウィリーという若い女性や黒人従業員ヘンリーの協力を得て、モーテルの営業再開に奔走する。改修工事の間に起こる不気味な出来事。ベイツ夫人のミイラやその愛人ジェイクの白骨死体を発掘、そして謎の黒衣の女。
オープン第1号の客は、ミス・ピータースという自殺願望の女だった。アレックスは彼女の悩みを受け止め、ノーマンの最後の日々の穏やかさを語り、前向きに生きることを諭す。
だが、一方、度重なる不気味な事件に、アレックスの精神も動揺する。
[ネタバレ反転]
不気味な事件はすべて、アレックスの病気を再発させてモーテルの土地を手放させようという、不動産屋の陰謀だった。雇われた暴走族がモーテルを襲ったとき、過去と現在が混ざり合い、超常的な現象が起きて、悪意ある者は撃退された。
ミス・ピータースは元気になって旅立ち、アレックスはここで行きて行くことを決意するのだった。




映画の『サイコ』シリーズとはまったく別の方向に展開してゆく、ベイツ・モーテルのその後を描くテレビ・シリーズのパイロット版。『サイコ』の設定を踏襲しているものの恐怖感から程遠く、自殺志願の女性客に話が移ってからは完全に人情話になってしまいます。テレビ・シリーズとしては、毎話訪れる一風変わった客にまつわる物語と事件が展開してゆくというコンセプトですが、後に興味を繋げるという意味ではこのパイロット版はそこそこ成功していると思います。頼りなさそうな主人公のその後が気になるように終わらせていますが、シリーズが製作されることはありませんでした。優しいファンタジー風なストーリーで、好きなんですが……。

※VTR廃盤/未DVD化
サイコ4

『サイコ4』 Psycho IV : The Beginning (1990・米)TVM
監督/ミック・ギャリス
脚本/ジョセフ・ステファノ
製作/ジョージ・ザルーム、レス・メイフィールド
製作総指揮/ヒルトン・A・グリーン
音楽/グレーム・レヴェル
撮影/ロドニー・チャーターズ
編集/チャールズ・ボーンスタイン
出演/アンソニー・パーキンス、ヘンリー・トーマス、オリヴィア・ハッセー、CCH・パウンダー、ドナ・ミッチェル、ウォーレン・フロスト、トーマス・シャスター、シャレン・キャミル、ボビ・エヴォース

ノーマン・ベイツの狂気のルーツが暴かれ、今夜、新たな殺人予告が……

黒人女性DJ、フラン・アンブローズ(CCH・パウンダー)の深夜ラジオ番組の、その日のテーマは「母殺し」。ゲストには、母親を殺して刑務所に入り、祖父のお陰で4年で出所した青年とその祖父、そして精神科医リッチモンド博士。青年が殺した母親は祖父の娘にあたるが、「娘が青年に値しない」と言い切り、青年は薄ら笑っている。
そんな時、エドと名乗る男が電話で、「自分は母親を殺し、他に幾人も殺している。そして今夜、殺人を犯すつもりだ」と告白してくる。殺人予告を受け、皆は警察に知らせた方がいいというが、アンブローズが自分が聞きだすと言い出す。エドは、自分の生い立ちを語り始める。

エドが子供の頃に父親がハチに刺されて死んでしまい、それからは母親(オリビア・ハッセー)と二人きりで、乳の残したモーテルを経営して生きてきた。母親は自分の気分で、優しくなったり、虐待したりするが、少年(ヘンリー・トーマス)は虐待されても母親を愛していて、常に母親が気になっている。
最初の殺人は、ガールフレンドだった。女の子はやたらとエドと寝たがる素振りを見せ、勝手に家に入り込んで、彼の部屋で脱ぎ出してしまう。青年もちょっとその気にはなるが、向かいの部屋の母親が気になって見に行った。隠れて後について行った少女は、母親のベッドに寝ているのが青年だと思い悪戯をしかけると、それはミイラだった。恐怖の声を上げる少女を背後から、母親に化けた青年=エドに刺し殺されてしまう。エドとは、ノーマン・ベイツの変名だったのだ。
次の殺人は、年上の女。これは、首を絞めて殺した。この頃から、車を近くの沼に沈めるようになる。
時は遡り、少年時代。母親は雷嫌いで、ノーマンを呼びつけてベッドに一緒に入るようにさせた後、ノーマンが思春期の照れを見せると怒り狂った。アダルトコミックを隠していたことに腹を立てたりする、性的なことに関して異常な潔癖症だった。ノーマンはお仕置きとして、女装をさせられてクローゼットに閉じ込められたりした。
ある日、母親が愛人を家に引き込んだ。二人は、ノーマンに見せつけるように淫らな行為にふける。ノーマンは愛人と母親を毒殺する決意をする。愛人はノーマンが持ってきた飲み物を一気飲みし、シャワーを浴びに行ったところで苦しみ始める。その後、何口か飲んだ母親も苦しみ始め、ノーマンが地下に連れて行く。母親は、ノーマンに見守られながら死んでいく。剥製にされ、母親はノーマンのものになった。

現在に戻り、ノーマンが次に殺そうとしているのは、自分の妻コニー(ドナ・ミッチェル)だと判明する。コニーは心理分析医で、病院でノーマンと知り合い、愛し合うようになって結婚した。今日はノーマンの誕生日で、家で祝うはずだったが、モーテルのある屋敷の方に来るように、コニーに言ってある。
[ネタバレ反転]
ノーマンがコニーを殺そうとする理由は、ノーマンは反対していたのに、コニーが妊娠したからだった。自分は母親の悪い血を受け継いでしまってこうなってしまったのだから、その血は自分で絶やさなくてはならない。だから、子供は作らないという約束をしていたにもかかわらず、赤ちゃんが欲しい妻が裏切って、途中でピルを飲まずに妊娠してしまった、というのだ。電話の相手がノーマンだと気づき、必死で止めるアンブローズ。だが、電話は切れた。
屋敷でコニーを待ち受けるノーマン。二人は言い争い、ノーマンはコニーを殺そうとする。だが、ノーマンを愛し、お腹の子を愛するコニーの説得で、ノーマンは子どもを受け入れる。愛が勝ち、母親の呪縛から逃れるために、ノーマンは屋敷に火を放った。亡霊に邪魔されながらも、ノーマンとコニーは焼け落ちる屋敷から脱出し、抱き合うのだった。




アルフレッド・ヒッチコックが生んだ往年のサイコ・スリラー映画のバイブル『サイコ』シリーズの通算4作目にあたり、アンソニー・パーキンス後期の主演作です。前作では監督を務めたパーキンスは今回は主演に専念し、代わってミック・ギャリスが監督を引き継いでいます。本作はTVムービー規模で製作されました。本作は、ノーマンの狂気のルーツを克明に描写しています。劇場版では描かれなかった彼の知られざる孤独と少年時代の秘密を暴く展開で、シリーズ中登場しなかったノーマンの母親が登場します。名女優オリビア・ハッセーが母親に扮したほか、『E.T.』で主人公を演じたヘンリー・トーマスがノーマンの若き日を演じています。設定としては『サイコ2、3』がなくて、1作目の続きといった感じでしょうか。
F−16

『F−16』 FLIGHT OF BLACK ANGEL (1991・米)TVM
(旧・ビデオ題 『ウォー・バーズ2/天空を駆ける無敵のF-16(ファルコン)』)
監督/ジョナサン・モストウ
製作/ケヴィン・M・カルバーグ、オリヴァー・G・ヘス
製作補/ジョン・ブランカトー、マイケル・フェリス、アーネスト・シェルドン・Jr
製作総指揮/ダニエル・ドティ、マイケル・C・グリーン
原案/ジョナサン・モストウ、ヘンリー・ドミニク
脚本/ヘンリー・ドミニク
撮影/リー・レッドモンド
音楽/リック・マーヴィン
出演/ピーター・ストラウス、ウィリアム・オリアリー、ジェームズ・オサリヴァン、K・カラン、ミシェル・ポーク、マイケル・キーズ・ホール、ジェリー・ボサード、マーカス・チョン、マイケル・グレゴリー、ロドニー・イーストマン、ジョン・プロスキー

撃・墜・不・可・能
ジョナサン・モストウ監督の幻のTVムービー。空軍を舞台にしたサスペンス・スリラー!

アメリカ空軍のトップガン訓練学校に勤務する若き天才パイロット、エディー・ゴードン大尉(ウィリアム・オリアリー)、コードネーム「ブラック・エンジェル」。訓練教官マシュー・ライアン中佐(ピーター・ストラウス)は、彼の天才的な技量を認めていた。だが、内向的で潔癖、そのコードネームに神意を感じた彼は、訓練に明け暮れ明確な敵が存在しない悩みを抱え、ライアンに自分を肯定されたことを拠り所に、静かに壊れていく。
自分に対して腫れ物に触るような平凡な家族をライフルで射殺し、平然と基地に向かった彼は、兵器担当官を殺害しコンピュータを操作して、自機に戦術核を搭載させた。
自らを“破壊の天使”と信じ、汚れきった世界に鉄槌を下そうとする「ブラック・エンジェル」はミラージュ戦闘機を駈り、訓練飛行の最中、突然、訓練生たちのF−16戦闘機を撃墜し始めた。
ライアン中佐は武装のない訓練機で食い下がるが、撃墜される前に脱出した。ゴードン大尉は、そのまま基地を爆撃し破壊したあと、妨害装置でレーダーから消えてしまった。ライアン中佐は必死に彼の乗った戦闘機を捜す。だが、その頃、荒野に着陸したゴードンは、目撃した旅行中の夫婦と赤ん坊を人質に核兵器の起爆準備を進めていた。核爆撃の目標は、堕落と悪の象徴、ラス・ヴェガス。
[ネタバレ反転]
ライアン中佐は、訓練生たちを殺された怨みから、執念深く追跡する。そして、ゴードン大尉の目的を察知したライアン中佐はゴードンを待ち受ける。ゴードン大尉はラス・ヴェガスに特攻し、核爆弾を諸共に爆発させる気だったのだ。
ライアンはゴードンを挑発し、ラス・ヴェガスから遠ざける。激しい空中戦の末、ゴードン機は武器弾薬が底をついた。ライアン中佐は惨事を止めるため、本部の制止を振り切り、自分を犠牲にしてゴードンを撃墜する。砂漠にキノコ雲が立ちのぼり、ラス・ヴェガスは救われたのだった。




一人の狂ったパイロットによって合衆国が核の脅威に晒される様を、サスペンス・タッチで描いたスリラー。元々はCATV用に作られた作品ですが、アイディアとストーリーがユニークかつ大胆で、見応えは十分。当時から映画ファンの間で高く評価されていました。メカ描写は予算の関係かショボい部分がありますが、ドラマ部分は異様なテンションと先が見えない展開で、かなり面白いですよ。旧ビデオ題は『ウォー・バーズ2』となっていますが、『戦争の荒鷲 ウォー・バーズ』とは一部の製作者が共通しているだけで直接の関連はありません。ジナサン・モストウ監督が「U−571」でブレイクした後、2001年に『F−16』のタイトルで再リリースされました。
ザ・コップ

『ザ・コップ』 Cop (1987・米)
配給/デラ・コーポレーション
監督/ジェームズ・B・ハリス
脚本/ジェームズ・B・ハリス
原作/ジェームズ・エルロイ 『血まみれの月』
製作総指揮/トーマス・コールマン 、 マイケル・ローゼンブラット
製作/ジェームズ・B・ハリス 、 ジェームズ・ウッズ
撮影/スティーヴ・デュービン
音楽/ミシェル・コロンビエ
編集/アンソニー・M・スパーノ
出演/ジェームズ・ウッズ、レスリー・アン・ウォーレン、チャールズ・ダーニング、チャールズ・ハイド、レイモンド・J・バリー、ランディ・ブルックス、スティーヴ・ランバート、クリストファー・ウィニー、ジャン・マッギル

血まみれの月
見えない視線があなたを包む!

ある日のロサンゼルス。強盗に入った男から死体を見つけたという内容の匿名通報が、たらい回しのあと強盗殺人課に入った。そのアパートに急行したロイド・ホプキンス刑事(ジェームズ・ウッズ)は、そこで白人女性の、天井から逆さ吊りにされ、血まみれの異常な惨殺死体を発見した。被害者はその部屋の住人ジュリア・リン・ニーマイヤーだった。現場に残されていたある女流詩人の詩集を手がかりに捜査を進めてゆくうちに、連続殺人事件とは誰にも気づかれずに15年間も続いている、女性のみを狙った殺害事件との関連性が浮かびあがってきた。
その詩集の作者キャサリン・マッカーシー(レスリー・アン・ウォーレン)を訪ねたホプキンスは、彼女が高校時代にレイプされたことにより文芸仲間が離れていったが、唯一人それから15年間に渡って密かに彼女に花を送り続けている青年の存在を知る。
ホプキンスはその男こそ連続殺人事件の犯人であることを確信するが、誰も信じない。ホプキンスは、偏執的に事件にのめり込んで行く。
ホプキンスは、幼い娘とのスキンシップで心の均衡を保っている。娘との仲も良い、だが、幼い娘に平気で人殺しやドラッグの話を聞かせるホプキンス、喜んでそれを聞く娘の姿に妻は怒り心頭だった。「この残酷な世界で、白馬の王子などはいないということ、自分で立つことを教えているんだ」というホプキンスの主張に対し、教育上よくないと判断し、妻は娘を連れて家を出て行った。ホプキンスは、ジュリア・リン・ニーマイヤーと繋がりのある娼婦、ジョーニー・プラット(ランディ・ブルックス)を抱いた。
裏付け捜査の途中で15年前のレイプ事件の中心人物の一人でもあった警官ハインツ(チャールズ・ハイド)を訪ねるが、突然彼が襲いかかり、正当防衛から殺してしまう。また同時に、娼婦ジョーニーが殺され、その現場で、ジョーニーとホプキンスとの情事の写真がみつかった。窮地に立ったホプキンスは停職処分をうける。これは連続殺人犯の罠と直感するホプキンス。
[ネタバレ反転]
ホプキンスは、殺人犯の電話で呼び出される。そこは、かつていまわしい出来事があったキャサリンの母校だった。ホプキンスは校内で犯人の詩人、ボビー・フランコ(スティーヴ・ランバート)と対決る。激しい銃撃の末、犯人は負けを悟り、銃を捨てて自首を申し出た。だが男は、高校時代に自分が男にレイプされた理不尽、その所為で歪んでしまった性癖、同じくレイプされたのに毅然とするキャサリンへの崇拝などを滔々と語り、これは停職中の違法逮捕だと主張し、ホプキンスを嘲笑う。パトカーのサイレンが迫るなか、ホプキンスは男を射殺するのだった。



心の暗部を抉る犯罪小説の大家ジェイムズ・エルロイの『ロイド・ホプキンス三部作』の一作目を映画化した刑事サスペンス。主演のジェームス・ウッズが、プロデュースも手掛けています。エキセントリックで偏執気味の主人公役にピッタリはまっています。原作小説では、真犯人の男もホプキンスも、どちらも若い頃に男にレイプされています。方や歪んではいても正義を求め、方や歪んだ復讐で殺人を犯すという、鏡のような関係の男たちの対決ですが、映画ではその部分はバッサリ。オーソドックスな刑事ものとなっています。ただ、そこかしこにニューロティックな感覚の映像が散見されて、サイコパスを相手にする不安感が増幅されます。また、短いカットバックが多用されることが多い刑事ものですが、本作は長回しが多く、演技派が多数出演していることも相まって、じっくり演技が楽しめます。
チェーン・リアクション

『チェーン・リアクション』 The Chain Reaction(Nuclear Run) (1980・豪)
配給/ワーナー・ブラザース
監督/イアン・バリー
脚本/イアン・バリー
製作/デイヴィッド・エルフィック、ジョージ・ミラー
撮影/ラッセル・ボイド
美術/グレアム・グレイス・ウォーカー
音楽/アンドリュー・ウィルソン
出演/スティーヴ・ビズレー、アーナ・マリア・ウィンチェスター、ロス・トンプソン、ラルフ・コッテリル、ヒュー・キース・バーン、ローナ・レスリー、リチャード・モア、パトリック・ウォード、マーゴ・ロイド、メル・ギブソン(ノンクレジット)

明日、これが現実に──!? 核汚染の恐怖をリアルに描く問題作。

オーストラリアの中西部をマグニチュード5.6の強震が襲った。その衝撃でWALD(西部オーストラリア核廃棄物永久処理公団)に大惨事が勃発していた。パイプが裂け、放射能を多量に含んだ汚水が漏出したのだ。それに気がついた若い科学者ハインリッヒ(ロス・トンプソン)は、現場にかけつけ、おかげで、事故は工場全体に広がらずに済むが、全身に放射能を浴びた彼は、後数日の命という不運を背負った。
X線放射室に隔離されたハインリッヒは、自分の生命よりも、あふれ出た汚染水が地下水に流れ込むことを恐れ、その事を世に知らせることを考えていた。この事故を外部に漏らすことを恐れた公団側は、3日以内の命のハインリッヒを厳重に監視した。その綱目をぬってハインリッヒはジープにもぐり込み、脱出に成功した。
途中でジープを盗み、大学時代の級友ピゴット(リチャード・モア)とイーグル(ヒュー・キース・バーン)に電話をするが、途中で失神してしまう。一方、町で自動車修理工場を経営しているスピード・レース・ドライバーのラリー・スティルソン(スティーヴ・ビズレー)は、妻のカーメル(アーナ・マリア・ウィンチェスター)と一緒に山小屋で週末を過ごしていた。そこに、記憶を失なってフラフラと辿りついたのがハインリッヒだ。ケロイド症状の彼の様子に異常を感じたラリーは、彼の写真をポラロイドで撮り、それを持って山を下った。
ラリーは、町でものものしいトレイラーを発見する。そのトレイラーこそ、ハインリッヒを抹殺しようと追ってきたWALDの派遣による保安チームで、リーダーはグレイ(ラルフ・コッテリル)。ピストルを持った口の利けない若者オーツ(パトリック・ウォード)をいつも影のごとく従わせていた。
警察暑長の感違いから留置所に入れられるラリー。彼の落としたハインリッヒの写真を見たグレイは、早速トレイラーをラリーの山小屋へ向ける。一方、ハインリッヒからの連絡で駆けつけていたイーグルは、留置所にいるラリーから全てを聞き、伝書バトに事件の真相とこれからの行動メモをつけ飛び立たせた。ラリーは手錠のまま山小屋ヘ連行されることになるが、途中ハンドルをにぎった彼は、すきを見て警官を路上へ落とした。
しかし、山小屋はすでにグレイの手中にあり、ハインリッヒはケロイド症状の進行でもはや人間とも思えぬ無残な顔になっていた。そして、朝、汚染された水を浴びたラリーとカーメルの体も計数器のうなりから、危機に瀕していることがわかる。
[ネタバレ反転]
皮膚洗条装置に裸でほうりなげられた二人は、しめし合わせて脱出し、横たわるハインリッヒともどもトラックに乗り込んだ。レース・ドライバーの腕をもつラリーは、渓流ぞいの細い道を巧みに疾走する。追ってくるグレイの車は、遂に他の車と衝突し、砕け散っていった。車を出て抱き合うラリーとカーメルの頭上に、伝書バトの知らせでかけつけた新聞社のヘリコプターのプロぺラの音が近づくのだった。



オーストラリア産の、放射能汚染を巡るポリティカル・アクション映画。公開された当時、本作の内容は『マッドマックス』『カサンドラ・クロス』『チャイナ・シンドローム』を足して割ったようなものと喩えられました。主演は『マッドマックス』(1作目)でマックスの相棒の白バイ警官を演じたスティーヴ・ビズレーで、その関係かメル・ギブソンが髭を生やしたメカニックの役で、クレジットなしで友情出演しています。敵としては、ジョージ・P.コスマトスの『カサンドラ・クロス』やジョージ・A.ロメロの『クレイジーズ』などにも登場する、黒い防毒マスクに白ずくめの防護服の一団が、まるでカルト教団のような不気味な雰囲気を醸し出します。一番の見所は、オーストラリアお得意のカーアクション。陰謀ものとしては小粒ながら、さすがのカーチェイスに手に汗を握ります。しかし、放射能汚染水の漏出って、30数年前の映画で描かれてるんですよ。東電や政府は、何をやっておるんでしょうか。やってることは隠蔽や改竄で、この映画の悪役と同じことやってるじゃありませんか。

※VTR廃盤/未DVD化

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『キー・ラーゴ』 Key Largo (1948・米)
監督/ジョン・ヒューストン
脚本/リチャード・ブルックス、ジョン・ヒューストン
原作/マクスウェル・アンダーソン
製作/ジェリー・ウォルド
音楽/マックス・スタイナー
撮影/カール・フロイント
編集/ルディ・フェア
出演/ハンフリー・ボガート、エドワード・G・ロビンソン、ローレン・バコール、ライオネル・バリモア、クレア・トレヴァー、トーマス・ゴメス、ハリー・ルイス、ジョン・ロドネイ、マーク・ローレンス、ダン・シーモア、モント・ブルー

ハリケーンが襲来するフロリダ半島のキー・ラーゴを舞台に、ホテルに閉じ込められた
ギャング一味と復員将校らの息詰まる対決を、ハードボイルド・タッチで描く


フロリダ州の珊瑚礁列島フロリダキーズの小島キー・ラーゴに、第2次大戦の復員将校フランク・マクラウド(ハンフリー・ボガート)が上陸した。イタリア戦線で失った部下の父ジェームス・テンプル老人(ライオネル・バリモア)が、部下の未亡人ノーラ・テンプル(ローレン・バコール)とともに島で唯一軒のホテルを経営していたのだ。
ハリケーンも近いシーズン・オフとて、客もブラウンという男を頭にする5人の怪しい男たちがゲイ(クレア・トレヴァー)という女を連れて泊まっているだけだったが、フランクはブラウンの顔を見て彼が有名なギャングの頭目ジョニイ・ロコ(エドワード・G・ロビンスン)であることを知った。
今夜限りで引き揚げるというロコは、テンプル老人やノーラを縛り上げ、脱獄インディアンを探しに来た保安官の部下ソウヤー(ジョン・ロドニー)を殺して、何事かを待ちはじめた。戦争のためひどい虚脱感に陥っているフランクはそれを見て何の反応も示さず、ノーラはその腑甲斐なさに歯ぎしりした。夜が更けてハリケーンは強烈となり、ロコはホテルへ非難して来たインディアンを追い払い狂的に情婦のゲイをなぶりはじめた。フランクははじめてロコに反抗して彼女をかばった。数時間後駆けつけたベン・ウェイド保安官(モンテ・ブルー)はソウヤーの死体をみつけ、ロコはそれがインディアンの仕業だとだました。フランクの心には、やがて怒りが甦ってきた。
やがてロコの待ちかまえたギャング仲間が着き、偽札取り引きが行われて一味は海上へ逃亡することになったが、嵐のため予約しておいた船はやって来なかった。ロコはフランクを脅し、キューバへ運べと命じた。
[ネタバレ反転]
足手まといになるので取り残されることになったゲイは、ひそかにフランクにピストルを渡した。船を出したフランクは、ロッコの部下たちが甲板と船室に分かれたタイミングを見て、攻撃を開始する。まず甲板にいたフィーニーを巧みに騙して海に落とし、船酔いで甲板上にへたり込んでいたトーツを射殺する。その際にトーツの撃った弾がフランクの脇腹に当たるが、フランクは痛みをこらえて屋根に登る。そこに慌てて船室から出て来たカーリーをフランクは天窓から撃つ。船室に戻って息絶えたカーリーを見て慌てたロッコはガルシアに甲板に上がるように命令するが、それを拒んだガルシアを咄嗟に射殺してしまう。1人になったロッコは、フランクに様々な取引を持ち出し命乞いをするが、フランクは完全に無視し、船室から出て来たロッコを躊躇なく撃ち殺す。一味を倒したフランクは船の進路を島に戻し、無線で救助を求める。そしてホテルで待つノーラに無事を伝えるのだった。



人気作家マックスウェル・アンダーソンの戯曲『キー・ラーゴ』は1939年にブロードウェイで上演され、ポール・ムニが強盗を追い払う脱走兵役で出演。この舞台の存在を知った製作者のジェリー・ウォルドは映画化を企画してジョン・ヒューストンを説得、監督することを了承させます。しかし、原作戯曲に満足出来ないヒューストンは、アンダーソンを追い出してリチャード・ブルックスと共に脚本を執筆。主演のフランクにはハンフリー・ボガードを起用し、ヒロインのノーラはボガートの妻ローレン・バコールを配し、夫婦4度目の共演を果たしました。ギャングのボス役をオファーされたエドワード・G・ロビンソンは、彼のリベラルな思想がハリウッド内で問題視されて不当な扱いを受けていた上、配役順位もロビンソンの後輩にあたるボガートの次でしたが、仕事と割り切って出演を承諾。ボガートは先輩であるロビンソンに対して常にスターとして接し、他のスタッフにもそうするように主張したそうです。一方、ライオネル・バリモアが演じたテンプル老はいつも車椅子に座っている役。彼は足の痛みに苦しんでいた為、実生活でも車椅子での生活を余儀なくされていました。バリモアは合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトが大嫌いな事で知られていましたが、イタズラが大好きなヒューストンはそのことを知りながら、ギャングにルーズベルトを罵られたバリモアが車椅子から立ち上がって大統領を賞賛するシーンを用意。バリモアは見事に演じ切り、このシーンは映画の見所の一つとなりました。映画の撮影は主にワーナーのスタジオ内で行われ、オープニング・シーンの数ショットのみ実際にフロリダで撮影。撮影監督のカール・フロイントは光の効果を駆使して、スタジオ内でクライマックスのハリケーンのシーンを作り出しました。映画は好評を持って迎えられ、第21回アカデミー賞ではアルコール中毒のギャングの情婦を好演したクレア・トレヴァーがアカデミー助演女優賞を獲得。製作者のウォルドはアーヴィング・G・タルバーグ記念賞を受賞しました。

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『プレッジ』 The Pledge (2001・米)
監督/ショーン・ペン
脚本/ジャージー・クロモロウスキ、マリー・オルソン・クロモロウスキ
原作/フリードリッヒ・デュレンマット 『約束』
製作/マイケル・フィッツジェラルド、ショーン・ペン、エリー・サマハ
製作総指揮/アンドリュー・スティーヴンス
音楽/ハンス・ジマー、クラウス・バデルト
撮影/クリス・メンゲス
編集/ジェイ・キャシディ
出演/ジャック・ニコルソン、パトリシア・クラークソン、ロビン・ライト・ペン、サム・シェパード、ベニチオ・デル・トロ、アーロン・エッカート、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ミッキー・ローク、ハリー・ディーン・スタントン、ヘレン・ミレン

守らなければならない“約束”があると 警官は言った

ある雪の夜、一人の少女の遺体が発見された。引退をその日に迎えていた刑事ジェリー・ブラック(ジャック・ニコルソン)は、少女の母親に懇願され「魂にかけて」と、何かに憑かれたように犯人捜しを約束してしまう。そんな中、トビー・ジェイ・ワデナ(ベニチオ・デル・トロ)という知的障害のある男が逮捕され、若い刑事スタン・クロラック(アーロン・エッカート)の執拗な取り調べにより自白、そして自殺してしまった。
事件は片付いたように見えたが、定年後のジェリーは一人で事件の足跡を辿り始める。やがて少女の通っていた学校で、少女が殺される直前に描いた絵を手に入れる。彼は犯人が最も姿を現わしそうな地点を推測し、そこに立つガソリンスタンドを買い取った。
まもなく、近くのダイナーで働くウェイトレスのロリ(ロビン・ライト・ペン)と知り合い、彼女とその娘と3人での暮らしが始まる。だが、少女に付きまとう奇妙な男を怪しく思ったジェリーは、その男が事件の犯人だと確信する。
[ネタバレ反転]
ジェリーは少女に犯人が近づくのを応援を呼んで見張るのだが、殺人鬼が現われることはなかった。その頃、容疑者は事故にあっていた。娘を囮につかわれたロリは出ていく。退職後の心の隙間を埋めるかのように執拗に真相を追い続けるジェリーであったが、徐々に妄想に捕われて行くのだった。



直感と妄想の間隙にとらわれた定年退職後の刑事の執念を描くサスペンス。優秀な刑事だった男が退職して、胸にぽっかりと空いた心の空洞……焦燥感に追い詰められて常軌を逸していく姿は壮絶です。果たして彼の推理は正しいのか、間違っているのか、最後まで明かされずに真相は薮の中という、とても後味が悪い結末です。ジャック・ニコルソンの演技は、いつも通りに迫真に満ちて痛々しくなってくるほど。演技派が集い、異才ショーン・ペンの不条理な世界を堪能できる作品です。

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『ナイトホークス』 Nighthawks (1981・米)
監督/ブルース・マルムース
脚本/デイヴィッド・シェイバー
原作/デイヴィッド・シェイバー、ポール・シルバート
製作総指揮/マイケル・ワイズ、フランクリン・R・レヴィ
製作/マーティン・ポール
撮影/ジェームズ・A・コントナー
美術/ピーター・ラーキン
音楽/キース・エマーソン
衣装/ボブ・デモラ、ジョン・ファラベラ
出演/シルヴェスター・スタローン、ビリー・ディー・ウィリアムス、リンゼイ・ワグナー、パーシス・カンバータ、ナイジェル・ダヴェンポート、ルトガー・ハウアー、ジョー・スピネル

シルベスター・スタローン、ルトガー・ハウアー共演によるハードアクション。
ニューヨークに潜伏した国際テロリスト・ウルフガーを追う、ふたりの刑事の壮絶な追跡劇を描く。


大晦日のニューヨーク。今日もディーク・ダシルバ刑事(シルベスター・スタローン)は女装して3人組の強盗を、相棒のマシュー・フォックス刑事(ビリー・ディー・ウィリアムス)と共に捕えた。2人は囮捜査で名を上げている名刑事なのだが、そんな彼らをよく思わない連中も署内にはいた。
同じ日のロンドン。あるデパートがテロリストに狙われた。犯人はウルフガー(ルトガー・ハウアー)と名のり、政府の植民地政策に対するテロ運動として、さらなる予告的声明を発言した。
年が明け、離婚経験者のディークは、別れた妻でデザイナーとして働いているアイリーン(リンゼイ・ワグナー)を訪ね、真意を打ち明けるが、彼女は死と背中合せのディークの仕事に耐えられないと自分の気持を告げた。一方、ロンドンでは、ウルフガーと組織の男が警察の手入れをうけるが、マシンガンで逆に反撃し、逃亡した。その数時間後、血の海と化した現場を囲む警察陣の中に、テロリストを追い続ける国際刑事警察機構(インターポール)の捜査官、ピーター・ハートマン警部(ナイジェル・ダベンポート)の顔があった。
パリで仲間のシャッカ(パーシス・カンバータ)と会い、知れ渡った顔を整形したウルフガーは、ニューヨークヘ渡った。そのことを察知したハートマンは、ATAC(対テロリスト・アクション・コマンド部隊)に編入したディークとフォックスを部下に、捜査をすすめた。
あるビルで起こった爆破事件をきっかけにウルフガーの居所をつきとめた2人は変装した彼を見やぶるが、追跡中にウルフガーが投げたナイフでフォックスが傷つき、取りのがした。数日後、ハートマンがシャッカに殺され、ロープウェイが彼女とウルフガーにハイジャックされた。
[ネタバレ反転]
ディークがゴンドラに乗り込み赤ん坊を助けるが、やがて、ウルフガーは脱出用の飛行機とバスを用意し政治犯を解放することを要求する。ATACの銃撃で運転を誤って川に落ちるウルフガー。しかし死体は発見されなかった。そして、いよいよウルフガーの魔の手はディークの身辺にものびてくる。
ウルフガーの次のターゲットは、アイリーンだ。彼女の家に忍び込んだウルフガーは、台所でかたづけをしているアイリーンを背後からナイフで襲う。その瞬間、アイリーンが振りむくと、それは彼女に変装したディークだった。ウルフガーはその場でディークの発した銃弾で倒れるのだった。




国際テロリストと刑事の戦いを描いた、ドキュメンタリータッチの渋いアクション映画です。売れ筋であるマッチョ・ヒーローの活躍ではなく、あくまでも主人公の一般人としてのリアリティあるドラマを追求している姿勢に好感が持てます。最後まで緊張感が途切れることなく、手に汗握る作品となっています。スタローンの「極力逮捕、遵法精神」という刑事としての思想と、対テロ訓練での「テロリストを倒すためには手段を選ばない」というテロリスト・ハンターとしての思想の葛藤の演技が見事。ルトガー・ハウアーは、冷酷なテロリスト振りが素晴らしい。

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『合衆国最後の日』
Twilight's Last Gleaming (1977・米/西独)
監督/ロバート・アルドリッチ
脚本/ロナルド・M・コーエン、エドワード・ヒューブッシュ
原作/ウォルター・ウェイジャー『Viper Three』
製作/マーヴ・アデルソン
製作総指揮/ヘルムート・イエデレ
音楽/ジェリー・ゴールドスミス
撮影/ロバート・ハウザー
編集/マイケル・ルチアーノ、ウィリアム・マーティン、モーリー・ワイントローブ
出演/バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、チャールズ・ダーニング、ジョセフ・コットン、ポール・ウィンフィールド、バート・ヤング、メルヴィン・ダグラス、ウィリアム・マーシャル、リーフ・エリクソン、リチャード・ジャッケル、ジェラルド・S・オルーリン

核ミサイル基地を占拠し世界を人質に取った元軍人が、合衆国政府に突きつけた要求とは……?

1981年11月。州刑務所を脱獄した4人の囚人は、モンタナ州のミサイル基地に通じる道で軍用トラックを乗っ取り、基地に侵入した。リーダーは元空軍大佐のデル(バート・ランカスター)。この基地の設計者でもあり、ハト派的言動で投獄されていた男だ。彼は侵入の折、仲間の1人を計画にそぐわないとして射殺し、結局デル、黒人のポーウェル(ポール・ウィンフィールド)、そしてガルバス(バート・ヤング)の3人で内部に入った。デルはベトナム戦争に関する「政治的な秘密」を暴露しようと試みたがゆえに、
不穏分子と見なされ、殺人をデッチ上げられて投獄されていたのだった。
彼らはミサイル・コントロール・センターを占拠した。ミサイル基地の設計等に参画していて装置等を熟知しているデルは、第三次世界大戦に至らぬための安全装置を無力化してミサイルを発射可能の状態にした。そしてオマハの司令センターに、彼らの行動を告げる。司令センターの責任者マッケンジー将軍(リチャード・ウィドマーク)は、この事件をホワイトハウスへ連絡した。ただちに非常機密会議が招集され、その席上デルから電話が入った。核弾頭を搭載してロシアに向けられた9機のICBM(大陸間弾道ミサイル)で脅しつつ、基地を装甲車や戦車に囲まれたデルは、米国大統領デイヴィッド・スティーヴンス(チャールズ・ダーニング)と直接電話で交渉をはじめた。
デルの要求とは、ベトナム戦争当時、ベトナムの人々のみならず米国の兵士をも殺しまくったベトナム戦争の真実、「ベトナムの周辺国への、共産化への警告のためとしての、犠牲を無視した単なる示威戦争および兵器産業振興が目的だった」ことが記された国家機密文書の公表、国外逃亡資金1千万ドルの用意、そして逃亡地点までの大統領の人質、の3点だった。
大統領よりの指令でマッケンジーは、戦車と小型原子爆弾を基地に配置する。だが、デルは事態を察し、ミサイルの発射ボタンを押した。だんだんとせり上がって行くミサイル。発射10秒前。デルが本気なのを知り、大統領は作戦を中止する。8秒前、ミサイルは止まった。その最中、極秘裏のタカ派高官の圧力により、デルらの抹殺が水面下で決定された。
[ネタバレ反転]
ついに、大統領は文書公開をデル達に約束し、自ら人質になるため現金を持って出向く。基地内での対話により、互いに信頼が芽生えるデルと大統領。やがて、大統領にぴったりついてデルたちが出て来た。専用機へ歩む彼ら。一方、文書公開をはばむマッケンジーらは、用意した狙撃兵に命令をあたえた。銃弾は発射された。倒れるデルたち、そして大統領。デルたちは即死だった。瀕死の大統領はマッケンジーに、何度も文書公開を頼む。マッケンジーたちは、大統領が息を引き取る間際でも、無表情で無言だった。


※リバイバル公開時の劇場予告編

核ミサイル基地を乗っ取り政府を脅迫する顛末を描いた、ポリティカル・サスペンスの傑作。チェスのように駆け引きで騙し合い静かに戦う、重厚な作品で息つく間もありません。同時進行中の様々な場面を、マルチ画面で分割して同時に見せる『24』でも使われた手法が、ギリギリと緊迫感を盛り上げます。ハッキリ言って『24』なんて目じゃないです。なんとも恐ろしいのは、1977に描かれた政府内のパワーバランスや官僚主義、隠蔽体質などが、2013年でもまったく変わっていないということ。そのことに、背筋が寒くなります。

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『メカニック』 The Mechanic (1972・米)
監督/マイケル・ウィナー
脚本/ルイス・ジョン・カリーノ
製作/ロバート・チャートフ、アーウィン・ウィンクラー
音楽/ジェリー・フィールディング
撮影/リチャード・H・クライン
編集/フレデリック・ウィルソン
出演/チャールズ・ブロンソン、キーナン・ウィン、ジャン・マイケル・ヴィンセント、ジル・アイアランド、リンダ・リッジウェイ、フランク・デ・コヴァ、ケヴィン・オニール、リンダ・グラント

クールで寡黙なチャールズ・ブロンソンの男の魅力爆発!
『狼よさらば』に先駆けてマイケル・ウィナーとの黄金コンビで放つ
70年代を代表する殺し屋アクション映画の最高傑作!


ロサンゼルスのある安ホテルの1室で、向かいのアパートを凝視する男があった。やがて夜が白々と明ける頃、そのアパートは大爆発を起こした。男はアーサー・ビショップ(チャールズ・ブロンソン)、ある組織に雇われている殺し屋なのだ。殺しを科学と心得、危険で難解なものへのあくなき探究と、なしとげた時の満足感。素早く、完璧に芸術的な情熱をもって行なう正確無比な天職。クラシック音楽とヴィンテージワインを愛し絵画を愛好するクールで寡黙な殺し屋ビショップは、その芸術的ともいえる完璧な仕事ぶりから「メカニック」と呼ばれていた。
翌日、家には次の指令が届いていた。分厚い封筒の中には標的の完全な資料が入っていた。その犠牲者は、死んだ父の友人で、組織の1員でもあるハリー・マッケンナ(キーナン・ウィン)だった。ハリーは事故死と処理され、その葬式でアーサーは彼の息子スティーヴ(ジャン=マイケル・ヴィンセント)と会った。職業上、アーサーは決して人を近づけなかったが、若くて向こうみずなこの青年に不思議な親近感を覚えた。
その頃アーサーは時々めまいに襲われるようになり、医者から極度の緊張が原因だといわれていたため、スティーヴを助手として使おうと考えた。射撃、ハンドボール、曲乗り飛行、スティーヴは着々と殺し屋に変貌していった。
やがて次の殺人指令が届いた。麻薬密売の3人の若者を殺害せよ、という。この殺しにアーサーは無断でスティーヴに手伝わせたため、激しく叱責された。次の命令が下り、アーサーはコールガール(ジル・アイアランド)のもとで一瞬の休息をむさぼった。今度はイタリアでの暗殺だった。なぜかアーサーは気が進まなかったが、スティーヴに連絡しようとマッケンナ邸を訪れた。そして彼の机の中に、アーサー・ビッショップの暗殺指令を発見した。今や彼自身が犠牲者の立場に立ったのだ。スティーヴがどうでるか、死という名のゲームが開始された。
[ネタバレ反転]
夜明け前、アーサーとスティーヴは岬に停泊するヨットにアクアラングで泳ぎつき、獲物を求めた。だが、船の中には敵の姿は無かった。とっさにアーサーは事態が読めた。暗殺指令自体が罠だったのだ。2人は時限爆弾を仕掛けて車を飛び降り、爆発させて死んだ事にした。窮地を切り抜けた2人は、ナポリを脱出した。
ホテルを引き払う時スティーヴが陽気に声をかけ、アーサーの愛飲するワインで2人は乾杯した。グラスをあけながらアーサーは、スティーヴがもはや1人前の殺し屋に成長したと感じた。が、その瞬間、アーサーは倒れた。スティーヴが組織から命令されたアーサー暗殺計画を遂行するために、グラスに毒を塗っておいたのだ。アーサーの意識は次第に遠のいていった。
意気揚々と車に乗り込んだスティーブは運転席で、挟んであったアーサーからのメモを見た。顔を蒼ざめた瞬間、スティーブの乗った車は吹き飛んだ。




「メカニック」と呼ばれる熟練の殺し屋の孤独な世界を描いた、クライム・サスペンス映画。C・ブロンソンの男臭さが、画面から滲み出ています。ブロンソンには珍しい、師弟対決もの。弟子役のJ・M・ヴィンセントは虚無的な若いボンボン風で、『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』の渋カッコ良さはまだ身に付いていません。2011年にジェイソン・ステイサム主演でリメイクされました。

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『狼の挽歌』 Città violenta (1970・伊)
監督/セルジオ・ソリーマ
脚本/リナ・ウェルトミューラー、セルジオ・ソリーマ、ジャンフランコ・カリガリッチ
原案/マッシモ・デ・リタ
製作/アリゴ・コロンボ、ジョルジオ・パピ
音楽/エンニオ・モリコーネ
撮影/アルド・トンティ
出演/チャールズ・ブロンソン、ジル・アイアランド、テリー・サバラス、ウンベルト・オルシーニ、ミシェル・コンスタンタン

『さらば友よ』『雨の訪問者』──一作ごとに強烈な男の体臭を撒きちらすチャールズ・ブロンソンがまたも世界を唸らすアクション本格派の傑作!

フロリダ南方の灼熱の島バハマ。狙撃のプロである一匹狼の殺し屋ジェフ・ヘストン(チャールズ・ブロンンン)は愛人バネッサ(ジル・アイアランド)とドライブ中、何者かに追跡されて町の一角に追いつめられた。唯一の逃げ道の前に有名なレーサーの車が立ちふさがり、車内から弾丸が発射され、ジェフの肩を打ち抜いた。乱射戦となり、ジェフは三人を射ち殺す。ジェフは殺人容疑で裁判ざたとなったが、弁護士スティーブ(ウンベルト・オルシーニ)の努力で正当防衛が認められ釈放された。
ニューオリンズに向った彼はレース場に赴き、例のレーサーの車がカーブにさしかかった時を狙ってライフルの引き金を引いた。車は火だるまとなって爆発した。数日後のパーティで、ジェフはバネッサと再会した。車のレーサーと彼女は関係があり、レーサーはジェフの存在に嫉妬して殺そうとした事が分った。
翌日、マイアミに向う二人が空港に着いた時、事務員が一枚の封筒を渡した。中には、あのレース場の薮の中でライフルを持っているジェフが写っていた。昔の仲間を洗って、誰が撮ったかを調べる彼の前にウェーバー(テリー・サヴァラス)の手下が現われ、彼の自宅へつれていった。ウェーバーは、ジェフを仲間に加える為に写真を撮ったのだ。またそこにはスティーブと、ウェーバーの妻になっていたバネッサがいた。バネッサは、怒るジェフに必死に言いわけをした。翌日、ベッドにいるジェフとバネッサを殺せと、ウェーバーに命令をうけた昔の仲間が忍び込んできた。
[ネタバレ反転]
だが、先手を取ったのはジェフだった。討手を返り討ちにしたジェフは、ウェーバーを襲い射ち殺して写真のネガを取り戻した。一方、スティーブはウェーバーが殺されたのを幸いに、バネッサがジェフを愛しながらも殺し屋として恐れているのを利用して裏切らせ、警察に売って二人でウェーバーの後ガマに座ろうと目論んだ。
バネッサと約束したホテルでジェフは危機一髪、刑事の張り込みをかわした。ウェーバーの会社を引き継ぐためのレセプションに行くガラス張りのエレベーターに乗ったバネッサとスティーブに、ジェフの冷たい眼が光った。スティーブの眼前でガラスがハジけた。何発も弾を射ち込まれ、スティーブは苦しんで死んだ。照準のなかで呆然とこちらを見てジェフの名を呼ぶバネッサの、頭部を銃弾が貫いた。駆けつけた若い警官と対峙したジェフは「射て」と声をかける。固まった警官に「新米だな。射たなきゃ射つぞ」と言いライフルを構えるジェフに、警官の銃弾が撃ち込まれた。即死したジェフの目は、穏やかだった。




陰謀に巻き込まれた殺し屋の姿をハードボイルド・タッチで描いた、サスペンス・アクション映画。50代にしてキビキビ動き、銃器の扱いも決まっているブロンソンが渋格好いいです。ジル・アイアランドとはこの作品が縁で結婚し、彼女が癌でなくなるまでのおしどりぶりは、見ていて熱いほど。必ずと言っていいほど競演ヒロインは、愛妻ジルでしたから。孤高の殺し屋の寂寥感と冷徹なプロ意識に、ブロンソンの魅力がいっぱいの作品。エンニオ・モリコーネのテーマ曲も、いつも通り素晴らしいです。

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『さらば友よ』 Adieu l'ami (1968・伊/仏)
監督/ジャン・エルマン
脚本/ジャン・エルマン、セバスチアン・ジャプリゾ
製作/セルジュ・シルベルマン
音楽/フランソワ・ド・ルーベ
撮影/ジャン・ジャック・タルベ
編集/エレーヌ・プレミアニコフ
出演/アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン、オルガ・ジョルジュ・ピコ、ブリジット・フォッセー、ベルナール・フレッソン

アラン・ドロン&チャールズ・ブロンソン 2大スター競演のフレンチ・クライム・サスペンス


戦争も末期のある寒い朝アルジェリア帰りの兵士たちを乗せた船が、マイセイユについた。その中に、軍医のディノ・バラン(アラン・ドロン)もいた。そのバランに「モツアルトの友人のバランさんでしょ?」といきなり若い女(オルガ・ジョルジュ・ピコ)が話しかけてきた。バランは表情もかえず無視して歩き続けた。同じ船からアメリカ人軍曹で、戦争を商売にしてきたフランツ・プロップ(チャールズ・ブロンソン)も降りた。彼は部下をかきあつめ、次はコンゴに出かけ一稼ぎしようと企んでおり、それには軍医が必要と、バランをくどいていた。そのプロップを殴り倒し、バランは彼を追ってきた若い女の車に乗った。
女はイザベルといい、彼女はモツアルトに頼んでおいた約束を、バランに代行して欲しいと頼んだ。その仕事というのは、イサベルはパリの広告会社に働いているが、会社の債券をひそかに持ちだし利用していた。年末の決算も近づいたので、それを金庫に返さなければならない。地下室のもとモツアルトのいた医務室の隣りに金庫がありクリスマスの連休の間に、それを返してほしいというのだ。バランはその仕事をひきうけ、医務室にハイスピード分解写真装置のついたカメラを持ち込んだ。金庫の七つのダイヤルの組合せ番号を盗み出すため、金庫室の見通せる小窓にそれをセットした。
金曜日は会計簿をしまうために金庫が開けられることになっていたが、その日は社員のボーナスと月給を含め、二億フランの現金がしまわれるのを知って、バランの目的はかわった。債券を返すと同時に、中身をいただこうというのだ。
だが、カメラは七つのダイヤルのうち、三つしか写してなかった。組合せは無数にあり、時間は三日三晩しかない。バランが作業を開始したとき、ふらりとプロップがあらわれた。いまさら彼を追いかえすわけにもいかず、二人は一緒に仕事をはじめた。が、ふとしたことから金庫室の中に二人は閉じこめられてしまった。
ピンチのなかで、男二人の間に奇妙な友情が生じた。そこでディノはかつてアルジェリアで、親友モツアルトとの関係も語りだした。そして長い苦闘の末、遂に金庫は開いた。しかし中はからっぽだった。壁をしゃにむにくずし、通風孔をとおり、医務室に脱出したが部屋には、警備員の死体がころがっていた。バランは罠にかけられたことを知った。恐らくバランが作業にかかる前に、誰かが金を盗み出し、警備員を射殺し、罪をきせようとしたのだ。
[ネタバレ反転]
バランとプロップは別々に逃げた。二億フランの金庫破りと、警備員殺しのニュースは派手にかきたてられ、非常線がはられた。プロップは空港でその非常線に引っかかったバランを救うため、自分が捕えられた。一方バランは、イザベルの行方を探して、医務室の助手をしているドミニク(ブリジット・フォッセー)のところを訪ねた。そこでバランは、おぼろげながらではあるが真相をつかみかけた。盗聴されることを計算にいれバランは、警察に捕えられているプロップに電話した。
その後、オステルリッツを連れて医務室に行き、イザベルのカルテをさがさせた。バランの背中に銃がつきつけられた。イザベルだった。金をとり警備員を射殺したのは、イザベルとドミニクの共犯だったのだ。だが、ビルには警察官たちもひそんでいた。それに気づいて逃げるイザベルとドミニク。同性愛の関係にある二人を、ディノの制止も聞かず警官は射殺してしまった。
事件は終った。別件で再び刑事に連行されるプロップの煙草に、バランは無言で火をつけてやった。




男同士の友情を静かに絡めた、格好いいサスペンス映画。ラストを含め、フランス映画らしいスタイリッシュなシーンがいくつもありながら、同時に男臭さを感じさせる映画です。ヨーロッパでのブロンソンの人気を決定づけた作品で、このあと『雨の訪問者』『夜の訪問者』を経てアメリカに逆輸入されるという、C・イーストウッドと似たような道筋を辿ります。またドロン、ブロンソンに引けを取らない、ベルナール・フレッソンの鬼警部ぶりが素晴らしい。三者三様の男の美学を描いた、男の映画です。『禁じられた遊び』の名子役ブリジット・フォッセイが16年ぶりにスクリーンに登場しています。

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『雨の訪問者』
Le passager de la pluie (1970・伊/仏)
監督/ルネ・クレマン
脚本/セバスチアン・ジャプリゾ
製作/セルジュ・シルベルマン
音楽/フランシス・レイ
撮影/アンドレア・ヴァインディング
編集/フランソワーズ・ジャヴェ
出演/チャールズ・ブロンソン、マルレーヌ・ジョベール、アニー・コルディ、ジル・アイアランド、マーク・マッツァ、ガブリエレ・ティンティ、ジャン・ガヴァン

雨の日にやってきた赤い鞄の男の正体とは――。
謎の米軍大佐に扮したブロンソンの男気に痺れる、フレンチ・サスペンスの秘宝。

初秋を迎え、人気のなくなった南フランスの避暑地。ある日、降りしきる雨の中グレイのコートに赤いバッグをさげた男が、バスから降り立った。メリー(マルレーヌ・ジョベール)は、いぶかしそうにその男を見た。この町には訪れる人も余りなかったからだ。その後町の洋服屋でも見かけたその男は、メリーをつけているような不気味さがあった。そしてその夜、夫トニー(ガブリエレ・ティンティ)が不在の家で、メリーはその男に襲われた。夫は飛行機のパイロットで留守がちだった。メリーは、ショット・ガンで地下室にいる男を殺した。証拠を焼き捨て、死体は海へ捨てた。
翌日、友人の結婚式でメリーはドブスというアメリカ人(チャールズ・ブロンソン)と知り合った。がっしりして、口ヒゲをたくわえた男は、「なぜあの男を殺した」といきなり聞いてきた。警察も、その殺人事件で動きだした。だが、メリーはドブスに、自分は殺しなどやらない、と言い張った。ドブスの目当ては殺された男のもっていた赤いバッグだった。ドブスはアメリカの陸軍大佐。その赤いバッグには大金がかくされていたのだ。
だが、メリーが駅でみつけた赤いバッグには金などなく、夫のトニーの写真が入っていた。写真の裏には自分たちの住居が書かれてある。トニーほどうやらパイロットという職業をいいことにして、方々で女をつくり密輸にも関係していたらしい。警視のトゥーサン(ジャン・ガヴァン)も、友人のニコール(ジル・アイランド)も不審な雰囲気だった。
自宅に侵入し、ドブスはメリーをアルコール攻めで拷問した。やがて、殺された男の情婦が犯人としてあげられ、メリーは自分の車の中に金の入ったバッグを見つけた。だが、ドブスは執拗にメリーにつきまとう。被害者の情婦の住んでいたパリを訪れたメリーは、胡散臭い男たちに拷問されたが、駆けつけたドブスに救われた。一体メリーに何が起ったのだろう? 雨の訪問者も、金も、何もかも空想好きなメリーの夢だったのだろうか? 
[ネタバレ反転]
本当の犯人は、逮捕された情婦なのかも知れない。友人のニコールと夫との関係を知ったメリーは動てんした。すべてが信じられない悪夢のようだ。やがてドブスはメリーのもっていた大金を手に入れ、雨の午後に起ったことのすべてを知った。海から引き上げられた死体の手の中から、メリーのドレスのボタンが出てきた。だが、不思議なことにドブスはメリーを捕えなかった。証拠のボタンを返しただけ。夫と共にロンドンへ去るメリーを残して、ドブスは港の方へ去って行った。



脇役イメージの強かったチャールズ・ブロンソンを一躍、世界的な人気スターに押し上げたサスペンス映画の秀作です。『さらば友よ』でも脚本を書いたセバスチャン・ジャプリゾがブロンソンに惚れぬき、ブロンソンが演じる事を念頭において書いた作品だけに、見事なまでに彼の魅力を引き出した作品になっています。前半部分は不可解な事件の積み重ねで全体像がハッキリしない為、主人公の女性と同様に観客も惑わされますが、後半は畳み掛けるように謎が開示される展開にシビレます。感傷的で人生の悲哀も感じさせるようなムードたっぷりの演出が、ブロンソンの男臭さ、大人の男な感じを引きた立たせています。

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『夜の訪問者』 De la part des copains / Cold Sweat(1970・伊/仏)
監督/テレンス・ヤング
脚本/ドロシア・ベネット、ジョー・アイシンガー、シモン・ウィンセルベルグ、アルベール・シモナン
原作/リチャード・マシスン
製作/ロベール・ドルフマン、モーリス・ジャカン
音楽/ミシェル・マーニュ
撮影/ジャン・ラビエ
編集/ジョニー・ドワイア
出演/チャールズ・ブロンソン、リヴ・ウルマン、ジェームズ・メイソン、ジル・アイアランド、ジャン・トパール、ルイジ・ピスティッリ、ミシェル・コンスタンタン、ヤニック・ドリュール

'71G.Wの本命=最も新しいプロンソン登場!
一作ごとに〈男〉の魅力を強めるプロンソンが、人気NO.1の貫録をみせて“007”シリーズの名匠テレンス・ヤングとの初コンビで放つ最高のサスペンス・アクション!


南仏の港町、ビルフランシュでジョー(チャールズ・ブロンソン)は観光客相手の釣船商売をし、妻ファビアンヌ(リヴ・ウルマン)と娘ミシェール(ヤニック・ドリュール)と三人で、静かな生活を送っていた。ある夏の夜、遅くに家に帰るとファビエンヌから無言電話があったと聞く。ジョーはかかってきた電話に出ると、ファビエンヌに2階に行くよう言う。その後訪ねてきたホワイティ(ミシェル・コンスタンタン)と名のる男は、ロス(ジェームズ・メイソン)の依頼といいジョーの船で奇妙な輸送品を運べと強制する。朝鮮戦争の時、ジョーは営倉でロス等と知り合い、運転の腕をかわれて脱走計画に乗るが、無用の殺人が行なわれ、あまりの事にジョーはロス等を置き去りにして車を走らせた。そして七年、ジョーはたち切ったつもりでも、ロス等はその絆を切っていなかったのだ。現在の生活に不足のないジョーは無論断った。激しい口論の末、乱闘となり、ジョーはホワイティを絞め殺す。
妻に全てを打ちあけ、二人で死体を崖から投げ棄てて家に帰ってみると、ロスと手下のカタンガ(ジャン・トパール)とファウスト(ルイジ・ピスティリ)が待っていた。ファビアンヌを人質に、ロスたちは船を出せと迫った。やむなくジョーは、カタンガを乗せて出発する。沖にはトルコの船が待っていて、麻薬の取引きをすると言う。船の強引な操作でバランスを失ったカタンガに躍りかかり、ジョーは睡眠薬を注射すると船をとって返し、キャンプに行っている娘ミシェールを迎えに行った。
しかし、娘はすでにロスたちが連れ去った後だった。ジョーは飛行場に急行する。ファウストが、取引に使う金を持って来るロスの情婦のモイラ(ジル・アイアランド)を迎えに行っている筈だったからだ。罠を使って引っかかったファウストをエレベーターで叩き伏せたジョーは、モイラを町から離れた山小屋に監禁した。そして、一束の金を持って家に帰り、その金を証拠に、ファビアンヌとミシェールと、金を持ったモイラとの交換をロスに提案する。
一行は山小屋に向かい、助けを求めるモイラの声にロスは申し出を承知する。しかし、ミシェールを乗せたファビアンヌの車がスタートした直後、カタンガのマシン・ガンが火を吹いた。咄嗟にジョーは飛びかかり、車はタイヤを撃ち抜かれただけだったが、乱闘でカタンガの弾はファウストを殺し、ロスは腹に重傷を負った。ジョーはロスに医者を呼ぶ事を納得させる。一時間の約束時間を貰い、モイラと町へ向け、車を突っぱしらせる。妻と娘の命は、ロスの生死にかかっていた。ロスの生命がつきた時、二人の運命は殺し屋のカタンガの手に移るのだ。カタンガの狙いは金と十二歳の娘ミシェールだった。
ファビアンヌ必死の介抱も空しく、カタンガに銃をむけているロスの生命の炎は刻々と消えつつあった。カタンガの残忍な眼は隙を窺っていた。やっとの思いで医師を見つけたジョーには残り時間は三十分にも満たない。町は七月十四日の革命記念日の祭りで沸返っていた。信号を無視し、追いかける白バイを振り切り、車を飛ばす。タイヤが悲鳴をあげた。
[ネタバレ反転]
その頃、山小屋ではついにロスが息を引き取っていた。金を掴み、二人に迫るカタンガ。ファビアンヌは消毒用アルコールを顔にあびせ、ミシェールと外に逃がれた。追うカタンガ。追いつめられた二人は草原に火を放って懸命に逃げた。その時、ジョーの車が着いた。安堵するファビアンヌ。しかしカタンガの銃が待っていた。再び、例のトルコ船が待つ島へ。ジョーの背後には銃を構えたカタンガがいた。ジョーの眼には船室の隅の救難用信号拳銃が見えた。ミシェールに気をとられているカタンガの隙を狙い、ジョーは引き金をひいた。火だるまになったカダンガは、金とともに海に沈んだ。恐しい過去の絆から解かれた一家は港に帰った。革命記念日の夜の賑わいはたけなわだった。



『激突!』、『アイ・アム・レジェンド』、『ある日どこかで』、『リアル・スティール』などのリチャード・マシスンの原作小説を、初期の『007』、『暗くなるまで待って』などのテレンス・ヤングが監督したサスペンス・アクションです。娯楽映画の面白さとアクション映画の醍醐味を堪能できる作品で、家族の危機に身一つで立ち向かうブロンソンの野性味が炸裂し、渋格好いい魅力も全開。さすがブレイク直後の生きの良さです。最近のイケイケノンストップ映画とは違い、しっとりとムードを醸し出した大人の映画という風情が漂っています。
テレフォン_ブロンソン

『テレフォン』 Telefon (1977・米)
監督/ドン・シーゲル
脚本/ピーター・ハイアムズ、スティーリング・シリファント
原作/ウォルター・ウェイジャー
製作/ジェームズ・B・ハリス
撮影/マイケル・バトラー
美術/テッド・ハワース
音楽/ラロ・シフリン
編集/ダグラス・スチュワート
出演/チャールズ・ブロンソン、リー・レミック、ドナルド・プレゼンス、タイン・デイリー、アラン・バデル、パトリック・マギー、シェリー・ノース、フランク・マース

爆発の時を待つのは、50体の人間時限爆弾!


1月10日、モスクワ。市内の閑静なアパートの中に銃を手にした男達が突入する。指揮をとっているのは、KGB長官ストレルスキー将軍(パトリック・マギー)と、副官マルチェンコ大佐(アラン・バデル)。だが逮捕しようとしたダルチムスキー(ドナルド・プレザンス)はいなかった。
1月17日、アメリカのコロラド州デンバー。ハイウェイ沿いの修理工場に電話が鳴る。出た店主に「森は美しく、暗く、深い。だが誓いを果たし、眠るまでの道は遠い……」というフロストの詩が告げられる。操られるように店主は、隠してあった爆弾を車に積み陸軍基地に車ごと乗りこみ、基地は大爆発をおこした。
1月18日、バージニア州CIA本部。CIA副長官サンドバーグ(フランク・マース)はこの事件を知るが、アメリカ市民がなぜ、この廃棄された自国の基地を破壊したのか理由がつかめなかった。そんな彼のところへ、コンピューター・プログラマーのドロシー(タイン・デイリー)が、最近ソ連で24人もの極論派のスターリン主義者が粛清されたことをつたえる。
1月20日、フロリダ州アパラチコラ。小型機でチャーター業をしている男の所に、例の電話が……。でも小型機の海軍基地への体当りは失敗した。このニュースをTVでみて愕然とした男がいた。それは、ダルチムスキーだった。
1月24日、モスクワ。KGB本部にボルゾフ少佐(チャールズ・ブロンソン)が呼ばれる。そこで彼は、アメリカでの一連の事件を聞かされ、ダルチムスキー殺害を命じられた。事件の背景とは、まだ米ソが冷戦のころ、KGBにより洗脳されたアメリカ人留学生51人が工作員「スリーパー」としてアメリカに帰った。彼らは決められた言葉を聞くと、機械的に自爆破壊活動を実行するように暗示を受けた者たちだった。彼らは自分がKGBのスパイだということも忘れ、電話で鍵となる言葉を聞くまでは、ごく普通の一般人として生活するのだ。だが、今の時代となっては、この『テレフォン作戦』も必要なくなった。しかし、ダルチムスキーはこの51人をリストアップしてアメリカへ潜入したのだった。早くダルチムスキーを抹殺し凶行を止めなければ、露顕した場合、米ソの関係が危機を迎えることも……。ボルゾフは完全記憶能力で51人の名を覚え、アメリカへ旅立った。
1月26日、カナダのカルガリー空港。ボルゾフを迎えたのは、KGBの人間バーバラ(リー・レミック)だった。夫婦に扮した2人は、アメリカへと向かう。
1月27日、ロサンゼルス。国際電話局が牧師によって爆発され、牧師は重傷のまま病院にかつぎこまれた。
1月28日、サンタモニカ。病院についたボルゾスとバーバラは、牧師を殺す。
1月29日、モスクワ。KGB長官は『テレフォン作戦』を一切抹殺するため、何も知らないバーバラにボルゾフを任務完了後殺すよう命令する。同じ頃、ボルゾフは、バーバラに殺す男を教えた。バーバラは行動を共にするうちに、ボルゾフに好意をいだき始めていた。一方、ニューメキシコ州ケンブリッジで山中のロケット試射場が爆破される。ボルゾフはあせり、ダルチムスキーが、自分の同じイニシャルの人間に次々と指示をあたえているのに気づいた。次の文字はH。ヒューストンだ。ボルゾフは彼のもとへ飛ぶ。
1月30日、テキサス州ヒューストン。ボルゾフがその男の暗躍を阻止している頃、バーバラはCIA副長官サンドバーグと連絡をとっていた。彼女はCIAの二重スパイなのだった。彼女はサンドバーグに、ダルチムスキーに凶行を続けさせソ連の立場を弱くさせるため、阻止行動を続けるボルゾフ暗殺を命じられる。KGBからもCIAからも、命を狙われるボルゾフ。ダルチムスキーは、街角に姿を消していた。次はホルダービルだ。
[ネタバレ反転]
1月30日、テキサス州ホルダービル。ボルゾフは先まわりしてその土地の男を殺し、ついに姿を現わしたダルチムスキーを追いつめ、ついに電話ボックスの中で殺した。「スリーパー」たちは、このまま何事もなくアメリカ市民として生活していくことだろう。
やがて、サンドバーグの元へ、バーバラから電話が入った。「ダルチムスキーは死んだ。これから私とボルゾフは、姿を消しスパイ稼業から足を洗う。行方を探ろうとなんかしないでね。もし探ったら、また方々で電話が鳴るわよ」と──。




米ソが共存の世界へ第一歩をふみ出そうとした中で、過激なスターリン主義者の計画を阻止しようとするKGB諜報員の活躍を描くスパイ・アクション。アメリカを舞台に死闘を演ずるロシア人同士という設定が面白いです。抑えた演出で淡々とサスペンスを積み上げていくのが、渋いC・ブロンソンを引き立てています。これもテレビ東京で見て、友人の間で「ブロンソンがロシア人に見えない!」という意見もありましたが、実はリトアニア移民の子供で、本名チャールズ・デニス・ブチンスキー。スラブ系だから本来はぴったりの役柄なのです。

※VTR廃盤/TSUTAYA発掘良品にてDVD化、レンタル中。

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『36時間 ─ノルマンディ緊急指令─』
36 Hours (1964・米)
監督/ジョージ・シートン
脚本/ジョージ・シートン
原作/ロアルド・ダール 、 ルイス・H・バンス 、 カーク・K・ヒットマン
製作/ウィリアム・パールバーグ
撮影/フィリップ・H・ラスロップ
音楽/ディミトリ・ティオムキン
出演/ジェームズ・ガーナー、エヴァ・マリー・セイント、ロッド・テイラー、ヴェルナー・ペータース、ジョン・バナー、ラッセル・ソーソン、 アラン・ネイピア、オスカー・ベレギ

彼に残された時間は36時間。国家への反逆者か世界の救世主か。決断への秒読みが始まる!
第二次世界大戦を描いた、スパイ映画の傑作!


1950年。アメリカ軍所属のジェファーソン・パイク少佐(ジェームズ・ガーナー)は、同盟国の軍病院内で目を覚ました。彼は記憶喪失に陥っており、何も思い出すことができない。アメリカ人医師ウォルター・ガーバー少佐(ロッド・テイラー)の診断によると、パイクの最後の記憶であるノルマンディ上陸作戦についての詳細を思い出すことができれば、深層心理に潜む全ての記憶が蘇るのだという。彼が担うはずだった工作の内容、上陸作戦の詳細などを、細部に渡り思い出し、語るように助言する。
しかし、彼はまだ真実を知らなかった。実際に彼がいるのは1944年のドイツ領内に作られた、偽の病院であることを……。



ノルマンディ上陸作戦の36時間前に繰り広げられる、アメリカ軍将校と、ロッド・テイラー演じるドイツ人医師の巧妙な心理戦を描いた傑作スリラー。ノルマンディ上陸作戦の詳細を引き出すための唯一の手がかりであるパイクを前に、手段を選ばないナチスと、虚偽と真実の狭間で揺れるパイクの熱く静かな戦いが繰り広げられます。飄々とした印象の『ロックフォードの事件メモ』のジェームズ・ガーナーが、180度違う生真面目な演技を見せてくれます。ハラハラドキドキの、手に汗握ること請け合いの映画です。

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『ジャッカルの日』 The Day of the Jackal (1973・英/仏)
監督/フレッド・ジンネマン
脚色/ケネス・ロス
原作/フレデリック・フォーサイス 『ジャッカルの日』
製作/ジョン・ウォルフ
音楽/ジョルジュ・ドルリュー
編集/ラルフ・ケンプレン
出演/エドワード・フォックス、ミシェル・ロンズデール、デルフィーヌ・セイリグ、アラン・バデル、モーリス・デナム 、ミシェル・オークレール、オルガ・ジョルジュ=ピコ、デレク・ジャコビ、トニー・ブリットン、バリー・インガム、ティモシー・ウェスト、ドナルド・シンデン、ヴァーノン・ドブチェフ、シリル・キューザック、エリック・ポーター

ド・ゴール暗殺のために雇われたスナイパー 「ジャッカル」
フランス警察は彼の暗殺計画を阻止できるのか!?


フランスの一部の政治家とアルジェリアに駐留するフランス軍人らが組織した、極右民族主義者の武装地下組織「OAS」。彼らは植民地アルジェリアの独立を阻止するために武装闘争を行っていた。
1963年、チリー大佐の処刑の報を聞いたOASの幹部たちの一部は潜伏先で、もはや組織は壊滅状態となったことから、組織外のプロ暗殺者を雇うことを決める。やがて最適の人物として選ばれたのは、本名も年齢も不詳だが若々しく狙撃が超一流、要人暗殺の実績も豊富な長身のイギリス人男性だった。彼は「ジャッカル」のコードネームで呼ばれることを望み、プロとして法外な報酬を要求した。OASが組織を挙げてフランス各地で銀行などを襲い資金を集める間、ジャッカル(エドワード・フォックス)は図書館でドゴールの資料を徹底的に調査し、一年のうちに一度だけ、ドゴールが絶対に群衆の前に姿を見せる日があることを発見し、それを決行日と決めた。ジャッカルはパリのいくつかの候補地から決行地点を選び、全ヨーロッパを移動しながら必要な特注の狙撃銃、偽造の身分、パスポート、衣装、入出国経路などを抜かりなく用意する。
一方、OASの銀行連続襲撃や、ローマに移動し籠城して動きを全く見せないOAS幹部たちに不審な気配を感じたフランス官憲は、実行部隊を使いローマからOAS幹部のボディガードを拉致し拷問、意味不明のあえぎ声の中からOASが外部の暗殺者を雇ったこと、それが「ジャッカル」と呼ばれていることを知る。ドゴールの死は第五共和政とフランスの崩壊を意味する。国家の各治安組織の官僚のトップたちが対策会議を開き、捜査は実績の豊富なルベル警視(ミシェル・ロンズデール)という老獪な刑事に一任された。ルベル警視には与えられる限りの権限が与えられたが、定期的に治安組織の官僚たちに捜査報告を行うことを求められ、権力者達の政治的思惑の波をかぶりつつも、ジャッカルを追い始める。
ルベル警視は、その個人的な伝手も用いて、ジャッカルの正体を洗うべく世界中の警察に問い合わせを行い、どうやらあるイギリス人らしいことを知った。イギリス警察は怪しい偽造戸籍を発見し、そこから捜査で容貌や暮らしぶりなどが判明したのである。その情報を元に、ルベル警視はフランス全土の警察・憲兵らを指揮し不審者の入国を阻止しようとするが、ジャッカルは巧妙にアルファ・ロメオの車内に銃を隠し、偽造パスポートで南仏から侵入したあとだった。
全国の国境やホテルから毎日届けられる入国者・宿泊者リストを洗い、南仏一帯で何度もジャッカルらしき者を追い詰めるが、そのたびジャッカルは寸前で逃げ、何度も偽造パスポートを取り替えて変装を変え、その途上においては、ホテル以外の宿泊場所を巧みに得るなどして、時間を稼ぎながらパリを目指す。ルベル警視はおそらく、ジャッカルがOASの極秘の連絡網を利用して、治安トップの報告会の内容やルベル警視たちの対策を全て知っているのではないかと疑い、治安官僚の中から内通者を調べ始め、官僚の中にOASのスパイの女性とそれとは知らずに愛人関係を持った人間を突き止める。また、ドゴール暗殺の決行日がいつであるかを直感する。
捜査もむなしく、ジャッカルはパリに入り、意外な姿に変装して忍びながらその日を待った。パリでは全国の警察力とユニオン・コルス(欧州マフィア)まで総動員し、裏町の隅から隅まで情け容赦ない大ローラー作戦を行うが、ジャッカルは見つからない。ドゴール大統領は、暗殺の危険を訴える側近の声に耳を貸さず、例年通りパリ市内で行われるある式典に出発した。ジャッカルとルベル警視の対決は、ドゴール大統領が姿を現すその時間、その場所にまでもつれこむ。
[ネタバレ反転]
市内各所で行われる8月25日のパリ解放記念式典。ジャッカルは傷痍軍人を装い、警官を安心させて非常線を通り抜け、大統領の式典が行われるモンパルナス駅前の「1940年6月18日広場」を見渡せるアパートにもぐりこみ、管理人の老婆を気絶させ、狙撃の場を確保した。ジャッカルは松葉杖に偽装した狙撃銃を組み立て、大統領に対して弾丸を発射したが、勲章の授与とキスのために屈んだ瞬間であったので外してしまった。イギリス人であるジャッカルには、こういう場でキスをする習慣になじみが無かったのだ。想定外の事態にジャッカルは弾丸を詰めなおすが、このとき、傷痍軍人がアパートに入ったことを聞きつけたルベル警視は彼こそジャッカルだと踏んで、部屋に突入した。一緒にいた警官がジャッカルに撃たれたが、とっさに警官のサブマシンガンを取り、ルベル警視はジャッカルを討ち果たした。
ドゴールが後頭部をかすめた弾丸に気付いたかどうかは、本人が何も語らなかったので分からない。銃声がしたようだと警察に問い合わせがあったが、回答は「エンジンがバックファイアした爆音らしい」であった。
ジャッカルが英国人であることは政治的判断から曖昧にされ、ジャッカルは市内の墓地に埋葬された。イギリスでは、ジャッカルの本名とされた名前は、アリバイがある実在の人物のものと判明し、ジャッカルの正体は闇のままで終わった。




フレデリック・フォーサイスの同名ベストセラー小説の映画化。暗殺に向けて用意周到に行われる準備とパリ警察の地道な捜査をリアリティたっぷりなディティールで克明に描いた社会派サスペンスの一級品です。計算され尽くした緻密な構成、ドキュメンタリータッチで弛みのない映像。ドゴール暗殺のクライマックスは、実際に起こらなかった事が判っているにもかかわらず、物凄い緊迫感で手に汗握ること請け合い。時代の雰囲気とヒリヒリする不穏な空気感が全体に横溢し、これこそ当時の歴史と情勢という知識を持った大人が見ないと分からない、単純な刺激を求めるお子さまには向かない映画ということでしょうか。

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『ゴーン・ベイビー・ゴーン』 Gone Baby Gone (2007・米)
監督/ベン・アフレック
脚本/ベン・アフレック、アーロン・ストッカード
原作/デニス・レヘイン 『愛しき者はすべて去りゆく』
製作/アラン・ラッド・Jr、ダン・リスナー、ショーン・ベイリー
製作総指揮/デヴィッド・クロケット
音楽/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影/ジョン・トール
編集/ウィリアム・ゴールデンバーグ
出演/ケイシー・アフレック、ミシェル・モナハン、モーガン・フリーマン、エド・ハリス、ジョン・アシュトン、エイミー・ライアン、エイミー・マディガン、タイタス・ウェリヴァー、マデリーン・オブライエン、スレイン、エディ・ガテギ、マイケル・ケネス・ウィリアムズ、マーク・マーゴリス、トゥルディ・グッドマン

アカデミー賞・ゴールデングローブ賞ノミネート
豪華キャストが贈るサスペンス・アクション!


パトリック・ケンジー(ケイシー・アフレック)とアンジー・ジェナーロ(ミシェル・モナハン)は、ボストンに共同で私立探偵事務所を構える幼なじみの恋人。ある日、4歳の少女アマンダ(マデリーン・オブライエン)が誘拐される事件が発生し、その3日後、警察の捜査に限界を感じたアマンダの叔母夫婦が、街の裏側に精通するパトリックたちのもとに捜索依頼に現われる。人捜しと言っても単なる失踪ではなく、警察が捜査中の誘拐事件であり自分たちの出る幕ではないと、あまり気の進まないまま。アマンダの行方を調べ始めるパトリックとアンジーだったが、アマンダの母親ヘリーンにかなり問題があることが次第に明らかとなる。それでも叔母の必死な願いを聞き入れ依頼を引き受けた2人は、さっそく独自の人脈を使って事件の真相を探り始める。だが彼らは、事件の背後に広がる現代アメリカ社会の深い闇に直面して葛藤と苦悩を抱え込んでいく。やがて職業的な危機と、個人的な危機的状況に陥っていく……。



ベン・アフレックの初映画監督作品で、多数の映画賞を受賞しました。主演はベンの実弟ケイシー・アフレック。原作は 『ミスティック・リバー』 の原作者デニス・レヘインのハードボイルド 『私立探偵パトリック&アンジー』 シリーズ4作目 『愛しき者はすべて去りゆく』 です。レヘインの出身地であるボストン・ドーチェスター地区を舞台に描かれており、本作の撮影も同地区で行われました。アフレック兄弟もボストン出身であり、脇役・エキストラとして多くの地元の人間を出演させています。誘拐された少女の母親を演じたエイミー・ライアンは、本作で多くの映画賞にノミネートされ、一躍人気女優となりました。原作シリーズ同様、痛みを抱えて生きるそれぞれの群像が描かれて、心に深く沁みいります。

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『ザ・シークレット・サービス』 In the Line of Fire (1993・米)
監督/ウォルフガング・ペーターゼン
脚本/ジェフ・マグワイヤー
製作/ジェフ・アップル
製作総指揮/ウォルフガング・ペーターゼン、ゲイル・カッツ、デイヴィッド・ヴァルデス
音楽/エンニオ・モリコーネ
撮影/ジョン・ベイリー
美術/リリー・キルヴァート
編集/アン・V・コーツ
出演者/クリント・イーストウッド、ジョン・マルコビッチ、レネ・ルッソ、ディラン・マクダーモット、ゲイリー・コール、ジョン・マホーニー、ジム・カーリー

JFKを守れなかった一人の男。
クリント・イーストウッドXジョン・マルコヴィッチのサスペンス・アクション!


フランク・ホリガン(クリント・イーストウッド)は老境の合衆国財務省所属のシークレット・サービス・エージェント。一匹狼的な異端児で相棒は気の弱いアル・ダンドゥレア(ディラン・マクダーモット)だけである。ホリガンは、ケネディ大統領がダラスを訪問した際に護衛を失敗し、死なせたことに深い自責の念を持っていた。
現大統領(ジム・カーリー)の再選キャンペーンがスタートしたところに、大統領暗殺の脅迫が届いた。やがてホリガンは殺し屋ミッチ・リアリー(ジョン・マルコヴィッチ)が大統領の行動を監視していることを知った。さらにミッチはJFK警護に失敗したホリガンの過去を知っていて、電話で彼に挑戦してきた。ホリガンはキャンペーンの護衛に加わるが、女性護衛官のリリー・レインズ(レネ・ルッソ)以外の同僚は快く思わない。変装術を身につけたミッチはロサンゼルスに飛び銀行に口座を設けると、偽りの個人情報に気づきそうな窓口係の女性とルームメイトを惨殺し、ワシントンに戻った。
大統領の遊説が始まった。演説会場の安全を確保する忙しい日々の中で、ホリガンとリリーに特別な感情が芽生える。やがてミッチの面が割れ、ホリガンは彼のアジトに侵入する。彼を待ち受けていたのは同じくミッチを追うCIAの局員だった。ミッチの正体は元
CIAの殺し屋で、政治情勢の捨て駒にされ殺されかかった怨みを晴らそうというのだった。一方的にホリガンに共感を抱くミッチは、執拗に電話をかけて挑発してくる。
ある日、逆探知に成功し、ホリガンとアルがミッチのアジトを急襲した。ミッチを追跡するホリガンは、ビルの間を飛びこえようとして失敗。危機を救ったアルは撃たれて絶命した。
[ネタバレ反転]
大統領が遊説に、ロサンゼルスにやってきた。同時にミッチもビジネスマンに化けて出現。しかし、命令を無視するホリガンは任務からはずされる。しかたなく空港に向かったホリガンは、ミッチが部屋に残したメモが口座番号であることに気づく。銀行へ行くと窓口係の死を聞き、顧客リストを入手。ホリガンはミッチが偽名で多額の政治献金をして、大統領のパーティに出席していることに気づく。大統領がすぐそばに来た時、ミッチの手製銃が火を吹く。しかしその前に間一髪、ホリガンは立ちふさがった。負傷したホリガンを人質にしたミッチは、ホテルのシースルー・エレベーターに逃げこみ、すべての電源を切って逃走を図る。ホリガンはミッチとの会話と思い込ませた無線を使った指示を送り、ミッチは狙撃によりエレベーターから投げ出される。手を伸ばすホリガンを拒絶し、力つきたミッチは落下していくのだった。 すべてが終わったあと、公園には身を寄せ合うホリガンとリリーの姿があった。



C・イーストウッドが久しぶりに、役者としてのみ参加した作品。自分が監督するときにはほとんどやらない行動を、楽しんで演じている感じが面白いです。にこやかにウィンクしたり、レネ・ルッソをナンパしたりと随分とお茶目です。敵役のJ・マルコヴィッチは絶品。主役を喰う勢いで、さすがの演技派。二人の鬼気迫る対決は手に汗握り、目が離せません。

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『デンジャーポイント』 Puppet On A Chain (1970・英)
監督/ジョフリー・リーブ
脚色/アリステア・マクリーン
原作/アリステア・マクリーン
製作/クルト・アンガー
撮影/ジャック・ヒルドヤード
音楽/ピエロ・ピッチオーニ
出演/スヴェン・バーティル・タウベ、バーバラ・パーキンス、アレクサンダー・ノックス、パトリック・アレン、ヴラデク・シェイバル

ビルの屋上から吊り下げられた謎の人影は次々起こる死刑の予告!? 
ミステリーとサスペンスにつつまれて、高まるクライマックスは映画史上初の
スピードボートの猛烈な大追撃戦!


国際刑事警察麻薬局の捜査官ポール・シャーマン(スヴェン・バーティル・タウベ)は、アメリカにヘロインを密輸しているオランダの麻薬組織を調査すべくアムステルダムにやってきた。到着と同時に、これまでの調査報告をすることになっていた同僚のデュクロスが、組織の殺し屋に殺された。シャーマンは早速、アムステルダム警察署長のデ・グラーフ(アレクサンダー・ノックス)とその部下ファン・ゲルダー警部(パトリック・アレン)に会った。ホテルに部屋を取り、表にでたシャーマンはデュクロスを殺した殺し屋に尾行されていることに気づき、逆にまいて彼の入っていった倉庫をつきとめる。それから彼は助手のマギー(バーバラ・パーキンス)を使いデュクロスの愛人だったアストリッド(A・マースン)を捜しにかかった。
彼がホテルに戻るとさっきの殺し屋が、彼の部屋を物色しているのを発見し、格闘の末、殺し屋は死んだ。マギーの力を借り、アストリッドを捜しだしたシャーマンは彼女が働いているナイトクラブへでかけるが、そこには例の倉庫の持主のモルゲンシュテルンがいた。閉店後、アストリッドの後をつけたシャーマンは、彼女が若い男にからまれているのを目撃して飛びだしたが、それが、彼女の弟のジョージだと聞くと彼が逃げ込んだ教会に入った。ジョージは明らかに麻薬中毒患者だった。彼は牧師メーゲレン(V・シェイバル)のとめるのをふりきりジョージを家まで送り届けた。
翌日、正式の捜査班を組んで倉庫を洗った。シャーマンは、窓際にアストリッドそっくりの人形が首を鎖でつながれているのを発見した。デ・グラーフから、ジョージがヘロインを打ちすぎて死んだことを知らされたシャーマンはすぐアストリッドの家にかけつけたが、彼女はあの人形と同じように、首に鎖をまきつけられ、窓にぶらさげられていた。殺し屋のメモ帳から得た情報でシャーマンとマギーはハイラー島に渡り、マギーがホテルの部屋を取っている間、彼は麻薬組織一味の「はしけ」に乗り込んだ。はしけが沖にでると、ヘリコプターが飛んできてヘロインの入った包みを落とした。一方、マギーは以前に紹介されたゲルダー警部の娘トルディ(P・カスダグリ)に誘われ城に向った。そこにはメーゲレン牧師がおり、マギーそっくりの人形が鎖で首をまきつけられているのを目撃する。
[ネタバレ反転]
その頃、シャーマンが忍び込んだはしけも、その城に入った。シャーマンが城内を調べていると、マギーの死体にぶつかり、その瞬間、背後から頭を殴られた。拷問から辛じて脱出したシャーマンはメーゲレンたちを追ってモーターボートでアムステルダム運河を飛ばした。航行するはしけや観光船をすりぬけ、追跡戦が展開されたが、メーゲレンのモーターボートは激突し、大破した。黒幕をつきとめたシャーマンは倉庫に向った。ゲルダー警部とその娘トルディに銃をつきつけられたシャーマンは、隙をつきトルディを射殺した。ゲルダーは倉庫の窓のリフトで脱出しようとしたが、絶叫と共に二〇メートル下に落ちていった。



アリステア・マクリーンの冒険小説を、本人が脚色に参加した映画化作品です。マクリーンの映画化作品は、概ね余計な要素が足されてしまうという欠点がありますが、本作は原作を手堅くまとめていて、地味ながらなかなか良い出来。アムステルダム運河を舞台にしたクライマックスのボートチェイスは、狭い運河内を縦横無尽に猛スピードで突っ走り、岸に激突寸前で急転換でかわしたりと、今見ても大迫力です。
オーロラ殺人事件
オーロラ殺人事件
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『オーロラ殺人事件』 Bear Island (1979・英/加)
監督/ドン・シャープ
脚本/デヴィッド・バトラー、ドン・シャープ
原作/アリステア・マクリーン 『北海の墓場』
製作/ピーター・スネル
音楽/ロバート・ファーノン
撮影/アラン・ヒューム
編集/トニー・ロウアー
出演者/ドナルド・サザーランド、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、リチャード・ウィドマーク、クリストファー・リー、バーバラ・パーキンス、ロイド・ブリッジス、ローレンス・デーン、パトリシア・コリンズ、マイケル・レイノルズ、ニコラス・コートランド

その日ベア島は黒にそまった──。

第2次大戦中はナチスの潜水艦Uボートの基地として、そして現在はNATOの早期警報システムの拠点になっている北極のべア島に、調査船モーニング・ローズ号が向かっていた。その調査船には、国連気象調査隊の一行が乗っていた。フランク・ランシング(ドナルド・サザーランド)はアメリカの海洋生物学者、ヘディ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)はノルウェー人の女医で心理学が専門、隊長のオットー・ゲラン(リチャード・ウィドマーク)は気象学者で、戦時下のドイツ海軍に詳しい史家でもあった。そして、ダイバーのスミシー(ロイド・ブリッジス)、ポーランドの気象学者レチンスキー教授(クリストファー・リー)、イギリスの女性鉱物学者ジュディス(バーバラ・パーキンス)などが一行のメンバーだった。さまざまな国籍から構成されたこれらの人々はそれぞれに何やらを隠している様子だった。
ゲランは一行に、島に廃棄されたUボート基地には危険だから近づくなと忠告するが、島の探索に出かけたジュディスがなだれの犠牲者となってしまった。同行したランシングは、なだれが起きる寸前に何者かが発砲して雪に爆発を起こさせたことを知っており、この島に何か深い危険が秘んでいることを直感した。そういう彼にも秘密があった。彼の父は大戦中、Uボートの艦長だったのだ。そしてその父の死を確認するのが彼の目的の1つだった。
ランシングはふとしたことから、基地の近くから海面下に通じる入口を発見し、今は残骸となったUボート351号を認め、そこで白骨化した父の姿を発見した。そして、また士官室の箱には、莫大な金塊が隠されていた。調査隊の中にナチスの残党がいて、南米の同志たちのもとヘ金塊を運び出すつもりでいることをつきとめたランシングは、ヘディとスミシーを味方につけ、さらに真相を探った。そして、レチンスキー教授か隊長のゲランがあやしいとにらんでいた。しかし、レチンスキー教授は、アンテナの下敷きになり、謎めいた言葉を残して死んでしまった。レンシングは、ナチスの残党らしい2人の男をとらえたが、彼らはボスが誰なのか口を割らない。
[ネタバレ反転]
NATO基地に救援を求めるためという口実でヘディと共にスノー・スクーターで出発したランシングは、途中、必ず追跡してくるに違いないナチスのリーダーを持ち伏せるが、追跡してきたのは、捕えたはずの2人の男で、激しいチェイスの結果敵を抹殺する。しかし、Uボートについてみると、そこからは金塊が消えうせ、基地から出てきた2人を意外な人物が待ちかまえていた。それは、スミシーだった。彼は金塊を1人じめしようとしていたのだ。が、ナチスの残党のボスは彼ではなく、ゲランの下で働いていたポール・ハートマン(ローレンス・デーン)がボスだった。スミシーとの闘いで傷ついたランシングはヘディとひき返し、スミシーは、ポール・ハートマンと金塊をめぐって死闘を展開し敗れた。そして、ポールはランシングの攻撃で死に、すべては終るのだった。



アリステア・マクリーンの冒険小説の映画化。絶海の孤島で次々と殺人が起こります。科学者、情報部員、ロシア人、NATO、元ナチ、金塊を狙う者という目的は皆同じですが、人物関係がちょっと分かりづらく演出の粗を感じてしまいます。防寒着モコモコなので、余計に誰が誰か分かり難いです。映像面では寒々しい荒涼とした島や浮氷、猛吹雪など北海の極寒描写が迫ってきます。前半は思わせぶり過ぎて少々ダラダラ。後半の雪上車とスクーターのチェイス以降は、それぞれが積極的に動き出して面白くなります。

※VTR廃盤(中古あり)/未DVD化

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『北極の基地/潜航大作戦』 Ice Station Zebra (1968・米)
監督/ジョン・スタージェス
脚本/ハリー・ジュリアン・フィンク、ダグラス・ヘイズ
原作/アリステア・マクリーン
製作/マーティン・ランソホフ
音楽/ミシェル・ルグラン
撮影/ダニエル・L・ファップ、ジョン・M・スティーヴンス、ネルソン・タイラー
編集/フェリス・ウェブスター
出演者/ロック・ハドソン、アーネスト・ボーグナイン、パトリック・マクグーハン、ジム・ブラウン、トニー・ビル、ロイド・ノーラン、アルフ・チェリン、ジェラルド・S・オルーリン、テッド・ハートレイ、ロン・マサク

極秘指令、スパイそして破壊工作──
アリステア・マクリーンのベストセラー小説の映画化。


北極の氷原にあるイギリスの気象観測基地『ゼブラ』からSOSが発せられた。何か事故が起こったらしい。さっそく、アメリカとソ連が生存者救出に乗り出した。しかし気象の関係で飛行機は出せない。そこでアメリカ側は、ファラディ艦長(ロック・ハドソン)が率いる原子力潜水艦『タイガーフィッシュ号』を急行させた。出航まぎわ、イギリスの諜報員ジョーンズ(パトリック・マクグーハン)と海兵隊が乗り込んできた。さらに出航後、洋上でヘリコプターからジョーンズの仲間でロシア人のバスロフ(アーネスト・ボーグナイン)が乗り込んできた。やがて事件が起こり始める。魚雷発射管からの浸水、何者かによる襲撃。妨害者はバスロフかもしれない、と言い出す者もいたが証拠は何もなかった。やがて潜水艦は北極の基地に着いたが、気象観測所員は半分以上が死んでおり、ほかも意識不明であった。しかも、3人はピストルで射殺されている。何かあったに違いない。やがてファラディ艦長は、ことの次第を知り始めた。というのは、ソ連の人工衛星が上空を飛び、アメリカ、ソ連のミサイル基地を撮影した。ところが、その衛星が、ゼブラ基地に落ちたのである。そのフィルムの、うばいあいの果ての惨劇であった。
そしてカプセルに入ったフィルムは、まだ、この基地にある。そこへ、天候回復でソ連がジェット機を飛ばしてやって来た。フィルムをめぐって、米ソは一発触発の雰囲気となり、氷原は異様な緊張につつまれたのである。フィルムの入ったカプセルが発見された。これには、同調する2つの電波探知機がある。そしてこの探知機は米ソ双方が持っている。どちらかがボタンを押せばカプセルは爆発してしまうのだ。国の運命をかけて、にらみ合う大国。
[ネタバレ反転]
バスロフがソ連側に走った。やっぱり彼はスパイだったのだ。そしてついに、カプセルはソ連側に渡ってしまった。彼らは、それを風船に結びつけて、飛行機がキャッチするように空に放った。その時ファラディ艦長はボタンを押し、フィルムは空中で消失。すべては終わった。やがて世界にニュースが流れるだろう──北極の基地ゼブラで生存者救出のため米ソが協力したと。だが、その現場にいた者は知っている。力の均衡という表現で保たれている世界平和の現実を。



アリステア・マクリーンの冒険アクション小説の映画化。超大作と謳われていますが、どうにも緊張感に欠けて、ダラダラと長いというだけという印象です。肝心の北極のシーンの大半はいかにもセットと分かるレベルで、ビジュアル面でもちょっと……。さすがのジョン・スタージェス監督も、今作は不調と言わざるを得ないです。それでも前半の潜水艦のシーンはなかなか見応えがあり、主演3人の演技合戦も見物。残念な超大作なんですが、なぜだか嫌いになれない作品でもあります。
紹介した作品は、GEOでレンタルできます。
紹介した作品は、TSUTAYAでレンタルできます。
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